タクトシュトックから、スロバキアのオーディオブランドCANOR AUDIO(カノア・オーディオ)の真空管プリアンプ「HYPERION P1」、モノーラル仕様の真空管パワーアンプ「VIRTUS M1」が、12月1日に発売される。価格はHYPERION P1が¥2,750,000(税込)、VIRTUS M1は¥6,600,000(ペア、税込)となる。

画像: 「HYPERION P1」

「HYPERION P1」

画像: 「VIRTUS M1」

「VIRTUS M1」

 今回発表の2モデルは、REFERENCE LINEと位置付けられるフラッグシップモデルで、同社の持つ真空管技術を惜しみなく注いだ集大成と呼べる製品に仕上がっているという。

 CANOR AUDIOでは、使用するすべての真空管は、特別に自社内で開発された独自の「BT-1」「TTM-1」「Aladdin」測定器で測定・選別され、最高品質の真空管のみが使用を許可されるという。また、各製品の品質は、最新のオーディオ・プレシジョン・テスト機器によって管理され、製品はバーンイン後に全数最終試聴テストを行なうそうだ。つまり、生産におけるすべての技術的プロセスは、高品質な製品を製造するという唯一の目的の達成につながっていることになる。

 また、同社の全ての製品において、プリント基板の製造にCMTテクノロジー(CANOR PCB Milling Technology)が採用されている。これは、製品の音響性能を向上させるための長期的な取り組みによって生まれたものだといい、電子回路は比較的高いインピーダンスで動作しており、(コンデンサーと同様に)接線による劣化は音像や空気感の劣化をもたらすことになるが、同テクノロジーによってプリント基板の誘電損失係数(損失接線)を空気損失係数に近づけることが可能になった、とする。

 写真から分かるように、この技術は、基板の計算された位置にホール(穴)を空けることが出来るものであり、この技術によりワイヤー接続ではひじょうに高価で、高品質なテフロン絶縁ワイヤーを必要とするような優れたパラメーターを達成しているところが特徴となる。

 さらに、この技術には100%同一の生産ができるという利点があり、これはワイヤー接続では不可能であり、ワイヤーを使った接続に比べて、数倍の短さで回路を構築できるのも大きな利点になると謳っている。

 その他、CANOR AUDIOは、数多くのブランドの製造(OEM生産)を請け負っているそうで、つまりは 巧みな設計と生産技術が両立していることの証左でもあると言えるだろう。

真空管プリアンプ「HYPERION P1」

 さて、HYPERION P1は、CANOR AUDIO渾身のゼロフィードバック・ピュアクラスA真空管プリアンプ。HYPERION(ハイペリオン)とは、ギリシャ神話の太陽神の名前で“高みを行くもの”という意味があるそうだ。

画像1: 真空管プリアンプ「HYPERION P1」

 堅牢なアルミニウム製のシャーシは、耐久性に優れ余計な振動を低減させることが可能であり、特別に設計された100V専用電源トランスによって、クリーンな電源の使用をも可能としている。こうした、情熱をもって設計されたP1は、音の厚み、空間表現、真空管とは思えないセパレーション、真空管らしいリニアリティを備えている、としており、同社インテグレーテッドアンプ「AI1.10」で感じられたサウンドに、音楽の陰影までも感じさせる表現力の深さを獲得していると、取り扱い社では評している。

画像2: 真空管プリアンプ「HYPERION P1」

 アッテネーターの信号経路は、右チャンネルと左チャンネルで独立したバランス設計を採用。1dB単位のゲイン制御を提供し、最小減衰量は63dBとなる。これはオリジナル設計となり、信号はボリュウムに応じて、0から最大6個のリレー接点を通過する。さらに、アッテネーターは特殊なアルミボックス(厚さ10mm)によって強固なシールドを受け、特殊な設計により振動も抑制しているという。

 また、アッテネーターコントロールは、オプティカルドライバーを介して電気的に分離されていて、さらにアッテネーターや電子部は防振パッド(支柱)上に配置されることで、全体的な振動の除去にも貢献しているそうだ。

 Hyperion P1は、バランス回路&ピュアクラスAプリアンプとして設計を受けながら、グローバル・フィードバックを避けるなど、信号の高純度増幅に徹底的にこだわった仕様となっているのも注目点。アナログ部とパワー部は厚さ10mmの強固なアルミ壁で隔てられており、相互の干渉も防いでいる。

 使用する真空管については、全て200時間のバーンインを行ない、最高のパフォーマンスが得られる状態になった後で、さらなるテスト、選別、ペアリングが行なわれるということだ。つまりは、完璧なマッチングがとられていることになる。

