ソニーは、In-Camera VFXなどのバーチャルプロダクションやAR(Augmented Reality=拡張現実)などでの制作を効率化するカメラトラッキングシステム「OCELLUS」(オセラス)を発売する。市場想定価格は¥5,600,000前後。

 カメラトラッキングシステムは撮影時のカメラの位置や向き、情報などを取得する機器で、バーチャルプロダクションなどの空間コンテンツ制作に必要不可欠なアイテムだ。オセラスは、センサーユニットとプロセッシングボックス、レンズエンコーダーで構成され、ソニー製シネマカメラ、システムカメラはもちろん、ソニー製以外のカメラとも組み合わせて使用できる。

画像: 「OCELLUS」のセンサーユニットとプロセッシングボックス

「OCELLUS」のセンサーユニットとプロセッシングボックス

 5つのイメージセンサーを搭載したセンサーユニットと、ソニーのVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いることで、屋内外を問わず安定したマーカーレストラッキングを実現するそうだ。マーカーレスなので、事前のマップ作成時のマーカー設置の工数を削減可能という。

 ソニー製のカメラと組み合わせて使用する場合、カメラのSDI出力のみで、カメラやレンズのメタデータをリアルタイムにプロセッシングボックスで取得し、外部機器への伝送も可能だ。レンズがカメラを介したメタデータ取得に対応しない場合も、レンズエンコーダーを使うことでフォーカスやズーム、アイリスの値を取得できる。

 取得したカメラやレンズのメタデータは、In-Camera VFXなどのバーチャルプロダクションやARに使用可能。トラッキングデータとカメラやレンズのメタデータの記録にも対応し、ポストプロダクションなどの制作に活用が可能だ。

 その主な特長は以下の通り。

●小型軽量なセンサーユニット
 大きさ約W86×H60×D43mm、重量約250gの小型センサーユニットには、5つのソニー製イメージセンサーを搭載。ユーザーが周囲の環境に合わせて任意の4つを選択して同時に使用することで、安定したマーカーレストラッキングが屋内外で可能。4つのイメージセンサーのうち、有効な特徴点を捉えているイメージセンサーがひとつあればトラッキングデータの取得が可能で、高い遮蔽耐性を備えている。

 また、5つのイメージセンサーそれぞれの両側にIR(赤外線)LEDを搭載し、暗所での運用をサポート。ライブ会場など照明が頻繁に切り替わる環境では、同梱の可視光カットユニットを装着することで、安定したトラッキングを実現する。

画像: 「VENICE 2」「HDC-5500V」に装着した「OCELLUS」

「VENICE 2」「HDC-5500V」に装着した「OCELLUS」

●プロセッシングボックス
 センサーユニットで取得した情報からトラッキングデータを計算するプロセッシングボックスには、Genlock入力やタイムコード入力、SDI入出力端子、レンズエンコーダーとの接続端子を搭載する。

 ソニー製カメラと組み合わせて使用する場合は、SDI出力のみで同期信号やタイムコード、ファイル名、RECトリガーの取得が可能。さらに、ソニー製カメラと情報取得に対応するレンズを組み合わせることで、カメラのSDI出力を通じたレンズメタデータも取得できる。側面には有機ELディスプレイを備え、IPアドレスやトラッキング情報、レンズデータ等の状態を確認可能とのことだ。

●レンズエンコーダー
 レンズエンコーダーは、レンズのフォーカスやズーム、アイリスの精密な回転角度や位置を物理的に検出する。検出したデータは、プロセッシングボックスにLEMO 7ピンケーブルを介して伝送。これによって、カメラのSDI出力によるレンズのメタデータ取得ができない場合でも、レンズのメタデータを確保する。装着するレンズに合わせたギアを同梱の5種類から選択し、レンズエンコーダーに装着できる。

 なお今回のOCELLUSシステムは、アメリカ・ラスベガスで現地時間2025年4月6日(日)から開催される国際放送機器展「NAB(National Associations of Broadcasters) Show 2025」での展示を予定している。

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