映画『こわれること いきること』は、5月26日(金)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開中です。

 公開を記念して、5月28日(日)12:25から、シネスイッチ銀座 スクリーン1にて、主演:吉田伶香、共演:藤田朋子、監督:北沢幸雄が登壇する舞台挨拶を開催させていただきました。
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 映画『こわれること いきること』公開記念舞台挨拶が5月28日、東京・シネスイッチ銀座で行なわれ、主演の吉田伶香、共演の藤田朋子、メガホンをとった北沢幸雄監督が登壇した。

 本作は、東日本大震災で家族全員を失い、深い贖罪の意識と喪失感に苛まれていた遥(吉田)が、職場の介護施設での出会いを通して成長していく姿が描かれているヒューマンドラマ。

 今回、どのような役作りをしたか尋ねられると、主人公の遥を演じる吉田は「(介護士が介護施設の入居者と)どのように接しているのかを勉強したのと、期間中はナイーブなシーンが多かったのもあって、あまり人と話さなかったです」と打ち明け、「“無”じゃないですけど、通常よりは落ちていた気がします。役にやられていましたね」とコメント。そんな吉田について藤田は「伶香ちゃんは今ニコニコしていますし、(撮影時も)衣装を脱いだら笑ったり、TikTokで遊んだりしていたんですけど(笑)、現場では表情がない暗い感じの場面がとても多かったので、今それを思い出しました」と回顧した。

 一方、藤田は、夫とともに遥が働く介護施設に入居してくる遥の高校の恩師で吹奏楽部顧問だった小田由美子を演じたが「役が若年性認知症で難病ということもありまして、実は最初に監督からオファーがあったときに『私はまだ認知症を患うような年齢ではないし、介護施設に入るような年齢でもないですが、どうですか?』って何度かご相談させていただいたんですけど、『大丈夫だよ』ということだったのでお引き受けさせていただきました」と経緯を明かし、「役の中での症状についてはインターネットで調べたりして、同じ症状を持つ女性の方のドキュメンタリーを見つけて、それを拝見させていただいた上で現場に臨みました」と明かした。

 続けて、演じた役と自身が似ていると思う点を尋ねられると、吉田は「落ち込んだときや嫌なことがあったときの落ち込み方が似ているなというか、シャットアウトするようなところは似ているなと思いました」と答え、北沢監督が「私は(吉田の)明るいところが似ているなと思います。もともと遥も明るい子なので、それが役にも生きていると思います」と評価すると、藤田も「明るいところが似ているから、暗い演技をしているときの落差があっていいんだと思います」と分析。同じ質問に、藤田は「自分の生徒を愛するという気持ちもよくわかるし、性格ではなくて、父が認知症だったということもあって、演じるにあたって自分のどこかが出てきているかなと思ったりしました」と語った。

 さらに、撮影時のエピソードを聞かれると、吉田は「帰りに車に乗せてもらって恋バナとかしながら帰らせていただいたりしました(笑)」と振り返り、藤田も「(夫役の)宮川一朗太くんと一緒に車に乗って、一朗太くんを駅で下ろして、そのあとに(吉田の)家まで送り届ける間にお話ししました」とにっこり。

 また、本作を7年ほど温め、オリジナル脚本とエンディングテーマの作詞を手がけた北沢監督は、作品に込めた思いを尋ねられると「超高齢化社会で介護従事者というのは重要な仕事だと思いますが、大変な仕事なのに社会的にあまり恵まれていない感じがするので、その方たちを主役にしてリスペクトする映画を作りたいと考えたのが最初です」ときっかけを明かし、「7年前に企画しまして、友人に製作会社を紹介していただき、コロナ禍の前にクランクインする予定でしたが、コロナで1度延期になりまして、無理かなと思ったんですけど、おかげさまで去年、改めてやれることになったんですけど、そのとき(コロナ禍前)だったら吉田さんが主役じゃなかったと思うので、逆に延びてよかったなと思っております。(吉田と)会えてよかったですね」と笑顔を見せた。

 そして、本作のテーマにちなみ、“自身の人生において出会えてよかったと思う人”を聞かれると、吉田は「両親ですね。父と母がいなかったらこの仕事をしてなかったと思いますし、今ここに立つこともできなかったと思います。人生のきっかけが両親ということがすごく多いので、両親のもとに生まれてきてよかったなという思いが1番大きいかなと思います」と吐露して目を潤ませ、藤田は「学生のときから芝居をやっていて、私を見つけてくれた人が奈良橋陽子さんというキャスティングディレクターで、ゴダイゴというバンドの作詞をしている方なんですが、その方が私を見つけてくれなかったら今の私はいないなと思います。そのあとはもちろん石井ふく子先生ですね。このお2人がいなかったら今、俳優としてここにいなかったし、これからもいないと思っております。本当に感謝しています」としみじみと語った。

 最後に、PRコメントを求められると、北沢監督は「重いテーマなんですけど、映画は娯楽性がないといけないと思っていまして、楽しめるように作りました。最後まで楽しんでいただければと思います」と語り、藤田は「若い女の子がどうやって毎日を過ごしていくか、または齢を重ねた人がどうやって終わっていくかということを描いた映画です。ご覧になったあとにいろんな感想を語り合って、SNSなどで呟いていただけたら、ほかの方をお誘いいただくツールになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と呼びかけた。そして、吉田は「最後に暗い気持ちではなくて、背中を押されるような映画なので、前に進む気持ちになっていただけたらなと思いますし、感情と服装がリンクしているので、そこにも注目していただけたら嬉しいです」とアピールした。

 同舞台挨拶では、出資会社・三英堂商事から登壇者へ花束が贈呈される一幕もあった。

映画『こわれること いきること』

シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開中

吉田伶香 藤田朋子 宮川一朗太 斉藤 暁 寺田 農 風祭ゆき 丸純子 兼次要那 福原稚菜 大野佑紀奈 神倉千晶 木村八重子 五頭岳夫 外波山文明

監督・脚本・編集:北沢幸雄
作曲・編曲:富澤タク エンディングテーマ「小さなこえでも」(Toshie)
製作:三英堂商事/アイ・エム・ティ
配給:アイ・エム・ティ
配給協力:FLICKK
2022年/126分/ステレオ
(C)三英堂商事/アイ・エム・ティ

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