マランツから、「CINEMAシリーズ」の最新モデルとなる11.4ch仕様のAVアンプ「CINEMA 30」が発表された。発売は3月中旬で、価格は¥770,000(税込)となる。

画像1: マランツ、CINEMAシリーズに、一体型AVアンプの最上位機「CINEMA 30」をラインナップ。「AV10/AMP10」のノウハウを存分に投入
画像2: マランツ、CINEMAシリーズに、一体型AVアンプの最上位機「CINEMA 30」をラインナップ。「AV10/AMP10」のノウハウを存分に投入

 CINEMA 30は、CINEMAシリーズの一体型AVアンプの最上位に位置づけられる製品で、同シリーズのフラッグシップとなるセパレートタイプの「AV10」「AMP10」の、およそ5年に及んだ開発過程で得られた各種ノウハウを投入し、担当者曰く「ひとつのマランツサウンドの頂点を一体型で実現する」をコンセプトに開発されたものとなる。

 その内容は実に多岐にわたって繊細で、AVアンプの音質に大きな影響を及ぼす、シャーシ、DAC、デジタル基板、プリアンプ、電源(トランス)、パワーアンプ、さらにはトランジスタ、コンデンサーといったパーツに至るまで入念な設計・作り込みが行なわれているという。

画像3: マランツ、CINEMAシリーズに、一体型AVアンプの最上位機「CINEMA 30」をラインナップ。「AV10/AMP10」のノウハウを存分に投入

 先に機能面を見ていくと、パワーアンプは11ch分を搭載し、サブウーファー出力は4系統あるので、計11.4chの仕様となる。パワーアンプ(2ch)を追加すれば最大で13.4chの再生が楽しめるようになる。13.4chのプリアウトも装備する。対応のサラウンドフォーマットとしては、ドルビーアトモス、DTS:X、IMAX Enhanced、Auro-3D、MPEG-H、MPEG4-AACと多彩なもの。映像系ではHDMI入力7系統(すべて8K入力対応)、出力3系統を備え、8K/60p、4K/120p、HDR10+、HDCP2.3、eARCをサポートする。その他としては、HEOSネットワーク機能、Spotifyなどの音楽ストリーミング、Wi-Fi、AirPlay2、Bluetooth、Alexa対応などのフィーチャーがある。

 次に筐体周り見ていくと、まずシャーシでは、フロントパネルについてはトップモデルAV10、AMP10と同一構造のものを採用し、ベース部分については重量のあるトロイダルトランスをきっちりと固定するために、リブ形状や2層のベースプレートを組み合わせた3層構造とし、がっしりとしたシャーシを形成。さらに銅メッキを施しているのもポイントとなる。サイドのビスについても音質を考慮して銅メッキ品を採用している。

 DACには、AV10同様に音質に有利という電流出力型を採用。他の回路からの干渉を排除するために、専用電源も搭載している。さらに、クロックの品位を高めるためのジッター除去回路をその直近に配することで、精度の高いD/A変換が行なえるように設計されており、担当者曰く、「特性だけでなく音質もいい」、と自信の表情を見せていた。

 デジタル基板についてもノイズやS/Nの特性を考慮して、小さく、短くというミニマル化を進めているそうで、積層は少なくなり、配線(パターン)もなるべく短くなるように考えられている。

 プリアンプ部には、同社の誇る高速アンプモジュールHDAMのSA2バージョンを採用。組み合わせるパワーアンプの素性(自社製)をよく理解していることからの採用だといい(インピーダンスを下げられる→ノイズの影響が減る)、加えて、そこに搭載するトランジスタやコンデンサーも、低ノイズ型の専用品を使っている。これも、同社のサウンドマスターが試聴を重ねて、パーツメーカーとの協業によって改良を施したものになる。コンデンサーについては、兄弟モデル「CINEMA 40」に対して30%の容量アップが図られているそうだ。ちなみに、HDAMブロックは、経路の最短化を図って千鳥の配置となっている。

画像: ▲高速アンプモジュール「HDAM SA2」。パーツが千鳥配置されているのが分かる

▲高速アンプモジュール「HDAM SA2」。パーツが千鳥配置されているのが分かる

 さて、重量級のトランスについては、AMP10同様に中央に配置し、その両端に左右chのアンプブロックを対称に配置するという、マランツ一体型AVアンプの最高峰に相応しい、理想的なレイアウトを実現している。これによって、トランスとパワーアンプが離れるため、トランスからのハムノイズの低減も図られている。

