ロカルノ国際映画祭2023オープンドアに選出され、《史上最高のベネズエラ映画》と絶賛された『博士の綺奏曲』(原題:Yo y las bestias)の日本公開が決定。ポスタービジュアル・予告編が解禁になったほか、公開を記念して真木よう子、ダースレイダー、吉岡正晴らからの推薦コメントが到着した。

史上最高のベネズエラ映画、日本へ。
その音楽は《火山のふもと》で奏でられる──

 人も空気も澱み続ける日常を生きる男が、創作の衝動とともに現れた謎の存在「ビースト」と音楽を奏で、孤高のアルバム制作を試みる姿を映し出した『博士の綺奏曲』。本作が長編監督デビュー作となるニコ・マンサーノは、経済危機・大規模停電により国外亡命者が続出し、混乱状態に陥った2016年当時のベネズエラを背景に、本作の脚本を執筆。アートディレクター・作曲家としての顔も持つマンサーノは『Al Pie del Volcan (火山のふもと)』をはじめ劇中曲すべても自ら制作。政治汚職やハイパーインフレなどベネズエラの情勢が悪化の一途をたどる中、5年間もの年月をかけて2021年に映画を完成させた。

 カントリー、オルタナティブ・ロック調の流麗なメロディと、画面に広がるペールトーンのビジュアルによって独特の世界観を構築した本作は、ロカルノ国際映画祭2023オープンドアへ選出され、ベネズエラ映画祭では驚異の6冠に輝くなど世界各地の映画祭で評価され、映画レビューサイト「FilmAffinity」では「ベネズエラ映画史上、最高傑作」とまで絶賛された。

■コメント
かつて、幼い頃に神秘的な馬の観劇にいった時のことが脳裏に甦った。
己だけがわかる作品にしたくなる。
簡単に時代背景等を齧った人とは、この気持ちの共有を遠慮したい程。
それ程までに特別で、台詞以外の映像や音楽や表情で心情を揺さぶられた初めての芸術作品だ
有名な画家の様に創造者亡き後の評価にならない事が嬉しい
──真木よう子(俳優)

腐敗した政治、堕落したモラル。そんな灰色の影に覆われたつまらない日常を生きるアンドレスの傷口(くちびる)から漏れ出す音のなんと色鮮やかなことか。音楽がミュージシャンの元にやってくる感覚が優しく、儚く描かれていく。
──ダースレイダー(ラッパー/映画監督)

78分の上映時間のあいだに87カットしか持たないこの映画がかもす音楽と空間性の調和は、見る者の心をひたすらにとろけさせる。
──荻野洋一(映画評論家/番組等の構成・演出)

なんだろう……この映画全体の漂う雰囲気、空気感。ダリやマグリットのようなシュルレアリスムの絵画を鑑賞したときと似通った感覚を味わった。
──小川あん(俳優)

多くの余韻とスペースを持つこの作品は、ひょっとしてハイパー・インフレ、政治の腐敗が進むベネズエラにおける批判も含めた「白昼夢」のようだ。
──吉岡正晴(音楽ジャーナリスト)

バンドメンバーと袂を分かったアンドレスは、たぶん彼の脳内存在である鮮やかな黄色の衣をまとった顔のない「ビースト」たちと録音を行う。どちらかといえばリアリズムのこの映画において、そこだけ奇妙にファンタジックなのだが、かといって特別すごいことが起きるわけではない。そして、そこが良いのである。
──佐々木敦(批評家)

■脚本・撮影・音楽・監督:ニコ・マンサーノ
1986年生まれ、ベネズエラ・カラカス出身。
スペイン・バルセロナでストップモーション・アニメーションや映画撮影を学び、MV・コマーシャル監督として映像制作のキャリアを積む。

初長編映画『博士の綺奏曲』はタリン・ブラックナイト映画祭2021のコンペティション部門でワールドプレミア上映を迎え、2023年にはロカルノ国際映画祭のオープンドアに選出。同作はCinema Tropicalが選出する「2021年最高のラテンアメリカ映画」として賞賛された。

映画『博士の綺奏曲』

11月9日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

【あらすじ】
研究所に勤めながらも、オルタナティヴ・ロックバンド「ロス・ピジャミスタス」のボーカルを務めていたアンドレス(ジーザス・ヌネス)は、汚職にまみれた政権が主催する音楽祭にメンバーたちが無断で参加しようとしていたのを知り、脱退を決意する。

バンドを離れ、ソロでの活動を開始したアンドレスのもとに現れた、顔なき奏者「ビースト」たち。

混乱と貧困が日常を蝕んでいくベネズエラで、アンドレスはビーストたちとともに、孤高のアルバム制作を試みる……。

脚本・撮影・監督:ニコ・マンサーノ 編集:アラン・オヘップ 音響:エリック・オルドリー 音楽:ニカ・エリア、ニコ・マンサーノ、クリスチャン・ミハレス エグゼクティブ・プロデューサー:アラン・オヘップ、リカルド・エスピノーザ、ニコ・マンサーノ 製作:リンテルナ・スタジオ

出演:へスース・ヌネス、ガブリエル・アグエロエ、ステファニア・キハダ、アーヴィング・コロネル

日本語字幕:原田りえ 翻訳協力:ワイズ・インフィニティ 宣伝:河合のび、滝澤令央、松村厚(京阪神地域) 協力:神奈川大学外国語学部スペイン語学科、駐日ベネズエラ大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京、江戸玉川屋 配給:Cinemago
2021/ベネズエラ/スペイン語/78分/映倫G/原題『Yo y las bestias』
(C)Bendita films/Cinemago

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