Vシネマの帝王と称される俳優・小沢仁志の還暦を記念したハードアクション作『BAD CITY』が、撮影地となった福岡での先行公開を経て、いよいよ1月20日(金)より、全国で公開されることになった。ここでは、小沢率いる特捜班の新人・野原恵を演じた坂ノ上茜にインタビュー。本格アクション作 出演の感想を聞いた。

画像1: 「坂ノ上茜」がヒロイン&ハードなアクションを演じたアクション作『BAD CITY』が1月20日より全国公開。「私の演じた野原の成長を感じてほしい」

――いよいよ公開が迫ってきました。今の心境をお聞かせください。
 撮影が1年ちょっと前だったので、やっと公開される! というワクワク感でいっぱいです。

――撮影はちょうど坂ノ上さんの誕生日の頃ですね。
 そうなんです。撮影中に誕生日を迎えて、現場でもスタッフ・キャストの皆さんにお祝いしていただきました。ちょうど小沢さんが拘置所に入っているシーンの撮影の時だったのですが、撮影が終わったら、小沢さんにやたらと拘置所に入れって言われたんです。これは絶対に意地悪されるパターンだと思って頑なに断っていたら(笑)、サプライズでバースデーケーキが出てきて! 拘置所の中で祝っていただいて、とてもいい思い出になりました。

――素敵ですね。では、話を戻しまして、まず本作への出演の経緯を教えてください。
 「アクション作品のヒロイン募集」というオ―ディションを受けさせていただいいて、出演が決まりました。

――オーディションはどうでしたか?
 会場が独特で、エレベーターが開いたらもう、目の前に小沢さんが座っていらしたんです! 周囲にもスタッフの方がたくさんいて、とにかく驚きました。そんな驚きもあって、オーディションではまったくいいところが出せず……。私が演じた野原の登場シーンをやったのですが、相手役の方にセリフを全部言われてしまい、私は一言もセリフを発せずに終わってしまったんです。私、何もしていない……という状況だったので、これで大丈夫なのかなと思いながら帰ったのを覚えています。

 その後、園村監督に“どうして私が選ばれたんでしょうか?”とお聞きしたら、「目がよかったから」と言っていただいて、それが決め手だったのかと思いました。結果を知るまで不安な気持ちでいっぱいでしたが、選んでいただけて本当によかったです。

――最初に台本を読んだ感想は?
 本作には私の演じた「野原の成長物語」が裏テーマとしてある、と最初に聞いていて、台本を読み進めていくと確かにそうだなと感じました! 登場人物の中では唯一と言っていいほど分かりやすく変わっていくキャラクターなので、そこを大事に演じるようにしました。

――実際に役を作っていく上での苦労はありましたか?
 役作りというか、野原は同じ班の勝矢(熊本)さん、三元雅芸(西崎)さんと3人でいることが多いので、まずはお二人とのコミュニケーションを取るところから始めました。三元さんにはアクション稽古をつけていただいていたので、短期間ではありましたが、いろいろと教えていただきながら密にコミュニケーションを取るようにして、そこで、野原と西崎の関係性を作っていけたのかなと思います。銃の持ち方から、敵地に乗り込んでいく時の動き(所作)など、細かいところまで教えていただきました。

 勝矢さんも三元さんと同じく、アクション稽古の際にコミュニケーションを取らせていただきました。

 “こうしたほうが様になるよ”など、作品をよりよくするアドバイスをお二人からたくさんいただきました。本当に助けられました。

――プロフィールには特技に“スコーピオンキック”と書いてあります。
 残念ながら、本編中では、まったく活かされなかったですね(笑)。私(野原)のアクションは、新人刑事らしくドンくさいというかどろくさい感じを出したので。ただ、園村さんの作るアクションは、スピード感に溢れていて、目の前で見ていて引き込まれましたし、とても新鮮でした。

