デノンは、大ヒットサウンドバー「DHT-S217」の後継モデルとなる「DHT-S218」(市場想定価格¥36,300、税込)を5月17日に発売する。ドルビーアトモスの再生に対応した一体型モデルだ。

画像: 「DHT-S218」のデザインや本体サイズは、前モデルの「DHT-S217」から変更されていない

「DHT-S218」のデザインや本体サイズは、前モデルの「DHT-S217」から変更されていない

 2019年12月に発売された「DHT-S216」、2022年5月に発売された「DHT-S217」に続くデノン・サウンドバーの第三弾で、担当者によると、「DHT-S200シリーズの完成形」というコンセプトで仕上げられているそうだ。

 同社はDHT-S216でストレートな音の再現を目指した「Pureモード」を搭載、DHT-S217ではドルビーアトモスやロスレスオーディオにも対応してサウンドクォリティを大きく引き上げた。実際にDHT-S217はドルビーアトモス対応サウンドバーとして、大きな売上を達成しているという(DHT-S217は生産完了)。

 新製品のDHT-S218では、3ウェイ6スピーカー(25mmトゥイーター×2、45×90mmミッドレンジ×2、75mmサブウーファー×2)というユニット構成やバスレフポートの構造、高性能SoC、電源部、脚部といった仕様はすべてDHT-S217を踏襲している。ハードウェア面での変更点は表面のサランネットの素材くらいだという。

 これは、アコースティックデザインはDHT-S216で、エレクトロニクスデザインはDHT-S217で完成しているという判断であり、基本的な要素については変更する必要がなかったということだ。それをベースにDHT-S218では、「音楽を奏でるサウンドバー」としてサウンドマスターの山内慎一氏が徹底的にチューニングを行っている。

画像: 写真上が「DHT-S217」で、下が新製品の「DHT-S218」。外見上の違いは、サランネットと両側面バスレフポート周りの色が変化しているくらいだ

写真上が「DHT-S217」で、下が新製品の「DHT-S218」。外見上の違いは、サランネットと両側面バスレフポート周りの色が変化しているくらいだ

 ここで不思議なのが、上記の通りスピーカーユニットからコンデンサーなどの細かいパーツに至るまでDHT-S217から変更されていないにも関わらず、どうやって音質を進化させたのか? だ。山内氏によると、DHT-S218ではDSP内のフィルター、音楽信号のミックス処理、EQなどのパラメーターをより追い込むことで完成度を上げているそうだ。

 ちなみに「Pureモード」では、デコード以降のサラウンドモードやバーチャルサラウンド処理を行うデジタル回路はパスする仕組みになっている。それでもパラメーター等の追い込みによって音質改善は可能だったそうだ。なおDHT-S217同様に、3つのサウンドモード(Movie、Music、Night)も搭載されているが、それぞれのチューニングも見直されている。

 「物理的にパーツを変えるのとは違い、わずかに変えることで世界観まで変化する面白さがあったのです。DHT-S218では、音の緻密さ、自然さの再現を重視し、聞いて幸せになれるサウンドを目指しました」と山内さんは話していた。

画像: 接続端子部もDHT-S217とまったく同じ

接続端子部もDHT-S217とまったく同じ

 接続端子はeARC/ARC対応HDMI出力とHDMI入力が各1系統、さらに光デジタルと3.5mmアナログ音声入力、サブウーファー出力という構成で、こちらもDHT-S217から変わりはない。なおゲーム再生用にも使われることを踏まえ、VRRやALLMといった信号にも対応した。その他、DHT-S218ではBluetoothのLE Audio(LC3コーデック)にも対応を果たしている。

 新製品説明会では、DHT-S217とDHT-S218の音の進化を確認することができた。再生機をテレビ経由でそれぞれのモデルにつないで、ARCで再生する。

 まず音楽CDでテイラー・スゥイフト「We Are Never Ever Getting Together」をかけてもらう(『Pureモード』を使用)。DHT-S217はS/Nや抜けがいい音ながら、低域がやや強めの表現とも思える。

 これに対しDHT-S218はクリアーさがさらに向上して広がり感がアップ、低域の押し出しが抑えられたことで情報量も増えている。続いて「Musicモード」に切り替えると、中域がふわっと広がり、低音感も末広がりの印象となる。ライブ音源との相性もよさそうだ。

画像: 「DHT-S218」の内部構造。ユニットからコンデンサーまで部品等の変更はない

「DHT-S218」の内部構造。ユニットからコンデンサーまで部品等の変更はない

 続いて映画コンテンツから『グレイテスト・ショーマン』の冒頭を再生(音声はドルビーアトモス)。DHT-S217の「Pureモード」では声の押し出しがよく、足踏みの低音もずしんと響く。

 DHT-S218では細かな音にまでフォーカスが合って、空間の描写が密になる印象。声もより明瞭になり、力感が出て、音場全体の空気が澄んでくる。「Movieモード」では広がり感が強くなり、華やかさが追加される方向だ。

 DHT-S218では、「Music」「Movie」などのサラウンドモードを選んでも何かデジタル的な処理を加えたという印象がなく、ソースの魅力を引き出してくれる鳴り方に変化するのが面白い。これが山内さんの言う「聞いて幸せになれるサウンド」なのかもしれない。

 DHT-S218は全国2000店の量販店に展示予定とのことなので、リビングのサウンドクォリティアップを考えている方は、ぜひ実機を確認していただきたい。

https://www.denon.jp

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