 メーカーリリースからその特徴を列記すると、下記のようになる。
・新世代のマランツデザイン――伝統的なデザインエレメントを受け継ぎながら、現代的な解釈により生み出された新しいハウジング
・Dolby Atmos、DTS:X、IMAX Enhanced、Auro-3D、MPEG-H、MPEG-4 AACに対応――新世代の3Dオーディオフォーマットを網羅。パワーアンプの追加で13.4chまでの拡張が可能
・独立基板型11chフルディスクリート・パワーアンプ――実用最大出力250W(6Ω、1kHz、THD10%、1ch駆動)を実現。5chバイアンプ駆動にも対応
・「HDAM-SA2」搭載13.4ch電流帰還型プリアンプ――Hi-Fiオーディオコンポーネントと同一の回路構成の採用により、情報量と密度感が向上
・8K/60Hz、4K/120Hz、HDR10+、HDCP2.3、eARCに対応――最新の映像コンテンツを楽しむための新規格に幅広く対応。7入力が8K/60Hz、4K/120Hzに対応
・HEOSテクノロジーを搭載した先進のネットワーク機能――ストリーミング(Amazon Music HD、AWA、Spotify)、インターネットラジオ、ハイレゾファイル再生
・Wi-Fi、AirPlay 2、Bluetooth?、Alexa対応――ワイヤレスで手軽にミュージックストリーミング。Bluetooth送信にも対応。音声でハンズフリー操作
・より美しく、使いやすく洗練されたインターフェイス――HD GUI、セットアップアシスタント、Marantz AVR Remoteアプリ、スマートセレクト機能

画像: ▲「CINEMA 30」の特徴的なパーツ群。左上から時計周りに、専用開発のカスタムコンデンサー、カスタムパワートランジスター、そしてHDAM SA2

▲「CINEMA 30」の特徴的なパーツ群。左上から時計周りに、専用開発のカスタムコンデンサー、カスタムパワートランジスター、そしてHDAM SA2

 ここでは、兄弟モデル「CINEMA 40」との比較試聴も体験できたので、簡単にそのインプレッションを紹介したい。CINEMA 40と比べての印象となるが、音の分離がよくなり、細かい音がより鮮明に聴こえてくるようになった。一聴してS/Nの向上が感じられるサウンドになっているのが分かった。さらに、密度感やエネルギー感もアップしていて、音に艶やしっとりとした雰囲気も加味されたものになっている。試聴では大型のスピーカーシステムを組み合わせているが、音の出方がよりスムーズになり、頑張って鳴らしています、という印象もなくなった。特に音楽ものの映画作品では、声の質感が上品になり、聞きほれるような再現をしてくれたのが印象に残った。

画像4: マランツ、CINEMAシリーズに、一体型AVアンプの最上位機「CINEMA 30」をラインナップ。「AV10/AMP10」のノウハウを存分に投入

CINEMA 30の主な仕様
搭載パワーアンプ数:11ch
定格出力:140W+140W(8Ω、20Hz - 20kHz、THD0.05%)
実用最大出力:250W(6Ω、1kHz、THD10%、1ch駆動、JEITA)
適合インピーダンス:4 - 16Ω
S/N比:102dB(IHF-A、ダイレクトモード時)
周波数特性:10Hz~100kHz(+1、-3dB、ダイレクトモード時)
HDMI端子:入力×7(8K対応入力×7)、出力×3(8K対応出力×2)
映像入力端子:コンポーネント×1、コンポジット×2
音声入力端子:アナログ×7、Phono(MM)×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2
音声出力端子:13.4chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドホン×1
その他の端子:ネットワーク×1、USB(フロント)×1、USB-A×1(リア、5V/1.5A 給電専用)、セットアップマイク入力×1、Bluetooth/Wi-Fiアンテナ入力×2、RS-232C×1、DCトリガー出力×3、フラッシャー入力×1、マランツリモートバス(RC-5)入出力×1
無線LAN:ネットワーク種類 IEEE 802.11 a/b/g/n/ac準拠(Wi-Fi準拠)、周波数 2.4GHz / 5GHz
Bluetoothバージョン:5.4
対応プロファイル:受信 A2DP 1.4 / AVRCP 1.5、送信 A2DP 1.4
対応コーデック:SBC
送信出力 / 通信距離:Class 1 / 約30m(見通し距離)
電源:AC 100V、50 / 60Hz
消費電力:780W
待機電力:0.2W(通常スタンバイ)/ 0.5W(CECスタンバイ)
外形寸法:W442×H189×D457mm(アンテナを寝かせた場合)
質量:19.4kg
付属品:かんたんスタートガイド、保証書、リモコン(RC051SR)、単4形乾電池×2、セットアップマイク、マイクスタンド、ケーブルラベル、Bluetooth / Wi-Fiアンテナ×2、電源コード

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