初版『YIELD(英題)』は、2018年のフィリピン映画芸術科学アカデミー賞で最優秀ドキュメンタリー賞と最優秀編集賞、フィリピン映画批評家協会賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。4月29日から新宿 K’s cinemaにてロードショーされる『子どもの瞳をみつめて』は、そこに編集を加えた最終版となる。小川プロにも所属した監督の瓜生敏彦、彼の右腕であり本作が(共同)監督デビューとなるビクター・タガロが撮影してきた8年以上もの映像が注ぎ込まれた一作だ。
クローズアップされるのは、フィリピンの最貧困エリアでゴミ集積所のパヤタス地区に暮らす9人の子供たち。子供と言えばキャッキャキャッキャと飛び回り、遊び、ニコニコし、ごはんをおいしそうに食べ、幸せそうに寝るもの、という印象を何となく持っていた私だが、たぶん、ここにいる9人はそうした状況にない。命懸けの肉体労働をせざるを得ない子供、たぶん笑うよりも先に武器の使い方を覚えたであろう子供、子供の頃からの重い荷物運びで背中が曲がってしまった子供、ダイオキシンの影響で生まれながらの重病になった子供たち。監督は彼らの生活を追いながらも、傍観せず、行動する。パヤタスとスモーキーマウンテンに自費で学校や劇場を設立し、子供たちの未来が少しでも明るくなるようにと尽力しているのだ。とにかく、子供たちの無事と健康を願ってやまない。
映画『子どもの瞳をみつめて』
4月29日(土・祝)より新宿 K’s cinemaにてロードショー
出演:パヤタスの子どもたち
監督:瓜生敏彦、ビクター・タガロ
プロデューサー:井上和子
統括プロデューサー:山口千恵子
撮影・編集:ビクター・タガロ
録音:セサール・ウサーナ
音楽:ダイワ・デ・レオン
2022 / フィリピン / カラー / ビスタ / DCP / 93分
英題:YIELD Final Version
配給:アウトサイド
(C) 2022 TAKION.INC