画像: アイオン「Spirit SEⅡ」は、KT150シングルの真空管インテグレーテッドアンプ。高純度にして高分解能。打音の躍動感をゆとりで再生

Integrated Amplifier

アイオン
Spirit SEⅡ
¥695,000 (税別)

●出力:15W+15W●アナログ入力:LINE3系統(RCAアンバランス)●デジタル入力:1系統(USB-B)●対応サンプリング周波数/ビット数:〜384kHz/32bit(PCM)、〜11.2MHz(DSD)●入力感度/インピーダンス:250mV/100kΩ●スピーカー出力端子:4Ω、8Ω●使用真空管:PCL86×2、KT150(Tung-Sol)×2●寸法/重量:W300×H230×D430mm/22kg●備考:価格はオプションのUSB DACモジュール(¥65,000、税別)含む。出力管KT88モデル(¥560,000、税別)あり。別売の真空管保護カバー(¥30,000、税別)、リモコン(¥45,000、税別)あり●問合せ先アクシス(株)TEL.03(5410)0071

 ayon(アイオン)というブランド名は2000年に始まったが、メーカーのアイオンオーディオ社には、チェコの真空管ブランドだったVAIC系統の技術と人材が合流している。現在の拠点はオーストリアにある。

 設計方針としては、真空管の安定動作を重視し、電源投入の過渡的状態での真空管の保護、バイアス電流の管理、そして電源部を含めてアンプをソフトスタートさせる起動シーケンスの設計などを訴求している。

 Spirit SEⅡはKT150のシングルアンプ。前段はPCL86で、これは高増幅率3極管と5極出力管による複合管。仕様にある“NFB0dB”は無帰還の意味だろうか。試聴機はオプションのUSB‐DACを搭載。最大384kHz/24ビット、DSD256対応。信号切替えは入力端子直近のリレーで行なう。オプションでミュートと音量調整を行なうリモコンが用意される。

 CDやハイレゾ音源で聴くクラシックやジャズの大編成が爽快に鳴り響く。高純度にして高分解能。背景に埋もれがちなパートの表情や和声の積み重ねが明瞭だ。また間接音成分をよくトレースし、それが広い音場内での直接音の振る舞いを実体化する。ピアソラのライヴ音源など高い純度感と律動の深い刻み、打音の躍動感をゆとりで再生。一番適性を感じたのは「ピフ・パフ」(ステレオサウンド盤)だった。バスの声音と推進力のある伴奏が数値以上の大出力を思わせ圧倒的な迫力であった。ホールを満たす肉声の演技力は特にオペラファンにとって頼もしいだろう。

Spirit SEⅡの前面。左がボリュウム、右が2系統の入力セレクター。Mポジションは動作インジケーターで、ソフトスタートとソフトシャットオフ時に点滅して知らせる。トップパネル上は、左右にKT150、中央にPCL86を縦に2本、後ろはクロームメッキのケースに収めた低ノイズでシールドを徹底した電源トランス、高効率で共振防止を図るコンパウンド封入の出力トランスを配置。

内部を底面から見る。シャーシはアルミニウム製で基板は各回路で独立。ベリリウム銅スプリングピンを組み込んだ特製の真空管ソケットをはじめ高品位パーツ類を採用。回路では、ソフトスタート/シャットオフ機構やバイアス自動調整など入念な安全機構が組み込まれているのが特徴。

リアパネルは左側に自動バイアス調整のスタートスイッチ、4Ω、8Ωのスピーカー出力、右側にライン入力3系統を装備。右端のUSB Type-B入力は、USB DACモジュール搭載時に機能する。中央のトグルスイッチはバイアスメーターの切替え。

別売オプションのリモコンユニットRC4A(¥45,000、税別)。ボリュウムとミュートが可能。

搭載真空管や外装などをチェックする吉田氏。

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