エミライから、iFi audioのUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「iDSD VALKYRIE」が発表された。現地価格は1699USドル前後で、日本価格は未定とのこと。

 iDSD VALKYRIEはヘッドホンアンプ/DAC/デジタルインターフェイスを装備したモデルで、同ブランドのフラッグシップモデルという位置付けだ。同社が過去5年間で培った技術を集結し、ポータルシステムとしても、デスクトップ用としても充分なパフォーマンスを発揮するという。

画像1: iFi audioのフラッグシップUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「iDSD VALKYRIE」が、K2HDテクノロジーを搭載。自分だけのマスタリング・スタジオが楽しめるクォリティを実現する

 先日開催された説明会では、iFi audioのHead of Global Sales、Miles Roberts氏がiDSD VALKYRIEについて、“手のひらに収まるマスタリング・スタジオ” と紹介してくれた。単なる高性能DACヘッドホンアンプということではなく、音を作り出すためのツールとしても活用できるアイテムだそうだ。

 実際にiFi audioではプロ向けのiDSD製品をリリース済で、世界中のスタジオで採用されているという。iDSD VALKYRIEについては、開発段階でエンジニアさんに使ってもらってその音質に驚かれた、という話も披露してくれた。

 そのiDSD VALKYRIEのターゲットは30代のオーディオファンで、正確さを超えたフラッグシップクラスのDAC/ヘッドホンアンプであり、好きな音楽性を持っているユーザー、自分でチューニングを楽しむ層に使ってもらいたいそうだ。

画像2: iFi audioのフラッグシップUSB DAC内蔵ヘッドホンアンプ「iDSD VALKYRIE」が、K2HDテクノロジーを搭載。自分だけのマスタリング・スタジオが楽しめるクォリティを実現する

 そのためのテクノロジーとして、JVCケンウッドのK2HDを搭載した。iFi audioでは近年様々なブランドとの協業も進めているとかで、今回の搭載もそのひとつとなる。

 JVCケンウッドのK2推進/音質マイスターの秋元秀之宇治によると、そもそも「K2」テクノロジーとは、1982年に当時の日本ビクターとビクタースタジオにより開発された音源デジタル化の際の高音質化情報処理技術という。そこには高品位伝送技術、高音質化技術、高音質プロモーションといった様々な技術が含まれているが、iDSD VALKYRIEには高音質化技術の中から「K2HD」(K2HD PROCESSING)技術が搭載されている。

 このK2HDプロセッシングは、圧縮に伴って変質・劣化してしまった波形をもとに戻し、圧縮前のクォリティに復元して自然な倍音を再現するものだ。それはCDリッピングに限らず、配信音源にも有効とのことで、特にストリーミングで音楽を楽しむユーザーが増えている昨今では、その価値はひじょうに大きいだろう。

画像: 説明会に展示されていた「iDSD VALKYRIE」。左が製品版で、右はデモ用のスケルトンモデル

説明会に展示されていた「iDSD VALKYRIE」。左が製品版で、右はデモ用のスケルトンモデル

 さらに近年は家庭用オーディオ機器の高音質化が進んでおり、K2HDの本来の効果を多くのユーザーが体感できるようになっているのも見逃せないポイントとのことだ。

 なおK2HDテクノロジーをハードウェアに搭載するにあたっては、出力データの検証(オリジナルと同じかどうか)だけでなく、スタジオエンジニアが音を聞いて合否判定を行っているとのことだ。つまりハード、ソフトの両面で各製品に最適なチューニングを行っているわけで、iDSD VALKYRIEについてもK2パラメーターを新規に設定するなどの作業が行われている。

 実際の製品では、K2に関連したふたつのモードが搭載されている。ひとつはK2HDモードで、これは入力信号を最大192kHz/24ビットにアップスケーリングし、K2パラメーターを適用して波形を精密に補正、広域成分を復元するものだ。もうひとつのK2モードでは入力信号のサウンプリングレートを維持しながら音質補正を行い、音の余韻や空間表現を強化するものという。

画像: 背面端子部。左側に充電用とデータ入力用のUSB Type-C端子を搭載する。iDSD VALKYRIEはフル充電で約18時間の再生が可能とのこと

背面端子部。左側に充電用とデータ入力用のUSB Type-C端子を搭載する。iDSD VALKYRIEはフル充電で約18時間の再生が可能とのこと

 秋元氏は今回の協業について、「K2HDを誤差なくプログラム化するのは難しいんですが、今回は仕様通りのK2HDが搭載されています。K2HDのパラメーターも最新版で、自然なK2効果を実現できています」と話していた。

 なおiDSD VALKYRIEにはK2HDの他にもDSD1024リマスタリング機能も搭載されており、フロントパネルのボタンを使ってこれらを切り替えて音の変化を楽しむこともできる。このリマスター機能とK2HDでの処理は掛け合わせも可能となっている。これらの処理はFPGAを活用して行われているとのことだ。

 DACチップにはバーブラウン製を4基搭載し、リニアPCM用とDSD用の左右独立に使用。この組み合わせで高品質なサウンドを再現するという。iFi audioでは製品の回路設計や部品などによってDACチップを使い分けているそうで、今回はバーブラウン製が最適と判断したようだ。

画像: 本体パネル部には現在の入力信号や処理内容が表示される。写真は44.1kHzの入力信号に対し、DXD 705kHzのアップサンプリングとK2処理をかけた状態

本体パネル部には現在の入力信号や処理内容が表示される。写真は44.1kHzの入力信号に対し、DXD 705kHzのアップサンプリングとK2処理をかけた状態

 接続端子はリアパネルにUSB Type-C×2(データ入力用と充電用)と3.5mmアナログ入力、RCA/3.5mmアナログ出力、3.5mmと4.4mmのライン入出力を搭載。フロントパネルには4.4mmバランス出力と独自のS-Balance出力が搭載されている。この他、CDクォリティのロスレスBluetooth伝送にも対応済みだ。

 その他の特徴として、MEMSドライバー専用モードも搭載しており、このタイプのイヤホンと組み合わせた場合も理想的な駆動ができるとのことだ。同社では今後も様々なヘッドホン用モードの搭載を検討していくという。

画像: 写真左がiFi audio Head of Global SalesのMiles Roberts氏で、右が株式会社JVDケンウッド メディア事業部 直販営業部 K2推進・音質マイスターの秋元秀之氏

写真左がiFi audio Head of Global SalesのMiles Roberts氏で、右が株式会社JVDケンウッド メディア事業部 直販営業部 K2推進・音質マイスターの秋元秀之氏

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