クリプトンから、2022年秋の新製品4モデルが発表された。そのラインナップは以下の通りで、すべて10月上旬発売予定だ。

●スピーカーシステム:KX-3SX ¥398,000(ペア、税別)
●バイワイアリング用スピーカーケーブル:SC-HR2020 ¥9,800(1m、税別)
●電源ボックス:PB-HR3000 ¥214,000(税別)
●オーディオボード:AB-111B/AB-111N ¥22,000(税別)

画像: 「KX-3SX」をオーディオボード「AB-111」に載せたところ

「KX-3SX」をオーディオボード「AB-111」に載せたところ

 KX-3SXは、同ブランドで人気の「KX-3」シリーズの第6世代となる2ウェイブックシェルフ型スピーカー。音楽の感動をあますところなく伝え、最新のハイレゾからアナログ音源まで十全に楽しめる製品として生み出されたという。

 余談ながら、クリプトンのスピーカーを開発している渡邉勝さんがかつて手がけたのが、ビクターの名機「SX-3」だ。SX-3はオーディオファンに高く評価され、多くのラインナップが生まれた。さらに「SX-5」や「SX-7」、90年代にHiVi視聴室でリファレンスとして使っていた「SX-500」シリーズの原型になったことも知られている。新製品発表会で渡邉さんは「SXという型番が付くと、開発にも力が入ってしまいます(笑)」と語っていた。

 SX-3シリーズのエッセンスはKX-3シリーズにも継承されている。そのひとつがクルトミュラー製コーンだ。KX-3SXでは170mmウーファーにこの素材を使っているが、これはSXシリーズから長年に渡って採用しているもの。もともと250mmの振動板を170mmにカットして使っているという。

 そのウーファーとトゥイーターを駆動する磁気回路にはアルニコマグネットを搭載。アルニコは希少金属が含まれているため現在は貴重な素材だが、音質のために継続して採用しているそうだ。

画像: バイワイアリング用スピーカーケーブル「SC-HR2020」を使って接続した状態

バイワイアリング用スピーカーケーブル「SC-HR2020」を使って接続した状態

 第3のポイントは密閉型エンクロージャーで、今回は新開発の「ワンダーローズ突き板」で本体6面すべて(リアパネルを含めて)を覆い、表面にはピアノ塗装と同じポリエステル仕上げを施している。突き板は従来モデルの2倍の厚みがあり、ポリエステル仕上げは3回塗りを採用している。これにより、KX-3SXは豊かな中低音の再現が可能になったとしている。

 ちなみに6面すべてを突き板仕上げに変更したことに伴い、エンクロージャーの作り方も変更されているそうだ。各面の接合部は45度にカットした断面にほぞを設け、箱型に組み上げた後に突き板を取り付けて、その後1日寝かせることで安定性を高めている。

 さらに今回は内部配線も見直し、自社で単品販売しているスピーカーケーブルを採用した。トゥイーター用は「SC-HR1300」で、ウーファー用は「SC-HR1500」と、ユニットの特性に合わせて使い分けられている。この組み合わせは上位機の「KX-5P」と同じとのことだ。

 そしてもうひとつ、クリプトンのスピーカーはそのほとんどでバイワイアリング接続が可能な点も特徴で、もちろんKX-3SXも同様となる。渡邉さんによるとKX-3SXのようなスピーカーではウーファーからの逆起電流がトゥイーターに与える影響は大きいという。バイワイアリング接続ならその影響をカットでき、結果として高域の再現製や全体のS/Nも変わってくるそうだ。

 そのために今回リリースされたのが、バイワイアリング用スピーカーケーブルの「SC-HR2020」という。従来モデル「SC-HR2000」の後継製品で、導体素材はPC-Triple Cを踏襲しつつ、0.3mm径の導体7本による撚線を作り、それを6束(合計42本の導体を)ポリエチレン芯線に巻き付けた構造に変更されている。

画像1: クリプトンが、2022年新製品4モデルを発表。“SX”の型番を持つ新型スピーカー「KX-3SX」をバイワイアリング接続で聴いたサウンドには、驚きを禁じ得ない
画像2: クリプトンが、2022年新製品4モデルを発表。“SX”の型番を持つ新型スピーカー「KX-3SX」をバイワイアリング接続で聴いたサウンドには、驚きを禁じ得ない

 そして今回、新製品説明会で、KX-3SXの音も確認させてもらった。

 まずシングルワイアリングで女性ヴォーカルを再生してもらうと、クリアーで開放感のあるサウンドが飛び出してきた。声の艶感やバイオリンの弦の響きもハイクォリティだ。“若々しい、華やかな音” というのがKX-3SXの第一印象。

 アンプ等の再生機器はそのままに、SC-HR2020を使ったバイワイアリング接続に変更すると、音の印象が変化した。音場全体のヌケが向上し、ボリュウムも上がったように聴こえる。女声の声もより明瞭になり、高域がストレスなく伸びていく。空気が済んだ、西海岸をイメージさせる音になった気がする。

 上記の通りハードウェアは何も変えていないにも関わらず、音がここまで変わってしまうのは驚きだ。この音を聞いてしまうと、対応スピーカーはバイワイアリングで使うしかないかも、と思えてしまう。KX-3SXがそれだけの再現力をそなえているのはもちろんだが、他の対応モデルをお使いの方も、一度バイワイアリング接続を試してみてはいかがだろう。

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