ブライトーンから、新ブランドZidooのDolby Atmos対応ミュージックストリーマー「UHD8000」(¥330,000、税込)が発売される。
Zidoo Technology Co.,Ltdは、ARMマルチコアアーキテクチャーの産業用およびエンドユーザー向け電子機器の大手メーカーで、2014年に設立された。先日日本で販売を開始したEversoloと、Zidooのふたつのブランドを有している。
4Kホームシアターメディアプレーヤーやオーディオファン向け製品などの家庭用オーディオビジュアル機器に注力しており、その80%以上がヨーロッパ、アメリカ、東南アジアに輸出されているそうだ。
ミュージックストリーマー:Zidoo「UHD8000」 ¥330,000(税込)
●搭載OS:Android 11
●CPU:Amlogic S928X-K ARM Cortex-A76+Cortex-A55(Penta-core)
●GPU:ARM Mali-G57 MC2
●対応ハイレゾフォーマット(2ch):最大 DSD512、PCM 768KHz/32ビット
●接続端子:LAN(10/100/1000Mbps)、HDMI出力2系統(メイン、オーディオ専用)、USB Type-A✕2、USB Type-B、デジタル音声出力(同軸、光)、アナログ音声出力(RCA、XLR)※WiFi機能及びBluetooth機能はつかえません
●ストレージ:8GバイトDDR4+64GバイトeMMC
●寸法/質量:W430✕H80✕D312mm/5.9kg
今回登場したUHD8000はAndroid OSを使ったミュージックストリーマーで、DAP、USB DAC、プリアンプ機能を備えている。またDolby Vision、HDR10+、8Kなどのファイル再生もできるという。
独自開発のオーディオエンジンにより、Android OSの制約をバイパスしてハイレゾ音源を再生できるのも他にない特徴だろう。加えてアプリ経由でTidal、Qobuz、Amazon Music、Apple Musicなどの音楽ストリーミングも楽しめるようになっている。
なかでもApple MusicやTidal(Tidal Connect)についてはDolby Atmosによる空間オーディオをHDMI端子(セパレートHDMI出力も搭載)からビットストリームで出力してくれるので、AVアンプと組み合わせれば7.1.4などの環境で楽しめることになる(Amazon MusicのDolby Atmosは今のところ未対応)。
その他、USBの外付けドライブをつないでCDを再生したり、リッピングした音源や映像を増設したHDD(フロントパネル内に2基の拡張スロットを搭載。SATA3.5インチ、16Tバイトまで)に保存して楽しむこともできる。
今回、UHD8000のサウンドをいち早く体験する機会があった。東京・目黒のオーディオショップ、ホーム商会にお邪魔し、同店の常設機器(コラム参照)にUHD8000をXLRアナログバランスケーブルで接続して2chの音を確認する。
Amazon Musicからホルスト「惑星」を再生すると、静寂の中から徐々に力強い演奏が浮かび上がってくる。ティンパニのリズミカルなトーンやホルン、トランペットの響きなどひとつひとつがていねいに描き出され、広がりのある音場が構築されている。音楽情報を正確に再現しており、どちらかというと冷静な音作りといった印象もある。
ホーム商会のシステムはまさにハイエンドな製品ばかりで、ややもするとソースの粗まで明瞭に描き出してしまう。しかし今回は、配信音源であってもそんな粗を感じることはなかった(もちろん楽曲にもよるだろうが)。UHD8000はAmazon Music以外にも多くのストリーミングサービスに対応しているが、このクォリティでそれらの膨大な楽曲を楽しめるのは大きな魅力だ。
場所を変えてHDMI接続によるDolby Atmos再生を試した。ちなみにUHD8000はどの端子から音声を出力するかを設定メニューから選ぶ方式で、HDMIとアナログの同時出力はできない。2chはアナログ接続、Dolby AtmosはHDMI接続と使い分けたいユーザーも多いと思われるので、ここは将来的なアップデートを期待したいところだ。
AVアンプにつないでApple MusicやTIDALのDolby Atmosを選んでみる(7.1.4環境)。近年は空間オーディオの配信コンテンツも充実してきており、日本の楽曲もかなり揃っている。一方でどのような音作りが行われているかはばらばらで、ライブの再現を志向したものから、後ろから楽器が響いてくるなどの演出を加えた作品、Dolby Atmosにしては包囲感が物足りないものなど、正直玉石混交だ。
UHD8000はそれらの違い、Dolby Atmosミックスの狙いもきちんと再現してくれるし、優れたミックスの音源であればライブホールのような臨場感も得られる。意図的な演出を加えた作品も、その狙いが分かるぶん、従来にない音楽の演出を楽しむという意味で新鮮に思った。
これまで配信による空間オーディオは、スマホとヘッドホンによるバーチャル再生が主流で、本当の意味での包囲感や臨場感、音質は体験できていなかった。UHD8000は再生機としてきちんとした筐体や電源を備えているし、Android OSの制約をバイパスして信号を出力するなどの音質的な配慮もぬかりない。新たに始まった空間オーディオの世界を、堪能するアイテムとして注目の存在になるだろう。(取材・文:泉 哲也)
オーディオショップ「ホーム商会」で、UHD8000をハイエンドシステムと組み合わせる。
配信コンテンツも、充分満足できる音質で再生された
東京・目黒にある老舗オーディオショップのホーム商会で、Zidoo「UHD8000」のサウンドを確認した。同店にはオーディオファン垂涎の的ともいえるハイエンド機器が揃っており、今回は以下のシステムで試聴を行っている。
●プリアンプ:BOULDER 2010
●パワーアンプ:Jeff Rowland Model7(ペア)
●スピーカーシステム:B&W 801 D4 Signature
なお同店では今週末の19日〜20日に試聴イベントの『New Sound comes from 鹿港 台湾』を開催予定だ。新ブランド、ルーカンオーディオのスピーカーをまとめて試聴できるもので、講師は山之内 正さん。そこではZidooの兄弟ブランドEversoloのネットワークプレーヤー「DMP-A8」を使ったハイレゾ再生も行わるとのこと。興味のある方はお店までご確認いただきたい(電話番号 03-3711-0600)。