19世紀フランスの文豪×2.5次元のプリンス×トップアイドル×新進気鋭のフィギュア・アーティスト。予想を超えた組み合わせが、「映像化不可能」と言われていたダーク・ファンタジー小説を、世界初映画化してしまった。

画像1: 「下尾みう」がヒロインを演じたダーク・ファンタジー作『美男ペコパンと悪魔』が公開へ。「何度も観て、感動を持ち帰ってほしい」

 タイトルは『美男ペコパンと悪魔』。『レ・ミゼラブル』、『ノートルダムの鐘』などで知られるフランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの傑作だ。CMやテレビ番組のCGを数多く手掛けてきた松田圭太監督を筆頭とする日本のCGアーティストが集まり、現代の日本と中世のヨーロッパ大陸をシンクロさせながら、迫力に満ちた闘いのシーンと、時代を経ても変わらぬ愛の形を描く。

 幻想の世界に住む青銅の巨人「ニムロデ」、カブトムシ人間「タレブ」「アイサブ」、バッタ人間「グオグオ」、森の番人「大鹿」などのデザインは、中国を拠点に世界を股に掛け活躍中のサゼン・リー、オスカー監督のギレルモ・デル・トロから作品を絶賛された米山啓介、カプセルトイ「空想生物図鑑」が人気のムラマツアユミが担当。ペコパン/青木隼人役にはミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズンで主人公・越前リョーマ役を演じた阿久津仁愛、ボールドゥール/太田亜美役には下尾みうが扮する。ここでは長編映画初出演となった下尾みうのインタビューを紹介したい。

画像2: 「下尾みう」がヒロインを演じたダーク・ファンタジー作『美男ペコパンと悪魔』が公開へ。「何度も観て、感動を持ち帰ってほしい」

――初めての長編映画で、一人二役を演じるのはなかなかないことだと思います。いきなり高いハードルが設定された感じだったのではないかと想像しますが……。
 本当に難しかったですね。でも、亜美やボールドゥールのことを思いながら演技するのはすごく楽しい気分でした。ふたりは似ているところが結構あって、亜美は本を読みながら隼人の回復を静かに待っていて、ボールドゥールも糸を紡ぎながらペコパンの帰りを待っていたり。すごく懐の深い愛を持っているひとたちだと思いました。

――二役を演じるにあたって、心がけたことは?
 女子高校生役の亜美に関しては、できるだけそのままの自然体で演技しました。ボールドゥールに関しては海外の映画に出てくるような、ドレスを着ている女の人の、おしとやかな表情や動作を意識しました。

画像3: 「下尾みう」がヒロインを演じたダーク・ファンタジー作『美男ペコパンと悪魔』が公開へ。「何度も観て、感動を持ち帰ってほしい」

――このふたりと、下尾さんとの共通点はありますか?
 あるとすれば、黙々と好きなことに取り組むところでしょうか。集中力があるという面は一緒なのかなと思いましたが、それ以外は割と違うかもしれません。「私なら絶対こうは言わないだろう」というところもありましたし……。亜美もボールドゥールもソフトなところがあって、いろんな物事を優しく受け入れるところが好きですね。

画像4: 「下尾みう」がヒロインを演じたダーク・ファンタジー作『美男ペコパンと悪魔』が公開へ。「何度も観て、感動を持ち帰ってほしい」

――台本を読んだ時の印象は?
 とても面白いなと思いましたが、何回か読んで「これはこういうことか」とゆっくり理解していきました。撮影に関しても、少しずつ慣れていった感じです。たとえば、舞台だと始まりから終わりまで、ずっとひとつの流れとしてありますが、映画はシーンごとにバラバラに撮影することが多いので、そのシーンの前はどういう場面だったかを常に考えておかないと混乱してしまうんです。撮影が始まった頃、そこが私はすごく苦手でしたが、阿久津(仁愛)さんはそこをていねいにやってらっしゃって、勉強になりました。

――阿久津さん演じる隼人のお母さん役の梅宮万紗子さんと、下尾さん扮する亜美のシーンも心に残ります。ふたりとも、ベクトルは少し違うかもしれないけど、同じように隼人を愛しく思っている。息のあった共演という印象を受けました。
 私は「隼人ママ」と呼んでいたのですが、梅宮さんはとても美しくて、お母さんのような優しさがありました。本当に物語に入り込んでいらして、三回同じシーンを異なるカメラの前で撮影するところで、毎回涙を流されていて、「本物の役者さんはこうなんだ」と、教えてもらいました。カメラが回っていないところでもすごく話しやすい方だったので、その和やかな雰囲気が映画にも表れていたらいいなと思います。

