タクトシュトックから、ドイツFINK teamブランドの新製品スピーカー「BORG」(ボーグ)が3月25日(金)に発売される。価格は¥5,280,000(ペア、税込、標準色、受注生産)。
30年以上にわたり、世界中のメーカーのスピーカーやユニットを設計してきたFINK AUDIO-CONSULTINGが、FINK teamブランドでBORGを発表したのは 2018年のこと。AMTトゥイーターと260mmのオリジナル・パルプコーン型ウーファーを搭載したBORGは、その凝った造形と内部構造、驚異的なサウンドによって世界中で話題となった。
このBORGの成功を受け、「自分達が家でリラックスして音楽を楽しむための最高のスピーカー」として開発されたのが、日本で先行発売されて好評を博した「KIM」(キーム)だったという。そしてKIMの上位機の音も聴いてみたいという声が増えたことを受け、同社ではBORGの取り扱いを始めることになったわけだ。
その特長は以下の通り。
●エンクロージャー
FINK teamのスピーカーでは、エンクロージャー構造を重視している。特にキャビネットに共振があると、スピーカーのS/Nを低下させてしまうので、静かなキャビネットを設計する事が低レベルでのディテイル再生に重要と考えているという。
BORGでは、厚みのあるMDFパネルと内部摩擦によって振動を熱に変換するダンピング層を組み合わせた多層構造キャビネットを採用。同時に世界最高レベルの COMSOLモデリング及びレーザースキャニングにより、ユニットを取り付ける開口部に起因する不要共振を発見、ユニットマウントの後方に金属製のリングを取り付けることで、S/Nをさらに向上させている。
●トゥイーター
高域再生用には、エアーモーション・トランスフォーマー(AMT)を採用。平均より低い1.6kHzのクロスオーバー周波数で駆動できるよう6464平方ミリメートルもの表面積を持った、BORG専用の超大型AMTユニットが搭載されている。厚さ25μmのプリーツ加工されたカプトン振動板に、50μmのアルミニウム・ストリップを組み合わせている。
●ウーファー
10.25インチのオリジナルユニットも、BORGのために開発されている。アルミダイキャスト製シャーシとボイスコイル部が貫通されており、低いエアースピードを実現する事で歪と圧縮を低減している。
3インチのボイスコイルと共に、低質量の硬いペーパーコーンと、ローヒステリシス・サラウンド(ギャザーエッジ型)を採用。センターポールに搭載されたアルミニウム・ショーティング・リングがボイスコイルのインダクタンス変化を抑え、ボイスコイル電流による磁束の変動も低減している。
●クロスオーバーネットワーク
インピーダンス変化の少ないAMTを搭載した結果、クロスオーバーネットワークをシンプルにすることができ、抵抗やポリプロピレン・フィルムコンデンサーなどはムンドルフが製作したBORGのための特注品を使用。コイルはすべて空芯コイルが奢られている。
●スパイク
FINK teamが設計し、オーステナイト系304非磁性ステンレスから加工した専用スパイクが付属。耐久性、精密加工性、耐環境性に優れたスパイクは、BORGから最高の性能を引き出すだけでなく、フローリングなどに傷をつけたくない場合は、先端部をドーム型に変更する事も可能。
●スピーカーターミナル
スピーカーターミナルは無垢の銅をニッケルメッキした重量級で、接続のしやすさに加え、長期間放置した後でも容易に緩めることができる。設置される部屋や接続するアンプに合わせて調整が可能な4つのコントロール端子を装備している。
●カラーバリエーション
4種類の標準色(ホワイト/スティールグレイ、アマーラエボニー/ネクステル・ブラック、アメリカン・ウォルナット/ホワイト、マットブラック/ネクステル・ブラック)を用意。さらに特注でオリーブ/ホワイト、アメリカン・ウォルナット/ブラック、ハイグロス・ピアノブラック/ブラックも選択可能。
「BORG」の主なスペック
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:6464㎟オリジナルAMTユニット、260mmオリジナル・パルプコーン型ウーファー(76mm径ボイスコイル)
●インピーダンス:10Ω以下(最低インピーダンス6.5Ω@20kHz)
●クロスオーバー周波数:1.6kHz
●再生周波数特性:32Hz〜35kHz(-10dB)、41Hz〜30kHz(-6dB)
●能率:87dB/2.83V/m
●全高調波歪:0.2% THD @87dB SPL
●寸法/質量:W300×H1050×D400mm/52.0kg