作品のタイトルにもなっている“GONZA”とは何か? という謎解き要素とともに、作品紹介で明かされているメインキャスト5人が入れ替わってしまうというストーリー。果たして、5人の魂(?)は元の体に戻れるのか? 二つの軸に、さらに人間の本質や多様性を問う展開を、コメディ色もたっぷりに描いたオリジナル作。ここでは、作中できらりと光るクールビューティー北嶋ナディアを演じた坂巻有紗にインタビュー。役作りの苦労を聞いた。

――よろしくお願いします。今回演じられたナディアは、途中から人格(中身)が入れ替わってしまいます。オリジナルナディアと、入れ替わったナディアでは、どちらがご自身に近いのでしょうか?
 そうですね、どちらかと言えば、鹿島拓海(上村侑)と入れ替わった後の方でしょうか。喜怒哀楽の感情がすぐに出てしまうところは似ていると思います。その意味では、オリジナルナディアは、すごく澄ましていました(笑)。

――すると、拓海と入れ替わった後のナディアは、結構、ご自身に近いと。
 近くはありますけど、拓海の雰囲気を出すために、結構、作り込んではいました(笑)。具体的に言えば、ちょっと気の弱い感じをより出すようにしたところでしょうか。しかも、憧れていたナディアの体になっているわけですから、どうしたらいいのか、どう動けばいいのかも分からない。その“どうしよう”みたいな感じをより出すようにしました。

――そう伺うと、入れ替わってからは、心の機微や動きが、より表現されていたように思います。
 撮影中は、喜怒哀楽がすごく多かったので、どっと疲れましたし、それこそたくさん悩みました。演じるにあたっては、台本に書かれていることだけではなくて、入れ替わる相手(上村さん)や監督ともたくさん話し合って、こうしたほうがいいねっていう案を出し合って、役を固めていきました。

――一方で、入れ替わった後の上村さん(外見は拓海/中身はナディア)は、歩き方一つとってみても、女性らしさを強く感じました。
 すごいですよね。だからこそ、上村さんの歩き方を見て、参考にして、(中身が拓海の)ナディアの歩き方をちょっと変えてみようかなって思いました。実は、上村さんの演じるナディアが本物なんじゃないかって思うぐらい、すごかったです

――上村さんの動きマネをする時に、こういう風にした方がいいというアドバイスはありましたか?
 上村さんとは、お互いを演じなければいけませんから、現場ではたくさん話し合いをして、たとえば好きな作品とか、好きなご飯とか、まあたわいもない内容ではありますけど、そういう話をたくさんして、お互いについて知るという機会はたくさん持ちました。お互いの素の部分を知り合って、共通項を見つけていって、という感じです。

――普通ですと、ナディアの役作りについてお聞きするのですが、今回はまず、ベースのナディア(入れ替わる前)があった上で、上村さんと入れ替わったナディアがいるわけですから、役作りは、より大変だったのではないでしょうか?
 そうなんです、もう本当に大変でした! 人って「無くて七癖」というように、少しの動作にも癖があるじゃないですか。だから、そういうところを見逃さないように、お互いの癖(仕草)を意識しながら、それこそ撮影中は毎日、上村さんとコミュニケーションを取るようにしていました。

――話は戻りまして、出演はどのように決まったのでしょう?
 オーディションでした。決まったのがコロナ前でしたので、いつ撮影が始まるのかなって、待っている時間は結構長かったですね。オーディションでは、ナディアの入れ替わる前と後の両方をやりまして、おそらく入れ替わった後の芝居を見て、監督がいいと思ってくださったのかな、と思っています。

――オーディションの時って、お芝居というか役作りはどのようにするのですか?
 やはり、そこには監督の思う像があるので、作り込むというよりかは、その場で監督の指示に従ってお芝居する方が多いです。私は、結構役に入り込んでしまうタイプなんですけど、オーディションでは監督が、作品とは違う状況設定、たとえば、いまここは遊園地で、こうなります、はいどうぞ、みたいな即興の指示を出されたので、それを3、4回やったのは覚えています。

――そうしたオーディションを経て、決まったと聞いた時は?
 嬉しかったです。それこそ、オーディションの時から演じていてすごく楽しい役でしたし、あのオロオロしたり、目をキョロキョロしている拓海のキャラが大好きなんですよ。完成した映像を見た時に、目をキョロキョロさせているところに楽しそうな効果音が付いているのが、すっごく面白いなと思って。現場では、自然と言うか、ほぼ無意識でやっていたので、客観的に見て、こんな面白くなっているんだって有り難かったですし、とにかく楽しかったです。