――ところで、アクション稽古はどうでしたか?
 実は、稽古中に怪我をして救急車で運ばれてしまって……。

――救急車!?
 そうなんです。ちょうどアクション稽古の最終日で、本編中で使う殺陣を稽古していた時に怪我してしまい、救急車を呼ぶことになってしまったんです。その時は、満足に稽古できていない状態で終わってしまったので、実際に撮影が始まった時は、うまくできるのかという不安も大きかったのですが、園村監督から“よくなってる”と言っていただけたので、結果として、いい感じにできたのかなと思っています。

――園村さんらしい近接アクションが全開でした。
 全開でしたね。殴り合う距離が近すぎて、自分でもすごいことになっているなと思いながらやっていましたが、野原はほとんどボコボコにされていて……。

――特に、TAK∴さんにはタコ殴りにされていましたけど、TAK∴さんとの共演はいかがでしたか?
 自信に満ち溢れている方だという印象を受けましたね。見た目は強面ですが、とても優しい方で、私のお腹を蹴るシーンの撮影では、このアングルだったらそんなにガチで蹴らなくても大丈夫だからって、力(蹴り)を加減していただいたんです。優しいなと思っていたら、園村監督から“TAK∴さん、今のはバレます。ちゃんと入れてください”と言われてしまって(笑)。“ちょっとごめんね”というような感じで、みぞおちを思いっきり蹴られて、うっってなりました。それぐらい激しいアクションが展開されているので、もう必見です。

――結構、本気で入っているんですか?
 実際に殴ったりすることはないですが、どうしても(カメラの)アングル的に当てないとバレる時は、安全面を考慮しつつ当てていました。TAK∴さんが本気で蹴ったら、カバー(防護)が効かないぐらい、ものすごい衝撃がありました。

画像2: 「坂ノ上茜」がヒロイン&ハードなアクションを演じたアクション作『BAD CITY』が1月20日より全国公開。「私の演じた野原の成長を感じてほしい」

――一方で、三元さんのナイフ捌きも凄かったです。
 本当にスピード感と瞬発力が凄かったですよね。アクション稽古の際には、もうちょっとスピードを上げてやってみようって、どんどん速くなるんですよ。ただそれも、私の目を慣れさせるために、実際のアクションよりも速いスピードでやってくださっていたので、本当に有り難かったです。

――ところで、現場では、ケーキ以外の、小沢さんとの思い出はありますか?
 たくさんお菓子をいただきました(笑)。ものすごく優しい方ですよ。小沢さんの還暦をお祝いする映画を作るとなった時に、こんなにも錚々たる方々が集まっているわけですから、作品のエンドクレジットを見れば、小沢さんの人柄というか、皆さんに慕われているのは伝わりますよね。皆さん、小沢さんのことを、兄ぃ、兄ぃって呼んでいましたから。

――芝居や役についてのアドバイスなどは?
 クランクインする前、私のマネージャーさんに、“一皮むけた女優にして返すから”って言ってくださっていたそうなんです。現場では、芝居をどうするというよりは、女優としての立ち居振る舞い方や、心構えを教えていただきました。劇中では新人刑事を演じましたが、私も新人のような感じで、改めて1から教えていただくことがたくさんありました。

――本作へ出演して、ご自身の中で成長した手応えはありましたか?
 あまり緊張しなくなりました。前はちょっとしたことで緊張していたんですが、今は、以前よりドシっと構えていられるようになったと思います。

――新人でビビりだった野原も、だんだん逞しくなっていきます。そうした成長はどのように表現しようと思いましたか?
 成長という面(表現)に関しては、あまり意識はしませんでした。というのも、新人刑事という設定と、小沢組に私が初めて飛び込むところはリンクしているなと感じたからです。撮影が進んでクライマックスに近づくにつれて、野原の成長と、私が現場に馴染んでいく様子が、重ね合わせられているように感じたので、あまり意識しなくても、逞しくなっていったのではないかなと思っています。

