イタリアの映画製作ブランド「T3」創設者であるアレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラの三監督が完成させた、初の英語長編映画。2020年、アメリカ最大のホラー映画祭であるスクリームフェスト・ホラー映画祭に選出された短編を元にした、フルレングス・ヴァージョンだ。

 タイトルは、サイモン&ガーファンクルのヒット曲に由来するのだろう。主人公のエマ(ペネロペ・サンギオルジ)はニューヨークで暮らしながら、どうにかプロの歌手になりたいと奮闘しているが、壁はなかなかに厚く、オーディションの結果もかんばしくない。そんなさなか、父親が入院したとの報を受け、エマは母国イタリアに帰省する。母親によると、突然狂暴になった父親に、殺されるかもしれないとすら思ったという。父が穏やかな性格であることは母もエマもよく知っているので、どうして暴力的な行動に出たのか理解できない。

 実家に戻ったエマは、屋根裏につくられた父親の「趣味部屋」に久しぶりに入り込む。そこにあったのは年代物のラジオ。このラジオ、なぜか勝手にスイッチがつき、音楽が流れ始める。こちらからは音を立ててはいけない、ここには何か「魔」が潜んでいる……。以降、翻弄されていくのは、エマも、この映画を観ている我々も一緒だ。

画像: 要注目の映画製作ブランドがおくる、「音」と「静寂」がコントラストをなすホラー作品『サウンド・オブ・サイレンス』

 音楽が鳴っているときの怖さ、鳴っていない静寂のときの怖さ。タイプの異なるふたつの「怖さ」が、熱湯と冷水のようにこちらに降り注いでは、体を引き締まらせる。たぶんこれが昭和の公開であれば「呪いのラジオ」のような邦題がついたのもしれないなとも思いつつ、流れに浸った。

映画『サウンド・オブ・サイレンス』

2024年1月26日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国公開!
(C)2022 T3 Directors SRL

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