HYPERION P1の主な仕様
ゲイン:11dB(XLR OUT)
周波数帯域:10Hz~80kHz ±0.1dB
出力インピーダンス:<150Ω
入力インピーダンス:30kΩ
入力:XLR Stereo×4、RCA Stereo×5(XLR/RCA 各1 FIX OUTに切替可能)
THD:< 0.005% / 1kHz,2V RMS (XLR) < 0.3% / 1kHz,49V RMS(XLR)
チャンネルセパレーション:> 110dB
SN比:> 115dB / 20 Hz – 80kHz
使用真空管:6922×4 / 6H30PI×2
電源:100V 50-60Hz 180VA
寸法:W450×H190×D465mm
質量:29.0kg
付属品:オリジナルリモコン、先端変更用スパイク×4、インシュレーター×4、電源連動用トリガーケーブル×2

真空管モノーラルパワーアンプ「VIRTUS M1」

 VIRTUS M1は、CANOR AUDIOリファレンスラインに位置する、最新設計ピュアクラスA真空管パワーアンプ。VIRTUS(ヴィルタス)とは、古代ローマにおける美徳であり、勇敢さ、卓越性、勇気といった意味を持っているそうだ。回路は、ブリッジ接続によるバランス設計となっており、HYPERION P1と同様の堅牢なアルミニウム製のシャーシは、耐久性に優れ余計な振動を低減する効果を持っている。超対称デザインが、信号干渉を排除する働きを持っている。

画像1: 真空管モノーラルパワーアンプ「VIRTUS M1」

 本機には、「AI1.10」でも好評の、トライオードモード(55W)とウルトラリニアモード(110W)をスイッチひとつで切り替えられる機能に加え、新たにフィードバック接続とゼロ・フィードバック接続を音楽の再生中に瞬時に切り替えられる機能を追加。当初は、最高のパラメーターに到達させるために、フィードバック接続で設計を始めたそうだが、長期間のテストとサウンドチューニングの過程で、ゼロ・フィードバックの方がサウンド的に好ましく感じる人が多い、という結論に達したそう。そこでユーザーが選択できるように瞬時に切り替えられるスイッチをリアパネルに搭載したということだ。そのため、本機は、音楽の種類や、組み合わせるスピーカー、そしてユーザーの好みによって、トライオード / ウルトラリニア、フィードバック / ゼロ・フィードバックを自由に組み合わせることが可能となった。

画像2: 真空管モノーラルパワーアンプ「VIRTUS M1」

 その切り替えは、リアパネルのスイッチによって、音楽再生中でも、瞬時に切り替えOK。トライオードモードとウルトラリニアモードについても、電源をOFFにすることなく前面パネルのボタンを用いて切替ができる(真空管の長寿命化のために、音楽ソースを一時停止してから切り替えることが推奨されている)。

画像3: 真空管モノーラルパワーアンプ「VIRTUS M1」

 オリジナルのトランスのコアは真空含浸されていて、さらにトランス全体は特殊な防振コンパウンドでカプセル化されているという、さらに、トランスが設置されている堅牢な溶接されたカバーは、強力な電磁シールドとしての役目を果たし、優れたS/Nにも大きく貢献しているそうだ。

 出力パーマロイ・トランスは、本機専用に特別設計されたもの。信号経路には高品質のポリプロピレン・コンデンサーだけを使用し、信号経路の導体は、純銀でコーティングされた低速引き抜き無酸素銅で構成されるという手間のかけよう。リファレンスラインらしい、全てにおいて一切の妥協を排した仕様としている。

VIRTUS M1の主な仕様
出力:110W(8Ω)×1 Ultra Linear(THD < 3%)/125W(8Ω)×1 Ultra Linear (THD 5%)/55W(8Ω)×1 Triode (THD < 3%)/70W(8Ω)×1 Triode (THD 5%)
入力:XLR×1
ゲイン:24dB/4Ω
周波数帯域:10Hz~50kHz ±0.5dB/5W
入力インピーダンス:200kΩ
THD:< 0.05% / 1kHz,5W / 8Ω Ultra Linear < 0.005% / 1kHz,1W / 8Ω Ultra Linear
SN比: > 103dB / 20Hz – 80kHz
使用真空管:KT150×4、ECC82×2、12AX7×1
電源:100V 50-60Hz 410VA
サイズ:W450×H190×D465mm
質量:40.0kg
付属品:先端変更用スパイク×4、インシュレーター×4

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