フェーズメーションは、同社アンプの集大成ともいえるモノーラルパワーアンプ「MA-5000」（￥14,300,000、ペア、税込）を発表した。受注生産モデルで、受付開始は11月中旬を予定している。昨年の「インターナショナルオーディオショウ 2022」で参考出品されていたモデルが、遂に正式リリースされたわけだ。
オーディオアンプの世界では、半導体アンプから真空管アンプまで、その種類は幅広い。中でも真空管パワーアンプでは、2A3や300Bなど音質に定評のある真空管がいくつか存在し、根強く支持されている。今回のMA-5000は、その中でも評価の高い真空管211をパラレル・シングル出力で用い、300Bによるトランス結合で強力にドライブする、211アンプで最高峰の音を味わってみたいという思いに応える製品として開発されている。
MA-5000の主な特長は以下の通り。
●固定バイアス・シングル・純A級動作のPSVANE（プスヴァン）WE-211パラレル・シングル出力段
出力管のPSVANE WE-211は、2本個別の専用固定バイアス電源による、最適動作点の設定と安定動作を確保したシングル・純A級動作という、WE-211本来の素性の良さをもっともシンプルな動作で発揮できる構成で、パラレル動作による出力45Wを超える強力なスピーカードライブ力を実現。さらに電源オン時のタイマー制御（1分間）による電源供給と合わせて、高信頼性高音質動作を実現した。
●出力管PSVANE WE-211をトランス結合PSVANE WE-300Bで最適駆動
音質に定評のあるPSVANE WE-300Bを出力管WE-211のドライバーとしてトランス結合で使用してWE-300Bを最適動作点に設定、WE-211パラレルの独立固定バイアスでの直流安定度を確保し、揺るぎない安定度でスピーカーを駆動する。
●全段3極管による無帰還アンプ構成
ECC803＋300B＋WE-211という全段3極管による無帰還アンプ回路構成とすることにより、無帰還回路ならではの躍動感にあふれた表情豊かな音楽の再生能力を獲得。
●スウェーデン・ルンダール社製出力トランス及び段間トランスを採用
フェーズメーションが目指す音質にもっとも適したものとして、ルンダール社製の段間および出力トランスを採用。段間トランスでは2次側の独立巻き線構造を利用して固定バイアス回路を各々の出力管WE-211に個別に用意し、メーター直読による最適動作点の設定と安定動作を確保した。また出力トランスにおいても4〜8Ωのスピーカーを最適に駆動できる専用設計トランスを用意している。
●バランス入力対応、トランス式ATT採用入力部
入力端子はバランス/アンバランス両方に対応し、バランス→アンバランス変換を兼ねたトランス式アッテネーターを内蔵。標準ゲインに対し-3/-6/-10dBのゲイン調整が可能、さらに-∞の入力オフポジションを設定し、ケーブルの接続変更等スピーカー出力オフを容易にすることが可能。
●独立2電源トランス構成
ドライバー段（300B）とパワー段（WE-211パラシングル）には、それぞれ独立した電源トランスから電源を供給することにより、入力信号増幅回路とスピーカー駆動回路との相互干渉を排除し、微小レベルの信号からハイパワーの信号までクリアーに増幅できる。更に、電源トランスは防振ゴムによりシャーシからフローティング。不要な振動がシャーシに伝わることを抑制し、ノイズレベルのさらなる低減に寄与している。
●ローノイズ設計の徹底
高圧電源には原理的にスイッチングノイズの発生しない整流管5R4Gを2本、パラレル接続とWチョークトランスによる余裕のある整流回路を採用し、ヒーターはすべての真空管に対し完全DC電源による直流点火で、徹底したローノイズ設計を採用。
●タイマーインジケーター、外観
タイマー動作中のスタンバイ時には赤、1分後の動作開始時には青色へと変化する2色LEDインジケータ表示を装備。前面及び左右のパネルには10ｍｍ厚のアルミ材を使用し剛性を確保、フットにはタオック製の鋳鉄インシュレーターを採用して不要な振動を抑制している。
スピーカー出力端子にはフルテック製のトルクリミッター付きオーディオグレード品を採用し、導体抵抗や接触抵抗による悪影響を最小限に抑えている。前面ガラスの真空管カバーには日本の伝統的デザインである和柄「七宝」を採用して風格ある外観デザインに仕上げている。
「MA-5000」の主なスペック
●定格出力：45W（THD 5％）
●周波数特性 10Hz〜40kHz（+0、-3dB）
●出力インピーダンス：4〜8Ω
●入力インピーダンス：47kΩ
●利得：30dB
●残留雑音：200μV以下（A-NET）
●消費電力：350W
●寸法/質量：W370×H346×D636mm（端子部含む）/50kg