――本作は、いろいろなキャラを持った登場人物がいますし、それぞれが入れ替わってまた、そのキャラというか、個々人のアイデンティが、より深く描写されています。
 そうですよね、台本を読んでまず、1人1人のキャラ――入れ替わる全員――がすごく立っているなって感じました。だからこそ、1人1人の人生を感じられるし、入れ替わった後でも、違う人物にそのキャラが出ているのが面白いし、みんなで元に戻ろうと奮闘している姿も、とても愛おしかったです。本当に1つの社会を見ているような感覚がありました。

 拓海に関しては、自分に自信がなくて、コンプレックスも強いキャラなので、そうした雰囲気を感じてもらえるようなお芝居を心掛けつつ、実はオロオロしているように見えても芯はしっかりしている。そういうギャップを大事にしていました。

――オロオロしている拓海とは反対に、オリジナルナディアにはブレない芯がありました。
 そうですよね。もうまっすぐでかっこいいです。そのナディアの変わりようも、はっきりと分かるように演じ分けていました。とはいえ、劇中の8割ぐらいは中身が入れ替わっているんですけどね(笑)。

――話を戻しまして、最初に2人が出会うシーンで,拓海はいきなりナディアに告白します。
 ナディアからしたら、人の気持ちが分からない女の子なのに、初めて会う人にいきなり告白されて、“えっ、何言ってるのこの人?”って思うのと同時に、好きっていう気持ちが分からないからこそ単純に、その言葉や相手に対しての興味がわいてきて、ちょっと気になる存在になったのかなと思います。でも、実際にあれを言われたら、普通は、何言ってるの! って思いますよね。

――中身が入れ替わってからは、それぞれ内に秘めていた思いが出てきたように感じます。演じてみて、あるいはほかのキャストの芝居を見ていかがでしたか?
 やはり、その人になってみないと分からないことってたくさんあって、それこそ私もナディアと拓海を演じることで、その人なりの悩みとか、考え方があるんだなっていうのが感じられたし、5人それぞれにきちんと思っていることがあって、考えがあって、悩みもあってというのを見ることができたのは、いい意味で人間らしいというか、親しみやすさを感じられたし、それあるあるっていう風に思いました。

――それは、監督が描きたかったテーマの1つなのかと感じました。
 そうだと思います。やはり生きていく上では、そういうことあるよねって、人の多様性みたいなものを、再認識じゃないですけど、こういう人たちもいるよね、頑張っているよねっていう感じで観ていただけたら、いいなと思います。

――ところで、ご自身を外から見たらどうでしょう?
 えっ、私を外から見たらですか? うーん、まず元気だなっていうことと、自分で嫌だなぁって思っているのは、ご飯を食べたらすぐに眠くなってしまうところなんです。なんでこんな眠くなるんだろうって。悔しいです。

――ナディア(中身は拓海)は、途中から表情が明るくなってきました。
 そうなんです。中身は拓海であるので、拓海らしさを表現しつつも、その拓海自身にも変化が出てきているところなので、ナディアの変化というよりかは、拓海としての心境の変化を演じ分けていくのはとにかくたいへんでした。拓海にも色々なことがあって、色々な経験をした上での、変化だったと思います

――そして、拓海とナディアの距離も、少しずつ縮まっていきます。
 もう、キュンキュンですよね! でも、その時のこと(撮影)って、役になりきっていたからなのか、実はあまり覚えていないんです。後で完成した映像を見た時に、え~っ、私こんなことしていたの~って笑っちゃいました。

――話は飛びますが、今回エンディングで歌唱(コーラス)も担当しています。
 ありがとうございます。がっつりとレコーディングさせていただきました。実は歌うのは大好きなんですよ。だからもう、今回、大黒摩季さんと共演させていただけてとても光栄でした。歌声はパワフルですけど、ものすごく優しい方で、私の歌声を「日本のジャスティン・ビーバーみたい」って褒めて下さったんです! これから歌も頑張っていきたいって強く思いました。

――歌は得意なのですか?
 はい! よく一人でカラオケに行くので、そこで磨かれたのかなと思います(笑)。

――すると、将来は。
 そうですね、お芝居をメインにしつつ、歌にもすごく興味があるので、両方を頑張って、オリジナル曲を出したり、ライブもしたいです。ちょうど最近、SNSでの歌唱映像も出しも始めたので、たくさんの方に私の歌声を聞いてほしいです。

