テレビシリーズがエミー賞、ゴールデングローブ賞ら数々のアワードを獲得。英国貴族の屋敷を舞台にした人気シリーズ、『ダウントン・アビー』の映画版第二弾が9月30日から全国ロードショーされる。今回も第一弾同様、その上質なユーモアで多くの観客を引き込むことだろう。加えて、ハラハラさせられるような恋の展開もある。

 舞台は1928年。映画撮影のためにハリウッドのスターが、この邸宅に来ることになった。この「1928年」がポイントだ。無声映画に替わってトーキー(トーキング・ピクチャー)が急速に広まりつつあった頃で、たとえルックスが良くても、訛りがひどいとか声が悪いとか、そういった俳優は別のひとに声の吹き替えをしてもらうか、もしくは淘汰される運命にあった。

もうひとつは、「ハリウッド(アメリカ)/英国や南フランス(ヨーロッパ)」の交流がポイントだ。アメリカの20年代はジャズ・エイジと呼ばれ、文字通りこの新音楽・新文化“ジャズ”で騒然となっていたところがあると伝えられるが、人種差別的な感情がいささか薄かっただけヨーロッパでのほうがジャズ演奏家に敬意が払われていたという話も聞く。この映画には、野外パーティの場面にアフリカやカリブの血をひいているであろう音楽家たちのジャズ・バンドが登場し、最先端の流行歌「アム・アイ・ブルー」(1929年発表)などを聴かせるシーンも出てくる。

 新しい波はいつだって絶えることなく、そのなかでも時にやってくる大波が時代をつくり、次代への潮流となる。それを無視するのもそこに乗るのも、もちろん自由。しかし乗れた方が新しい景色が見れて楽しいよ、と、ここに登場する老若男女のキャラクターが訴えてきた。監督サイモン・カーティス、脚本ジュリアン・フェローズ、出演ヒュー・ボネヴィル、エリザベス・マグガヴァン他。

映画『ダウントン・アビー 新たなる時代へ』

9月30日(金)より全国にて公開

監督:サイモン・カーティス
脚本:ジュリアン・フェローズ
出演:ヒュー・ボネヴィル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー、マギー・スミスほか
配給:東宝東和

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