明日6月29日(木)〜9月24日(日)までの期間、東京・天王洲の寺田倉庫 B&C HALL/E HALLにおいて「金曜ロードショーとジブリ展」が開催される。

 StereoSound ONLINE読者諸氏ならご存知のことと思うが、「金曜ロードショー」は1985年から日本テレビ系列で放送されている映画番組だ。1972年にスタートした「水曜ロードショー」が金曜日に移行、番組名を変更して国内外の映画番組を放送している。当時は毎週映画作品が楽しめる貴重な番組として、映画ファンを喜ばせていた。

 中でもスタジオジブリ作品との関係も深く、1986年には『風の谷のナウシカ』を放送(同作の初放送は1985年の日本テレビ特別番組とのこと)し、以後200回以上スタジオジブリ作品をオンエアしている。

画像1: (C)Studio Ghibli

(C)Studio Ghibli

 1980〜1990年代は金曜ロードショーで放送されることで一般観客への作品の認知度も大きく変わったとかで、『となりのトトロ』も公開時の劇場興行成績は厳しかったが、同作が金曜ロードショーで放送された後に人気が拡大したのだという。

 今回はそんな金曜ロードショーの歩みを辿りながらスタジオジブリの魅力を振り返る展示会ということで、数多くの貴重なポスターやアイテムも展示されていた。昭和から平成、令和に至る時代の変遷も感じることもできる内容だ。

 そして本日、株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木敏夫氏、日本テレビ放送網株式会社 代表取締役 会長執行役員 杉山美邦氏、KDDI株式会社 執行役員常務 竹澤 浩氏の3名を迎えて開会セレモニーが行われた。

画像: 左から日本テレビ放送網株式会社 代表取締役 会長執行役員 杉山美邦氏、株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木敏夫氏、KDDI株式会社 執行役員常務 竹澤 浩氏

左から日本テレビ放送網株式会社 代表取締役 会長執行役員 杉山美邦氏、株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー 鈴木敏夫氏、KDDI株式会社 執行役員常務 竹澤 浩氏

 まず登壇した杉山氏は、金曜ロードショーがスタートした1985年はスタジオジブリが設立された年でもあり、意義深いと感じていると語った。それから合計203回スタジオジブリ作品を放映しているが、常に視聴者から高い支持を得てきたそうで、名作を提供してもらって感謝していると話していた。

 さらに日本テレビの社員の言葉として、小学生、大学生、結婚した後といった具合に、自分の人生と共にスタジオジブリ作品の見方が変わってきたという意見もあったそうで、これからも金曜ロードショーで同スタジオの名作を提供していきたいと語った。

 続いて登壇した竹澤氏は、1985年は通信のまさに自由化が始まった頃だったと当時を振り返っていた。また今回の展示の中に、竹澤氏が当時販売していた携帯電話もディスプレイされていたとかで、歴史の長さを感じていたそうだ。

画像2: (C)Studio Ghibli

(C)Studio Ghibli

 同社では2010年頃からスタジオジブリと協業しているそうで、今回も会場内の数ヵ所でKDDIのAR技術を使った展示も行っている。具体的には入り口で専用アプリをインストールしておき、「初登場! ジブリ映画ポスタースタジオ」と「風の谷のナウシカ 王蟲の世界」に置かれているQRコードを読み込むと、スマホの画面上に背景に合わせたイメージが表示されるという。実際に試してみたが、どちらもARの完成度はひじょうに高いので、来場した際にはぜひ試していただきたい。

 最後に登場した鈴木氏は、今回の「金曜ロードショーとジブリ展」に関連して思い出した人がふたりいると語った。ひとりは日本テレビの代表取締役会長だった故・氏家 齋一郎氏で、もうひとりは徳間書店初代社長の故・徳間康快氏という。このふたりがスタジオジブリの設立にも関わっており、ジブリ作品が地デジでは金曜ロードショーでしか放送しないのは、ふたりが若い頃から仲が良かったことも一因なのではないかと話していた。

画像3: (C)Studio Ghibli

(C)Studio Ghibli

 さらにセレモニー終了後の質問タイムで7月14日に公開される宮﨑 駿監督の劇場最新作『君たちはどう生きるか』について聞かれた鈴木さんは、「新作の宣伝をしないのは、公開前に作品の内容を伝えることで、見る人の興味を削いでいるような気がしたからです。一切宣伝がないと、視聴者はどう思うかが気になった。情報がないことがエンタテインメントになるのではと考えたんです。うまくいくかどうかはわからないけど、それを信じてやっています」と答えた。さらに宮﨑さんの現状について「宮崎監督は元気です。『宣伝しなくて大丈夫かな?』と心配しています(笑)」と話して会場を盛り上げていた。

 また金曜ロードショーで思い出に残っている作品については「『風と共に去りぬ』です。テレビで映画を見るということにおいては、当時の熱狂は忘れられない。実は今回の企画の言い出しっぺは僕なんです。スタジオジブリは10年間映画を発表していなかった時期があったんですが、この期間は金曜ロードショーがファンとつないでくれた。特に若い人は映画館では作品を見ていないといわれまくったんです。これがヒントになりました」と、視聴者の作品との出会い方が変わってきていることをどう捉えているかも話した。

画像: 記者の質問に応える鈴木プロデューサー

記者の質問に応える鈴木プロデューサー

 さらに、「スタジオジブリは40年近く活動してきて、長い歴史をしょってきました。最近は歴史を追いかけることが必要条件になってきたけれど、これまでのイベントはジブリが主体のものがほとんどだった。でも今回は、日テレさんが主体なのでイメージが違う。これまでの美術展示から、参加形、エンタテインメントになっている。やる人が変わるとこうも違うもんかなと言うのが僕の感想ですね」と今回の展示会についての感想にも触れて質問は終了となった。

 その「金曜ロードショーとジブリ展」の概要は以下の通りで、展示内容は大きく5つのブロックに分けられている。その詳細については追って紹介するのでお楽しみに。(取材・文:泉 哲也)

「金曜ロードショーとジブリ展 東京展」
●会期:2023年6月29日(木)〜9月24日(日)
●会場:東京・天王洲 寺田倉庫B&C HALL/E HALL
●主な展示内容:“金ローとジブリ”のヒストリーを巡る圧巻のデータベース、ほぼ全作品の絵コンテを展示!ジブリ作品の“設計図”に迫る、初登場!ジブリ映画ポスタースタジオ、ジブリの幻灯楼、風の谷のナウシカ 王蟲の世界
●通常チケット(税込):大人¥1,800、中・高校生¥1,500、小学生¥1,100
●特典付きチケット(税込):大人¥2,700、中・高校生¥2,400、小学生¥2,000※日時指定予約制、チケットはローチケ、日テレゼロチケで購入できます
●問い合わせ:ハローダイヤル050-5541-8600(9:00〜20:00)
●主催:日本テレビ/ローソンチケット/ディスクガレージ/第一通信社/TOKYOFM
●特別協賛:au(KDDI株式会社)、スタジオジブリ
●協賛:寺田倉庫/図書印刷

富山展も開催決定
●日程:2023年10月7日(土)〜2024年1月28日(日)
●会場:富山県美術館
●チケット:日時指定、詳細は後日発表
●主催:富山県、金曜ロードショーとジブリ展富山展実行委員会(富山県美術館、北日本放送、北日本新聞社)

金曜ロードショーで3週連続スタジオジブリ作品を放送
7月7日『風の谷のナウシカ』、14日『コクリコ坂から』、21日『もののけ姫』
※21時からの放送で、“フライデーおじさん” のオープニングも復活

This article is a sponsored article by
''.