――ところで、話は飛びますが、特技に砲丸投げと書いてあります。
 中学時代にやっていました。陸上部員でしたけど、砲丸投げも兼任でやっていたんです。

――なぜ砲丸投げに?
 自分でもよく分からないんですけど(笑)、陸上部でしたから、たまたま走り幅跳びをした時に、隣で砲丸投げをやっていたんです。ちょっと休憩がてら砲丸を投げてみたら、思いのほか飛んでしまって。そこでスカウトされて、砲丸投げの選手に登録されてしまった……という流れです。

――なかなか面白い経歴ですね。では最後に、メッセージをお願いします。
 ありがとうございます。今年は、本作の他にも、皆様にお届けできる待機作が控えておりますので、この『GONZA』を皮切りに、どんどん登っていきたいです。とにかく『GONZA』はクスっと笑えて、とても素敵な映画に仕上がっているので、たくさんの方に観ていただきたいです。よろしくお願いします。

映画『GONZA』

6月30日(金)公開より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

<STORY>
大のゲーム好き以外は取り柄がない鹿島拓海は、奈良で実施する新人研修に初日から遅刻してしまう。
あわてて走り込んだ研修センターの廊下で、すれ違いざまに才色兼備な新人女性社員・北嶋ナディアとぶつかり一目惚れ!
5人が一組となり、研修最終日にプレゼン発表のミッションがくだる。
拓海はナディアや英美里、王、イバンと同じチームになり、資料作りをしていると、予期せぬ出来事が!
神様のお供物・権座(GONZA)を口にした後、「人間が食べると罰が当たる」とされる鹿せんべいをつまみ食いした拓海のせいで、チーム5人の身体が入れ替わっちゃった!?
「僕の私の身体はどこ?」「秘密がバレてしまう!」「思うように動けない?」「そもそもなんで!!!」
LGBTQ、車イスユーザーなどごちゃまぜな状態に。
うろたえる5人に、研修担当社員・松永は、奈良観光気分を味わえるように開発されたゲーム「ファイ奈良ファンタジー」の
ヒントを出した。
入れ替わったことで、私ではない誰かの悩みやコンプレックスが浮き彫りになり、ハプニングと想いが交錯する中で徐々に見えてくる現実(リアル)。
プレゼン最終日までに、果たして5人は元に戻ることが出来るのか?

<キャスト>
上村侑 坂巻有紗
久住小春 篠田諒 鈴原ゆりあ 小西貴大/望月歩(友情出演) 川井亘 須賀由美子 真弓 大阪フィルム・カウンシル

<スタッフ>
原案:佐藤マコト 脚本・監督:千村利光 主題歌:「リアル」大黒摩季 コーラス:上村侑・坂巻有紗 劇中使用曲:INNOSENT in FORMAL「EVERYBODY」、鉄風東京「know pain」「Orion」 エグゼクティブプロデューサー:鍵谷竜之介 プロデューサー:松橋裕子  岩本京 キャスティング:宮津康彦 共同プロデューサー:神崎良 協力プロデューサー:鈴木伸明 音楽プロデューサー:田井モトヨシ 撮影: 倉田良太 岡本知大 照明:藤井隆二 録音:菊池秀人 編集:目見田健  助監督 :福田良夫 MA:越川浩道 音楽効果:安藤友章 桑野春花 VFX: 林聖也 衣裳:後原利基 ヘアメイク:戸田萌子 ごんざ監修:おかずや こよい ゲーム監修:あをにまる 音楽制作:ロードアンドスカイ・オーガニゼイション撮影協力:春日大社 東大寺 大和ハウスグループ みらい価値共創センター「コトクリエ」 奈良県奈良公園室 奈良クラブ ゲームソフト協力:株式会社Gotcha Gotcha Games 協賛:大和ハウス工業株式会社 エームサービス株式会社 株式会社応援団 AIコンサルタント株式会社 一般社団法人U6ランバイクチャンピオンシップ機構 後援:奈良県 (公社)奈良市観光協会 奈良商工会議所 制作協力:クープ 宣伝:とこしえ 劇場営業:FLICKK 配給:ベストブレーン 「GONZA」製作委員会:株式会社ハピト 株式会社G・カンパニー 株式会社MVサービス
2023年/94分
(C)2023「GONZA」製作委員会

坂巻有紗
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