映画『ストレージマン』が5月20日(土)より池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開される。監督は経済済情報メディア「NewsPicks」やNHKワールドの経済番組で演出を担当した萬野達郎。主役の自動車工場の派遣社員・森下には連下浩隆が扮し(プロデューサーも兼任)、瀬戸かほはその妻・晶子と、彼女と瓜二つの由美子の“一人二役”に取り組んだ。ここでは、新境地を開き続ける瀬戸かほに話を聞いた。

画像1: 映画『ストレージマン』が待望の公開。一人二役に初挑戦した「瀬戸かほ」は、「悩んでいる人の元に届いてほしい」

――一人二役を演じたのは今回が初めてですか?

 はい、初めてです。萬野監督とは以前映画祭でお会いしたのですが、今回二役出演のご連絡をいただいた時は、驚きと不安を感じながらも挑戦してみたい気持ちもあって色々な感情が混ざり、胸が騒いでいました。

 はじめて脚本を読んだ時、「真逆のタイプの2人だな」と感じたので、この2人が大事にしているものや守りたいものについて考え、意識しながら演じました。子供や暮らしを守っていきたい晶子と、大切にしているものを手放すかの選択を迫られている由美子の状況は違うものの、二人とも答えを出さねばならない状況にいました。由美子は、撮影前まで自分の中で理解できていない部分もあったので、監督から参考資料の漫画タイトルを伺ってその作品を読んだり、彼女が大切にしている洋服について調べながら役を固めていきました。

――おとなしい晶子と、見た目は似ているけれど大胆に迫ってくる由美子は、対照的なキャラクターですね。

 由美子に関しては私自身と全く違うところと、ちょっと共通していると思うところがありました。彼女と自分で一番違いを感じたところは「大胆さ」でした。彼女が主人公の森下さんに積極的にアプローチを取っていくシーンがあって、由美子にとってそれは日常の動作なのかもしれないのですが、私自身にとってはなかなか難しく、台本を読んだ時から果たして自然にできるのか不安でした。似ているかもしれないと思った部分は、できるだけ辛い出来事を明るく話すようにしているところです。

 私は5歳と8歳離れた妹たちがいるのですが、妹が生まれるまで両親の愛情を一身に受けて育ちました。両親に嫌われたくない、怒られたくないという思いが強く、できるだけ反発しないで愛されるいい娘であろうという考えを持っていた時期もあるので、そういった部分は少し晶子と通じるところがあるかもしれません。

画像2: 映画『ストレージマン』が待望の公開。一人二役に初挑戦した「瀬戸かほ」は、「悩んでいる人の元に届いてほしい」

――晶子の父を演じる渡辺裕之さんの存在感も圧倒的です。

 渡辺さんは、その場にいるだけで、存在が役を語っている! と感じたのが最初の印象です。場が引き締まっていました。リハーサルの時に、渡辺さんが台本にないセリフをおっしゃったのを覚えています。「親に向かって、なんだその態度は」と言われ、驚きと共に、より晶子になることができました。

画像3: 映画『ストレージマン』が待望の公開。一人二役に初挑戦した「瀬戸かほ」は、「悩んでいる人の元に届いてほしい」

――森下(夫)に未練を残しつつも、父親に言われるがままに離婚をして実家に戻ってしまう。そこに森下が訪ねてくると、父親が出てきて強い調子で「帰れ」という。切ないシーンです。

 晶子にとって「結婚」とは、今までの家族から離れ、森下と新しい家庭を作っていく、自立する機会でしたが、彼女自ら親になって初めて両親について理解を深めた部分もあるのだろうと思います。森下さんとは今後も暮らしていきたいでしょうし、離れ離れになって悲しい気持ちもあるでしょうが、同時に父親の愛も感じているシーンなのかなと個人的には感じています。生活が立ち行かない人に娘や孫を任せられないと、両親が心から心配してくれているのが嬉しくも心苦しくもありました。

――夫・父・義理の息子・先輩・ひとりの男としての森下のやるせなさも、約40分のなかにしっかり描かれています。

 連下さんから、森下役の完成度をあげるために、撮影の前日からトランクルームに泊まり込んでいたというお話をうかがって、驚きました。私も撮影でここに入りましたが、どう考えても人が住めないような狭いスペースで、手足を伸ばすのも無理なんです。ここで暮らさざるを得ない状況の心情、決して生活に向かないスペースでの暮らしの困難さについて考えさせられました。その中で連下さんはほとんど食事もとらず、ストイックに役作りをなさっていて……。すごく優しい方で、場を和ませてくれました。連下さんの人間性にすごく助けていただきました。

画像4: 映画『ストレージマン』が待望の公開。一人二役に初挑戦した「瀬戸かほ」は、「悩んでいる人の元に届いてほしい」

――物語は、明るい展望が見えそうになったところで終わりますが、その後、晶子はどうなっていくとお考えですか?

 私はやっぱりハッピーエンドを願っていて、森下さんに迎えに来てほしいと思っています。生活が安定するのには時間がかかるのは承知の上で、それでも元の家族に戻ってほしいですね。

 この映画のテーマのひとつは「選択」だと思っています。登場人物たちはなんらかの選択を迫られていて、何かしら悩み抜きながら次に進んでいく。今悩みを抱えている方にも、是非届いてほしい作品です。

――日一日と気候が暖かくなっていますが、これから新たに取り組んでみたいことはありますか?

 新しく始めたことではありませんが、刺繍を始めて今年で3年目になりました。作品が少しずつ増えてきていますので、いつか個展を開きたいと考えながらスローペースで取り組んでいます。

画像5: 映画『ストレージマン』が待望の公開。一人二役に初挑戦した「瀬戸かほ」は、「悩んでいる人の元に届いてほしい」

映画『ストレージマン』

5月20日(土)より池袋 シネマ・ロサにて公開!

《初日上映後舞台挨拶情報》
5月20日(土) 21:00〜
連下浩隆、瀬戸かほ、渡部直也、宮崎翔太、立野沙紀、萬野達郎監督が登壇

《公開初日アフターパーティのご案内》
5月20日(土)の池袋シネマ・ロサでの劇場公開初日を記念して、映画上映後には参加者の皆様と監督、出演者などとドリンクを飲み交わしながら、映画の感想や質問など直接のコミュニケーションを楽しむアフターパーティーを開催いたします。詳細は下記リンクよりご確認下さい。

<キャスト>
連下浩隆 瀬戸かほ 渡部直也 矢崎広 米本学仁 立野沙紀 宮崎翔太 林凛果 森恵美 奥井奈南 しじみ 古坂大魔王(声の出演)  渡辺裕之

<スタッフ>
脚本・監督:萬野達郎 助監督:吉原圭太 撮影:宮下徹也 照明:大堀治樹 録音:亀井耶馬人/高島良太 美術:桂誉和 へアメイク:奈央 衣装:金鹏 編集:岡島龍介/萬野達郎 整音・効果:高島良太 作曲:足立知謙 スチール:安井信介 デザイン:斉藤 我空 エグゼクティブ・プロデューサー:萬野達郎 プロデューサー:れんげひろたか アソシエイトプロデューサー:碓氷恭子 ラインプロデューサー:荒井智晴 製作:MANTRIX PICTURES 宣伝:滝澤令央 配給:MANTRIX PICTURES/ Cinemago

(C)MANTRIX PICTURES

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