タクトシュトックでは、ドイツ、FINK teamのスピーカー「BORG episode2」を7月1日に発売する。価格は¥6,600,000(ペア、税込、標準色、受注生産)。
型番からも分かる通り、フラッグシップ「BORG」の進化モデルとなる。外観にはほぼ変更はないが、アンプに負荷をかけない、鳴らしやすさはそのままに、サウンドには今まで以上に抜けのよさが加わっている。
2018 年に発表されたBORGは、世界最大級の面積をもつオリジナルAMTトゥイーターと、28cmパルプコーンウーファーを備えた2ウェイスピーカーだ。登場から5年、FINK teamの開発陣は膨大な経験の蓄積を得ており、そのすべてを注ぎ込んでアップグレードされたのがBORG episode2となる。
まずエンクロージャーについては、BORGはFINK teamが開発した厚みのあるMDFパネルと、内部摩擦によって振動を熱に変換するダンピング層を組み合わせた多層構造キャビネットダンピングによって、共振を通過帯域以下に抑えていた。このキャビネットは、5年たった今でも完璧な設計で改良する所はなかったそうだが、唯一episode2ではバッフルをわずかに後方に傾けている。これによりイメージングとサウンドステージを向上させることができたそうだ。
クロスオーバーネットワークにも変更が加えられた。基本的なクロスオーバーは4th order acoustic Linkwitz-Riley(LR4)で、LFとHFの間にタイムディレイが加えられている。またウーファー部には12個の並列シングルMKTコンデンサーを採用、低損失化に成功した。
さらにトゥイーター部は新たにトランスを使用して、ユニットの感度をウーファーレベルに調整しているそうだ。トランスはドイツ製のHQフェライトコアで、最高の機械的ダンピングを得るためにワックス・ポッティングタイプとなっている。
変更点の最後(3点目)は、スピーカーターミナルだ。BORG episode2では、メカニカルスイッチがよりシンプルなブリッジタイプに、トゥイーターとプレゼンスのコントロールはコンシューマー用途では使いにくいという判断から新しいHFコントロールに変更されている。
なおBORGでは、トゥイーターにエアーモーション・トランスフォーマー(AMT)を採用しているが、これはFINK teamとムンドルフ社で共同開発したもので、厚さ25μm(0.025mm)のプリーツ加工されたカプトン振動板に、50μm(0.05mm)のアルミニウム・ストリップを組み合わせている。カプトンは優れた内部ダンピングを持っており、驚異的な低歪みを実現する。
一方のウーファーは、アルミダイキャスト製シャーシとボイスコイルフォーマ部が通気されており、低いエアースピードを実現する事で歪と圧縮を低減している。コントロールとパワーハンドリングを向上させるために3インチのボイスコイルと低質量の硬いペーパーコーン、ローヒステリシス・サラウンド(ギャザーエッジ型)を採用している。
本体仕上げはBROS同様に、4種類のスタンダードフィニッシュ(ホワイト/スティールグレイ、アマーラエボニー/ブラック、アメリカン・ウォルナット/ホワイト、マットブラック/ブラック)を用意。特注色も選択可能だそうだ(販売店に相談)。
BORG episode2の変更点はベース部とベース部に収められたネットワーク回路、ターミナル部と内部配線なので、BORGからBORG episode2へのアップデートが可能となっている。アップデート費用は送料込みで¥1,650,000(税込、ペア)で、申し込み方法はタクトシュトック、または販売店まで問い合わせていただきたい。
なおBORG episode2は、明日から開催される「京都オーディオフェスティバル2024」で初披露される。興味のある方は会場まで足を運んでいただきたい。
「BORG episode2」の主なスペック
●型式:2ウエイ2スピーカー、バスレフ型
●使用ユニット:オリジナルAMTユニット、260mmオリジナル・パルプコーン型ウーファー
●再生周波数特性:32Hz〜35kHz(-10dB)/41Hz〜30kHz(-6dB)
●能率:87dB@2.83V/m
●クロスオーバー周波数:1600Hz
●平均インピーダンス:10Ω以下
●寸法/質量:W300×H1050×D400mm/52.0kg