――ネタバレにならない範囲でお聞きしますが、ラストの大乱闘シーンの撮影はいかがでしたか。
 とにかく凄かったです。(ショッピングモールが1日しか借りられなかったため)タイトなスケジュールだったこともありますが、延々と撮影が続いていて、この先こんなことはもうないだろうっていうぐらいの熱量の高い経験をさせていただきました。とにかく、睡魔と疲労とアドレナリンが全開だったので、無我夢中というか、ガムシャラな感じが出たんじゃないかなと思います。

――アクションもたいへんですけど、物語の展開も緩急というか急ばかりだったように思います。最初に台本を読んだ時の印象(感想)はいかがでしたか。
 もちろんアクションもたくさん入っていますが、それだけではなくて、きちんと物語があって、人情もあって、そこにすごく熱いものもきちんと盛り込まれていて、アクション一辺倒ではなく“多彩な面を併せ持った映画”だなと思いました。

――坂ノ上さんの見どころを紹介していただくと。
 アクションシーンは1番の見どころになると思いますが、私個人で言えば、本作の裏テーマでもある“野原の成長物語”を感じていただきたいですね。いろいろな問題を経て、大きく成長して、強くなっていく姿を見ていただきたいです!

画像3: 「坂ノ上茜」がヒロイン&ハードなアクションを演じたアクション作『BAD CITY』が1月20日より全国公開。「私の演じた野原の成長を感じてほしい」

――今後アクションはいかがでしょう。
 もちろんやりたいです! いつか、スコーピオンキックを取り込んだアクションをやってみたいですし、新体操の技を活かしたものにもチャレンジしたいです。

――最後に、2023年が始まりました。今年の抱負をお願いします。
 今年は、ここ2年ぐらいで撮影した作品が続々と公開される予定です。撮影するだけでなく、作品を広く届ける(プロモーション)のも、私(出演者)の役目だと思っているので、2年間コツコツと創ってきた作品達を、きちんと世に送り出せる1年にしたいです。

 女優としては、この世界に入った(興味を持った)きっかけになったのがテレビなので、バラエティも含め、テレビ作品にもたくさん出演したいと思っています。とにかく、ワクワクをお届けしたいです。

映画『BAD CITY』

2023年1月20日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

画像: 映画『BAD CITY』

【あらすじ】
「犯罪都市」の異名を持つ開港市に縄張りをもつ桜田組の組長が、韓国マフィア・金数義(山口祥行)によって殺された。

金は、開港市を影で操る巨大財閥・五条財閥の会長・五条亘(リリー・フランキー)と密かにつながっていた。
一方、五条の告発を悲願とする検察庁検事長の平山健司(加藤雅也)は、公安0課の小泉香(壇蜜)を使い、秘密裏に熊本(勝矢)、西崎(三元雅芸)、野原(坂ノ上茜)たちを引き抜き、特捜班を結成。そしてもう一人…ある事件を起こした罪で容疑で拘置所に勾留されている元強行犯警部・虎田誠(小沢仁志)を期限つきでチームに復活させる。

果たして虎田たち特捜班は、五条を検挙することができるのか?

欲望が渦を巻くこの街で、死闘の果てに見える景色とは――。

<キャスト>
小沢仁志
坂ノ上茜 勝矢 三元雅芸
諏訪太朗 島津健太郎 友和 桐生コウジ 浜田晃 松永有紗 許秀哲 圭叶 桑田昭彦 福田健次 中野英雄 小沢和義 永倉大輔 山口祥行 本宮泰風 波岡一喜 TAK∴ 壇蜜 加藤雅也 かたせ梨乃 リリー・フランキー

<スタッフ>
製作総指揮・脚本:OZAWA×監督・アクション監督:園村健介
主題歌:クレイジーケンバンド「こわもて」(doublejoy international/UNIVERSAL SIGMA)
制作プロダクション:ソリッドフィーチャー
配給・宣伝:渋谷プロダクション
117分/シネマスコープ/DCP/5.1ch
(C)2022「BAD CITY」製作委員会

ヘアメイク:つばきち
スタイリスト:豊島今日子

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