1967年6月にアメリカ西海岸で行なわれた歴史的な「Monterey International Pop Festival」(3日間、5セット)を素材にした記録映画が、この『MONTEREY POP モンタレー・ポップ』である。意外にもこれまで日本で正式に公開されたことはなかったらしく、今回、レストアされた4K・5.1ch版でお目見えすることになった。出演者のうち、同年末にはオーティス・レディング、70年にはジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリンがそれぞれ20代の若さで他界し、サイモン&ガーファンクルが活動を停止。アニマルズも68年に解散している。ちらっと画面に映るブライアン・ジョーンズも69年7月に変死した。刹那の時代に行なわれた、まさに一期一会の音楽フェスティバルだったわけだ。
とはいえこの映画、ライヴ・シーンを連ねるというよりは、“風俗”としてのロック~野外フェスを描くという感じでもあり、曲自体も途中から挿入されたり、完奏せずに終わるのはごく当たり前だ。そのわりに最後のラヴィ・シャンカルの演奏パートが長大なのはまことに不思議だが、彼のインド音楽や、南アフリカ出身のトランペット奏者であるヒュー・マセケラのプレイ(サックスはアル・アブルー、トロンボーンはウェイン・ヘンダーソンか?)などを入れたところに、フェスの正式タイトルに盛り込まれている語句「International」を生かそうという制作陣の意図を感じるのは私だけか。
ほか、ザ・フー、ママス&パパス、キャンド・ヒートなども登場、オーティスのステージでは、忌野清志郎が得意としたフレーズ“愛し合ってるかい”の「おおもと」にも触れることができる。監督はゴダールとの交流でも知られるD.A.ペネベイカー。
映画『MONTEREY POP モンタレー・ポップ』
2024年3月15日(金)渋谷シネクイント・立川シネマシティ他にて全国順次公開!
(C)2002 THE MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL FOUNDATION, INC., AND PENNEBAKER HEGEDUS FILMS, INC. (C)2017 JANUS FILMS