Metaでは、複合現実(MR)関連の新製品「Meta Quest 3S」を発表した。128Gバイトモデルが¥48,400(税込)、256Gバイトモデルが¥64,900(税込)で、10月15日に発売される。また、最高クラス「Meta Quest 3」(512Gバイト)が¥81,400(税込)に値下げされる。
Quest 3Sは、Quest 3と同じ機能を備えながら、普及価格帯を実現したモデル。Qualcomm Technologies社と共同開発したSnapdragon XR2 Gen 2プラットフォームを搭載したことで、高解像度でフルカラーの複合現実が楽しめるという。Quest 3とQuest 3Sの主な違いは、ヘッドセットのデザイン、フレネルレンズ、そして視野角がやや狭いことくらいだ。
そして昨日、発売前にQuest 3Sに触れることができるマスコミ向け体験会が開催された。冒頭、Product ManagerのJD・ダグラスさん、Head of Developer Relationsのメリッサ・ブラウンさん、Director,Metaverse Content Applicationsのアナンド・ダスさんが登壇し、Quest 3SおよびMeta Questコンテンツに関する説明が行われた。
まずQuestシリーズの日本での評判についてダグラスさんは、「日本マーケットでの進捗は目を見張るものがあります。Quest 3への関心も高く、既に売上目標をクリアーしています。また継続利用率が高いのも特長です。Quest 3では、バーチャル大画面も提供できますし、楽器練習やペットもバーチャルで楽しんでいただけるのもその要因ではないでしょうか」と語っていた。
続いて、今回Quest 3Sをリリースした理由を聞かれたジェイリーさんは、「Quest 3Sでは、Quest 2とQuest 3で提供した体験をより多くの人に提供することが必要だと考えました。これまでMRを体験したことがない方々にもゲーミング、フィットネス、ビジネスなどで活用していただきたいと思いますし、既存のQuestユーザーにはより手に入りやすい価格でMRを提供します」と答えてくれた。
アナンドさんはQuest 3Sのユースケースについて、「MRでできることが広がります。これまでのQuestシリーズはゲームユーザーが中核でしたが、日本ではスポーツや言語学習などを含めて拡大するのではないでしょうか」と活用分野拡大の可能性を期待している様子だった。
さらにダグラスさんから日本のコンテンツの重要性についても解説があった。「スクウェア・エニックスさんの作品やガンダムなど、日本にはグローバルで人気の高いIPがあります。これらも含めて、Questのプラットフォームで何が起きているかを知りたいという方も増えていくのではないでしょうか」とのことだ。
続いて、Quest 3Sを実際に装着して各種デモを体験させてもらった。
Quest 3Sは、ドルビーアトモスの効果をヘッドホンで楽しむ機能も備えている。そこでドルビーアトモスのトレーラーを再生してみると、それなりに広い空間で、方位感・移動感に優れた音場を楽しむことができた(頭の後ろまで音が広がるというわけにはいかなかったけど)。
さらにQuest 3Sは、Amazon Musicの音楽ストリーミングも楽しめる。その操作もコントローラーから可能で、さらにデスクトップ上でウィンドウを掴んで左右に動かすと、それに反応してヴォーカルも動くといった機能も備えている。実際に試してみるとわかりすぎるくらいの移動感で、BGM再生用としての面白い使い方もできそうだ。バックグラウンドでAmazon Musicを再生しながら別のウィンドウで作業することもできる。
続いてマルチプレイヤー向けの『SPATIAL OPS』もプレイさせてもらった。Quest 3Sを通じて楽しむMRシューティングゲームで、バーチャルの武器を手にして戦うもの。パススルーで表示される現実の映像とバーチャルの壁やアイテム(武器)がさほど違和感なく表示されており、思いがけず夢中で楽しむことができた。このクォリティであれば、のめり込んでしまう人も出てくるだろう。
最後に、10月4日にリリースされたガンダムシリーズ初のVRアニメ『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』を見せてもらった。Quest 3Sの表示デバイスは左右それぞれ1832✕1920の画素数だが、その視野いっぱいに大迫力の映像が映し出され、没入感も半端ない。アニメに限らず、大画面表示デバイスとしてのQuest 3Sの可能性を感じた次第だ。
VR/MRデバイスは熱心なファンがいる一方で、若干高価で用途もゲーム中心といったイメージが強かった。今回のQuest 3Sはより身近な価格帯を実現すると共に、学習やフィットネス、ビジネスなどの幅広い分野で活用できるスペックも備えている。多くの人がバーチャル体験に触れる、キーコンポーネントになるだろう。