電源ケーブルのメガネ型インレットは、製品のサイズや筐体内の実装密度の制約から、汎用的な3Pインレットが使えないケースで重用されている(特にAV機器に採用例が多い)。しかし、同型プラグを用いた高品質な電源ケーブルは種類が少なく、電源強化のアプローチが採りにくいのも事実。そんな時に便利なのが、フルテックのノイズフィルター内蔵型電源供給ユニットFlow-08。市販の3P仕様の電源ケーブルが使えるようになるだけでなく、家電製品やパソコン等から流入しがちな高周波ノイズを遮断する効果も期待できる一石二鳥のアイテムだ。

 本品は片側にメガネ型プラグ、片側に3Pインレットを備えた、機器と電源ケーブルを仲介するアダプター的なアクセサリー。導体には銀コーティングを施した同社独自の「α導体」を採用し、プラグ/インレットの電極部は、銅合金素材に金メッキをしたうえに「αプロセス処理」(極低温処理)が施されている。絶縁材は特殊耐熱グレードのPVCである。

  最大の特徴は3Pインレット部に内蔵されたフィルターで、直列コイルとコンデンサーで構成され、100kHzで約8dB、500kHzで約14dBのノイズ低減効果があるという。特殊樹脂製のケースも制振性が期待でき、その内部のフィルター回路はエポキシ材を充填して固め、振動等による影響も排除している。ケーブルクランプ部は制振ステンレス製で、非磁性体を使うというこだわり様だ。

画像1: フルテック ノイズフィルター内蔵型電源供給ユニット『Flow-08』メガネ型インレット装備 Apple TV の再生パフォーマンスが大幅向上【ハイコスパをねらえ!一点突破のグレードアップ術】

In-Line Power Filter
フルテック
Flow-08
¥23,661 税込

●問合せ先:フルテック(株)☎︎ 03(6451)3941

メガネ型インレットプラグと3Pプラグを用いて、高周波ノイズを効率的に抑制するアイテムだ。ケーブルは銀コーティングα導体FP-220Agを用いている。Apple TV 4Kなどのストリーミング端末の給電環境をグレードアップするときにも最適だ。今回の取材では、フルテック製ハイグレード電源ケーブルThe Empire(¥52,877 税込/1.5m)を組み合わせた

 

Apple TV 4Kの潜在能力を徹底的に引き出す

 今回はFlow-08に同社の電源ケーブルThe Empireを組合せ、Apple TV 4Kストリーミング端末で試し、ビクターDLA-V900Rの投写映像とデノンのAVセンターAVC-A1H+モニターオーディオ&イクリプスの7.1.6スピーカーでのサラウンド音声のグレードアップを図るという作戦だ。

 ちなみにThe Empireは、PC-Triple C導体を用いたもので、純銅に24金メッキを施した二層メッキ加工の同社製プラグを採用している。なお、比較視聴は各プログラムソースをApple TV 4K純正電源ケーブルとFlow-08+The Empireとで抜き差しする一対比較で行なった。

 まずは4K&SDRコンテンツの『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』を観た(ちなみに国内盤はDVDとBDのみの発売)。視聴シーンは、英国国民に向けて戦況を伝えるべく、地下壕からのラジオ演説の場面である。

 純正ケーブルからFlow-08+The Empireに変えた効果は極めて如実に出た。ぎりぎりまで万年筆で演説原稿を修正しているシーンで始まるが、その便箋の、紙の質感がまるで違うのだ。漉いた紙の表面のザラザラとしたテクスチャーが後者はより立体的に出ているし、紙の白いグラデーションや白ピークの質感が一段と鮮明。チャーチルの顔の皺や凹凸も、Flow-08+The Empireは迫真的にリアルだ。室内の奥行の見通しも俄然高まり、暗い地下の奥の奥までディテイルが見えた。

 音の変化にはさらに驚かされた。原稿にメモを入れていく万年筆のカリカリという擦れる音が非常に緻密で生々しくなった。放送担当者に向かって怒鳴る声もたいそう荒々しく、いかにもイライラしている印象。暗騒音の低いゴーッという音にも凄味があり、空爆シーンの迫力、エネルギーの拡散も圧倒的だった。

 Flow-08+The Empireの効能は、電源ケーブルの交換で度々体験する低音のパワー感の変化そのもの、典型的ケースである。

 

凄まじいドルビーアトモス音声!強烈な音質向上効果に驚く

 それをより強く実感したのが、4K&HDR映像+ドルビーアトモス音声『トップガン マーヴェリック』の再生だ。マッハ10の未体験ゾーンにテスト機ダークスターで挑戦するシーン。ローエンドの力強さは、エンジンの起動時の轟音のクリアーさとなり、周囲に広がる音圧の様子はよりパワフル、離陸時の勢いも凄まじい。ケイン少尉の頭上を通過する際の風圧が、付属電源ケーブルとはまるで次元が違った。

 ドルビーアトモス・ミックスのイマーシブ版『狂気/ピンクフロイド』も体験した。「アス・アンド・ゼム」ではビートの力強さがまったく違うし、ギターの浮遊感やコーラスのエコーの消え際を始め、全体的な立体感がより一層広々と感じられた。音楽的満足度はFlow-08+The Empireの方が遥かに高い。

 もしも手持ちの電源ケーブルがあれば、Flow-08と組合せて使わない手はない。私も早速自宅システムで実践してみようと思う。高いコスパに加え、用途の自由度も魅力的だ。

 

簡単でしかも効果的。ノイズ抑制アクセサリーに注目

機器の入力/出力端子から流入する電気的/静電気系ノイズや微振動を抑える方法はいろいろだが、プラグ型アクセサリーの活用は最善策のひとつ。フルテックのNCFクリアラインはそんなアイテムで、同社独自の制振材料NCFと、セラミックコンデンサーを核としたパッシブ型フィルターによって振動と誘導ノイズを抑制する。使い方は簡単で、空き端子に差してしっかりとチャッキングするだけ。精細感がアップし、音場のクリアネスが高まる(小原)

NFC Clear Lineシリーズは、使用機器の空き端子に装着することで、電気的/振動的ノイズを抑制するアイテム。RCA(¥32,637 税込/1個。写真)、XLR(¥45,287 税込/1個。オス・メスあり)、電源用(¥31,724 税込)の4種類が用意される

 

 

本記事の掲載は『HiVi 2024年夏号』

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