クリエイティブメディアから、同ブランドとしては国内で初めての骨伝導式ワイヤレスヘッドセット「Creative Outlier Free Pro」(¥18,800税込)が発売された。近年では、「ながら聴き」と形容されるように、音楽やラジオなどの音声コンテンツを楽しみながら、周囲の状況も確認できることを謳った製品が各社から発売されており、骨伝導式は、その代表とも言えるだろう。
さて、記者はかつて有線式の骨伝導イヤホンを使っていたのだが、ほとんど音が聴こえてこないこともあり、骨伝導式にはあまり手を出してこなかった。しかし、今回Outlier Free Proをテストしてみてようやく! 骨伝導の音(?)を体験することができたので、その印象を簡潔に紹介したい。
骨伝導とはその名の通り、音を振動変えるアクチュエーター(振動子)を備え、それを耳の付近の骨に(振動として)伝えると、その振動が内耳(蝸牛)まで届くことで音として認識できる仕組みだ。
Outlier Free Proは、左右のユニットが後頭部を回して繋がっていて、装着は左右の逆U字部分を耳にかけるようにして取り付ける。すると、アクチュエーター部分が耳穴の少し前に来て、そこからの振動が内耳まで届いて音が楽しめるようになる。装着は簡単に行なえ、耳への掛け具合、アクチュエーター部分の接触(押さえ)具合は良好。眼鏡をかけていたり、マスクをつけていても、ヘッドセットの柄の部分が干渉しないのはいい感じだ。
ただし記者の場合、右耳の形(耳介外縁部)が左より大きく、かつ立っているようで、右側のアクチュエーターの押さえ具合が弱く、片聞き(右が弱い)状態になってしまう。右のアクチュエーターを指で押さえると、きちんと両耳に音が聞こえてくる。いろいろ試してみたところ、右のフック部分を耳に掛けずに、耳介外縁部に被せるようにするときちんと音が聞こえるようになった(あるいは、後頭部に回す部分を顔の前に持ってくると、きちんと聞こえるようになったが、おススメはしない)。ということもあって、可能であれば、本体のワイヤー部分は、ある程度形状を変更できる(曲げられる。曲げた後、その形状を保持できる)ようになっているといいと思う。
まずは、パソコンとBluetooth接続(SBC)して音質をチェックした。コンテンツはラジオ(radiko)、楽曲、動画配信(Netflix)。ラジオでは、SBCであることから若干音は軽めとなるが、パーソナリティの声はよく聞こえてくる(聞き取れる)。周囲の音(会話、社電の着信など)もマスキングされずに聞き取れるの。しかし、意外と盲点だったのは、Outlier Free Proを装着した状態で会話をすると、Outlier Free Proから聞こえてくる音と、話者の声が干渉というか、同じ音量で聞こえてくるため、会話がしにくくなってしまうこと。リアルな会話をする場合は、Outlier Free Proの音量を下げるか、再生を止めたほうがいいようだ。
楽曲では、レンジはそれほど広くないものの、高域が詰まる感じはなく、かつ特定の帯域が強調されることもなく、全体的にフラットで聴きやすいもの。ただし、音数は少し減るようで(コーデックの影響が大きいと思われる)軽い印象となる。音像の定位は良好で、イヤホンやヘッドホンとは違って、目の前というかおでこの前あたりに音像が浮かび上がってくるようになるので、スピーカーリスニングをしている印象で、なかなかに好感触。音場感も比較的広く楽しめた。
動画についてはSBCの弱点が目立ってしまい、やはりというか、音声の遅延が大きく、半拍はズレてしまう印象。低遅延モードを搭載しているので、それを試してみると(マルチファンクションボタンを4回押す)、あら不思議(笑)、さっきまでのズレが嘘のようにリップシンクするようになった。注意としては、「M」ボタンにはいくつか機能が割り当てられているので、素早く4回押さないと、MP3プレーヤーへの切り替え(2回)、AIアシスタントの起動(3回)が働いてしまうこと。なお、スマートフォンと組み合わせて再生した場合、本製品はAACコーデックのサポートは謳っていないのだが、AAC接続と表示され、低遅延モードにしなくてもリップシンクのあった状態で再生が楽しめた。
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