デノンから、スティックタイプの完全ワイヤレスイヤホンの新製品2モデル「AH-C500W」「AH-C840NCW」が、4月初旬に発売される。価格はオープンで、それぞれの想定市場価格はAH-C500Wが¥15,000前後、AH-C840NCWは¥19,000前後となる。

「AH-C500W」

「AH-C840NCW」

500(左)と840

今回の新製品は現行「AH-C630」「AH-C830NCW」の置き換えとなるモデルで、スティックタイプという形状は継承しながら、デノンの目指す音質と、高い装着性の2項目を高い次元で融合させているのが特徴となる。
音質面では、同社ヘッドホンReal Wood(リアルウッド)シリーズにも採用されているバイオセルロースを、完全ワイヤレスイヤホン用に再開発した12mm径のフリーエッジ仕様のダイナミック型として搭載している。これは、両モデル共通だ。


右が新製品に搭載のドライバー
加えてサウンドチューニングについては、同社サウンドマスターの山内氏が、入念に調整を施しているそうだ(後述するように、その成果を存分に感じられる音質だった)。
装着性については、現在市場に流通しているイヤホンの形状・仕様を俯瞰し、500ではイヤーチップを使用しないオープンタイプのインナーイヤー型に、840ではイヤーチップを使うカナル型に、それぞれまとめており、さらに細部の形状については、装着感を高めるように細かい修正を施して、完成させているという。結果、同じドライバーを搭載したスティックタイプのイヤホンでありながら、その形状は結構異なっている。
500については、軽快な装着感という点を強化すべく、内蔵バッテリーの容積を、840よりも削減(実使用時間は840と同等をキープ)しているそうだ。
ちなみに840についてはアクティブノイズキャンセル(ANC)機能も搭載しており、ある程度の騒音のある交通機関などでも、デノンチューニングのサウンドが楽しめるようになっている。ANCオフは、アプリからの操作となる(本体ではできない)。
なお、可搬性を高めるべく収納ケースにも改良が入っていて、サイズ自体はそれほど前モデルと変わっていないそうだが、角を丸くすることでコンパクトさを演出している。イヤホンは横に収納するタイプなので、収納・取り出しがしやすいのも注目点だろう。
機能面では、アプリ対応、マルチポイント接続対応、AuraCast対応(後日のアップデートにて対応予定。時期未定)などのフィーチャーがある。
2モデルを試聴する機会があったので、簡潔にそのインプレッションを紹介したい。まずは500から。いわゆるインナーイヤータイプなので開放感があり、それでいてしっかりと耳に収まっているのは優秀。低域か高域まで帯域も広く、特定の帯域が強調されることなくバランスもいい。AAC接続にしては響きの再現は優秀。
840はイヤーチップがある分、500よりも厚みのあるサウンドが楽しめた。帯域のバランスもよく、音数も増している印象。結構高域までスッと伸びるし、定位感も良好。バイオセルロースドライバーの魅力を存分に活かした、山内氏の耳による絶妙なチューニングが体感できた。ANCのオンオフによる音質の差は少ないので、常時オンでもいいだろう。個人的にはこのドライバーのLDAC接続でのサウンドも聴いてみたくなった。