コルグは、同社が提唱するインターネット動画配信システム「Live Extreme」についてふたつのトピックを発表した。

 まず、Live Extremeの最新版となるVersion 1.11で、Amazon S3へのアップロードに対応した。

 ライブ配信では一般的に「RTMP」(Real-Time Messaging Protocol)が利用されているが、Live Extremeでは音声コーデックに、FLACやApple Losslessなどのロスレスフォーマットが採用されていることから、再生データそのもの(HLSやMPEG-DASH)をライブ・エンコーダー内で生成し、ファイルをWebDAVまたはFTPプロトコルでオリジンサーバーにアップロードする方式が採られてきた。

 このため、従来のLive Extreme配信プラットフォームでは、クラウド上に仮想サーバー環境を用意し、その上に高スループットのWebDAV/FTPサーバーを立ち上げる必要があった。これには専門の知識とチューニングが必要となるため、新規配信プラットフォームを構築する上での課題となっていたそうだ。

 Live Extreme Encoder v1.11では、ライブ配信データを、AWS(Amazon Web Services)が提供するAmazon S3(Simple Storage Service)サーバーに直接アップロードする機能が追加されている。Amazon S3 Transfer Accelerationを使って、海外のサーバー(バケット)にデータを高速伝送することも可能という。

 これにより、Live Extreme配信サーバーを誰でも短期間で安価に構築することができるほか、CloudFront、Lambdaなど他のAWSサービスと組み合わせることにより、世界配信可能なプラットフォームも容易に実現可能となる。

 コルグでは、Live Extreme Encoder v1.11のリリースに合わせ、配信事業者に対し、AWSを利用した配信プラットフォーム構築の技術サポート、および受託サービスを開始していくとのことだ。

画像: コルグのインターネット動画配信システム「Live Extreme」の最新版が、Amazon S3へのアップロードに対応。さらにIIJが同サービスの取り扱いを開始する

 そしてもうひとつ、IIJ(インターネットイニシアティブ)がLive Extremeの取り扱いを開始した。

 IIJはこれまで、自社のコンテンツ配信ネットワーク「CDN」(Content Delivery Network)を使ったスポーツやコンサート中継を手がけてきた。そこでは高画質・高音質の実現に向けて、コルグと協力しながら先進技術の検証やサービス企画を進めてきている。

 2015年4月にはDSD 5.6MHzによるライブストリーミング配信の実証実験を開催、2020年10月にはレコーディングスタジオの演奏をLive Extremeを使ってハイレゾ音声&4K映像でライブ配信する実験も行っている。2021年の東京・春・音楽祭でもLive Extremeによるロスレス&4K配信を実施した(一部公演について)。

 IIJは、今回正式にLive Extremeの商業契約を結ぶことで、同社が長年培ってきたインターネット配信技術と組み合わせて、高画質・高音質を楽しめる配信サービスやソリューションを拡充していくと発表している。

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