Integrated Amplifier
ホルボーン
PASSION
¥1,600,000(税別)
●出力:70W+70W(8Ω)●入力端子:PHONO(MC)1系統、LINE4系統(RCAアンバランス)●入力感度/インピーダンス:0.5mV(PHONO)、0.55V(LINE)●使用真空管:PCC88(テレフンケン)×3●寸法/重量:W430×H101×D330mm/13kg●問合せ先:(株)ユキムTEL.03(5743)6202
ホルボーンは1992年に誕生したスイスのオーディオブランド。PASSIONは真空管と半導体を組み合わせたハイブリッド形式のインテグレーテッドアンプとなる。パワーアンプ部の最終段は半導体構成の電流増幅部であり、電圧ゲインがないので“ユニティ・ゲインのバイポーラ・ブースター”と称している。前段のFETと6DJ8類似の双3極管PCC88を組み合わせたゲインステージは+26dB〜40dBの可変ゲインであり、リアパネルのつまみで適宜ゲインを設定する。単独のプリアンプ部はなく、ハイゲインのパワーアンプ部だけで必要なゲインを得ている。
フォノイコライザーはMC専用でありFETと真空管のハイブリッド構成。ライン増幅部は真空管PCC88を左右で1本使用。計3本の真空管はいずれもテレフンケンのヴィンテージ管を使用。ボリュウムは東京光音のモーター駆動式プラスチック抵抗型を採用している。
高い純度感と精密な描写性能、そして大型スピーカーを駆動する能力はたしかに半導体アンプ風。大編成のオーケストラを堂々とした厚みと密度で鳴らしきるし解像感も優秀。ダイアナ・クラールの歌やピアソラのタンゴのライヴも高いテンションで個々のパートを彫り込み、3次元的な音場をよく構成する。アナログディスクは精密な描写力を聴かせ、しかもピークを突出させず熟成感のある響きの奔流を生じさせる。これは正攻法で音楽語法を磨き上げた意欲作だ。