パナソニックコネクトは3月8日、都内で会見を開き、同社の持つインダストリアルエンジニアリング（＝IE）の知見を活かして、物流業界の人員不足が問題化する物流の2024年問題の解決を目指す新技術（ソリューション）を開発中であると発表した。
発表会に登壇した、（左から）パナソニックコネクト・樋口CEO、同・榊原CTO、ラピュタロボティクス・ガジャン、パナソニックコネクト・一力 エバンジェリスト
実はこの発表に先駆けていくつかの発表が行なわれており、順に紹介していくと、一つがパナソニックコネクトは、物流倉庫の管理システムを提供しているBlue Yonderをもともと子会社化しており、両社のシナジーを発揮して開発した輸送トラックヤード管理技術を北米の会社に納入した。一つが倉庫管理システムの改善で、倉庫内での必要な商品集め（＝ピッキング）を人、機械に最適に割り当てる（AIを使って最適化しているそう）「タスク最適化エンジン（仮）」の開発。一つが商品集め、移動に使うロボットの制御を、センシング技術、AI技術と組み合わせて一元制御できる「ロボット制御プラットフォーム（PF）の開発。一つが、倉庫の商品管理などをロボットによって自動化するロボティクス企業ラピュタロボティクスとの業務提携、となる。上記の各項目を統合して展開するのが、今回発表会の肝である物流の2024年問題の解決を目指す新技術（ソリューション）を開発中、ということになる。
さて、前置きが少し長くなったが、本題に入ると、物流の主に倉庫内の管理・実行（オペレーションを細分化すると、１）在庫商品の中から、納品する商品を取り出して、トラックへ載せるまでの業務、２）そうした作業をロボットで行なうための装置とソフト、３）オペレーション（タスク）を最適化するソフト、という具合に大まかに分解できるそうだ。
物流の流れをブロック化し、それぞれを最適化するソリューションを組み合わせた新しい物流ソリューションを創造
そこで肝となるのが１）の部分で、パナソニックコネクトではこの部分の標準化を行なうことが、全体の時間短縮につながると判断。そのために同社の持つインダストリアルエンジニアリング（＝IE）を用いて、個々の動作を定量化＝標準化（どのぐらいの時間がかかるか）することで、現場の負担を軽減させて、物流2024年問題（＝人員不足。あるいは待機時間の短縮など）を解決しよう、というものになる。
ざっくりとした説明となるが、倉庫内にある在庫の中から、必要な商品を取り出して、一つにまとめて、運搬用のトラックに載せるまでの時間。パナソニックコネクトでは、もともと少量・多品種の製造が多かったことで、工場内の生産性（製造管理）を高めるためのノウハウを持っていた（＝IE）。これが物流に通ずるのではないかということで、これを始まりとして、倉庫の管理業務を提供しているBlue Yonder、そしてロボティクスによって倉庫内の効率化を図っているラピュタロボティスクとの提携、加えて上で紹介したピッキングの効率化ソフトを組み合わせたサプライチェーンマネジメントを提供することで、現在の物流の問題を解決したい、と意欲を見せていた。なお、今回は技術発表であり、実際の提供は2024年度内には行ないたい、ということだった。
ラピュタロボティクスのガジャン氏。氏曰く、倉庫内を自動化すると、商品を集めるために人が歩き回る時間などが短縮できる
今回発表のソリューションを適用すると、トラックに商品を積み込む時間の可視化、定量化ができる、という図
人が倉庫内を熱く回るのではなく、人の周りに商品が集められてきて、必要な商品（プロジェクターで色「紫」が投写されている）を集めている、というデモ
ロボットハンドの改良で、細長いものでも、きとんとつかんでまとめることができますよ、のデモ
台車をトラックに見立てて、トラックに搭載する商品群が、きちんと時間通りに集められてきます、のデモ
必要な時に、必要な場所にロボットが設置できます、のデモ。設置後、パナソニックコネクトのセンシング技術によってきちんと位置・距離・方位が測定されて、素早く・正確に商品を移動できるようになる、そう
ラピュタロボティクスの倉庫の棚の組み立ての様子。柱と板をレゴブロックのように組み合わせていくだけで、在庫棚が完成します、のデモ
完成した棚の間を動き回る、商品在庫を入れたカゴ＝ビンを運搬するロボット