――監督の松田圭太さんにしても、よくこの壮大な物語を一本の映画にまとめたなと思います。
 監督は本当に優しい方で、役者やカメラマンの意見もしっかり尊重してくださいました。「みんなで意見を出し合って、より良いものを作っていこう」という感じでしたね。そして、そのシーンが作品全体の中でどういう位置にあるのかということを、すごくわかりやすく説明してくださいます。とても話しやすい方でしたので、私も何度も監督に質問したうえで、演技に集中することができました。優しくて広い心で、私たちを見守りながら監督をしてくださったんじゃないかなと思います。現場では、監督やスタッフの方の意見交換も普通に見ることができて、とても参考になりました。

――初めての長編映画とうかがっていますが、「そうとは思えない」ほど頼もしいところも感じられました。そこには2014年から所属しているAKB48での、さまざまな経験も自然に画面に反映されているのではないでしょうか。
 そうかもしれません。チーム8(※今年4月に活動休止)でデビューした時に47都道府県全国ツアーを行ないましたが、その中にはコントもあったし、ジャグリングもしたし、「しゃちほこ」という新体操みたいな動きなど、いろんなことに取り組みました。47人のメンバーが16人ずついろんな場所に行ってコンサートをして、すべてに私が参加したわけではありませんが、たとえば山口県の公演では、私はダンスが好きなので、ダンスだけの曲でオープニングを始めて……、このツアーはすごく大きな経験でした。

 ライブにしても、舞台(※2021年4月、PU-PU-JUICEの第29回公演『フェイクニュース』で初出演)にしても、とにかく大きく動いて、大きく声を出すのが大事というところがあったのですが、今回は映画ですし、より抑えることが求められました。この調節がすごく勉強になりましたね。撮影の最初の頃、「もっと声を小さくして」と言われたので小さくしたら「ちょっと、それじゃ聞こえないな」と言われたり。小さな声で通るように、聞こえるようにするのはこんなに大変なのかと思いました。

――最後に、これからの抱負をお願いします。
 何かを新しく始めてみたいというよりも、今の状態をよりよいものにしていきたいです。映像やステージが好きだなと改めて感じているので、舞台だったり、ライブだったり、表現する場にたくさんいたいですね。まだまだ学ぶことがたくさんあるので、よりダンスのレッスンや演技のレッスンに行きたいとも思っています。

 『美男ペコパンと悪魔』は、一回観ただけではすべて見切れないほど情報量があって、細かなところまでこだわっています。CGもたくさん使われていて、すごく面白いものになっているので、何度も観て、いろんなことに気づいてもらえたら嬉しいですね。たくさんの方に、感動を持ち帰っていただけたらと思います。

映画『美男ペコパンと悪魔』

6月2日(金)よりシネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開

<キャスト>
阿久津仁愛 下尾みう
梅宮万紗子 遠藤健慎 橘ふみ 梅村実礼 井阪郁巳 逢澤みちる 桝田幸希 希志真ロイ 佐藤考哲 岡崎二朗 堀田眞三 / 吉田メタル

<スタッフ>
企画・製作総指揮:堀江圭馬 監督・脚本・編集・VFX:松田圭太 原作:ヴィクトル=マリー・ユーゴー「美男ペコパンと悪魔」(翻訳:井上裕子) プロデューサー:梅村 安、嶋田 豪 クリーチャーデザイン:SAZEN LEE、米山啓介、ムラマツアユミ Coプロデューサー:西前俊典、小林智浩 ラインプロデューサー:藤田真一 撮影:今井哲郎 照明:月岡知和 美術:菊地実幸 録音:弥栄裕樹 アクション監督:小原 剛 特殊メイク・造形:梅沢壮一 持ち道具:重田沙織 キャスティング:瀧水和生、長谷部成彦 制作担当:白内雄大 助監督:山口雄也 主題歌:けいちゃん「シンフォニア」(TOKUMA JAPAN COMMUNICATIONS) 配給プロデューサー:佐藤嘉一 宣伝プロデューサー:植田繁 WEB制作:工藤勇生、松浦倫実 制作協力:アーティット 制作:アイエス・フィールド、カラビナ 製作:株式会社ラーテルハート 配給・宣伝:アイエス・フィールド
2023年/日本/カラー/シネマスコープサイズ/5.1ch/99分
(C)2023映画「美男ペコパンと悪魔」製作委員会(ヴィクトル=マリー・ユーゴー著)

下尾みう<ボールドゥール/亜美>
2001年、山口県生まれ。2014年「AKB48 Team 8 全国一斉オーディション」に山口県代表として合格し、同年劇場公演デビュー。2018年には日韓合同オーディション番組『PRODUCE48』に参加。54thシングルで選抜メンバーに初めて選出され、2022年10月に5度目の選抜入りとなった60th「久しぶりのリップグロス」をリリース。舞台をはじめテレビなど多数出演。舞台における演技経験はあるが、長編映画への出演は本作が初。

ヘアメイク:伊藤里香

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