川延幸紀監督の劇場公開デビュー作『「16」と10年。遠く。』の再上映が、東京池袋シネマ・ロサで始まった(2月25日(金)まで、20:00~)。2月19日には初日舞台挨拶が開催され、川延監督と主演の兎丸愛美が登壇。まだ観ていないひとにはぜひ観たいと思わせ、一度観た人もディテイルを確認するため再び観ずにはいられなくなるような興味深いトークを繰り広げた。その一部を紹介したい。

画像1: 話題作『「16」と10年。遠く。』の再上映初日舞台挨拶に「川延幸紀」監督、「兎丸愛美」が登壇。“1年間かけていろんな季節で撮影するのは、役者にとって本当にぜいたくなことです”(兎丸)

川延幸紀(以下、川延) 『「16」と10年。遠く。』は“再生”をテーマに制作しました。人は生まれ変われるのかという問いが自分の中にあって、それを描きたかった。兎丸さんが演じた雪那は(その)テーマを体現したような役で、演じる人の人生が出てくるものかなと思っています。主演を探していた時になかなか見つからなくて途方に暮れていた時に、兎丸さんの記事をたまたまネット上で見つけて、“この人だ”って自分の中で勝手につながったのがあって、オファーさせていただいた経緯があります。

画像2: 話題作『「16」と10年。遠く。』の再上映初日舞台挨拶に「川延幸紀」監督、「兎丸愛美」が登壇。“1年間かけていろんな季節で撮影するのは、役者にとって本当にぜいたくなことです”(兎丸)

兎丸愛美(以下、兎丸) オファーを受けた4年前はゴールデン街でアルバイトをしていました。そこに、急に5人組の男性がやってきて。だいたいゴールデン街に5人で来ることはないんですよ。1人、2人とか。2階席に案内したんですが、私が2 階に行くたび、みんな黙り込むんですよね。この人たちは一体何者なんだと思っていたら、映画のチームで。その時にお話をうかがって。

画像3: 話題作『「16」と10年。遠く。』の再上映初日舞台挨拶に「川延幸紀」監督、「兎丸愛美」が登壇。“1年間かけていろんな季節で撮影するのは、役者にとって本当にぜいたくなことです”(兎丸)

川延 そこからご縁が繋がりました。雪那という役について、演じてみてどうでしたか?

兎丸 確かに雪那と私は似てる部分もあるなと思いました。私も昔の自分がすごく嫌で、“生まれ変わりたい”というわけではないけど、新しい自分になりたくてヌードモデルという仕事を始めたので、そういう部分は似ているような気はしましたけど、それでもやっぱり難しかったですね。私にとって3本目に参加した作品で、1本目は本当にエキストラみたいな感じで、2本目は短編で、 3本目で初めて長編映画に参加することになって、しかも撮影期間も 1年間あって大丈夫かなと不安だったんですけど、川延組の皆さんともう 1人の主演の大門(嵩)さんのおかげで、本当にどうにか乗り切ることができました。チリトマトヌードルを食べるシーンがすごく好きですね。

 大変だったのは私がトラックに轢かれるシーンです。1日かけて撮影しました。すぐに終わるだろうって思っていたら、昼間から夕方まで5、6時間もかかって。

川延 50回くらいやり直しました。もちろん細心の注意を払って、絶対にその危険はないっていうのでやっていますけど。

兎丸 私がもうだんだんヤケクソになっちゃって、どんどんどんどん(トラックに)近づくから、トラックから悲鳴が聞こえてきたという。

川延 トラックを運転しているのはスタッフなんですけど、インカムというか音声を聞きながらお互いタイミングをとっているんですけども、そこから悲鳴が聞こえてくる。相当、怖かったんだと思う。

兎丸 もう1つ、印象に残っているのは雪ですよ。もともと雪の中で撮るはずじゃなかったんですよね。

川延 本来はそうですね。雪は降っていてほしい画ではあったんですけど……。新潟県で前日に撮っていた時は降ってなかったんですが、いきなり1メートルも積もった。(腰のあたりを指さして)もうここに雪があるんですよね。全部の想定が崩れるほど降ってきた。それで全員分の長靴を揃えて。映画は経費がかかるんですけど、最後にどんなお金がかかったか調べたら、“長靴代2万円”みたいな。命の長靴でした。

 兎丸さんは1年間撮っていく中で、自分の中で変わっていったものはありましたか?

兎丸 月に何回か撮影をして、これが1年間続いて。撮影のたびにリセットできるというか、撮影の合間に自分の日常があって、また撮影があってという繰り返しが私には合っていたなと思います。1年間かけていろんな季節で撮影するのは、役者にとって本当にぜいたくなことです。

川延 観てくださる皆さんが自分の中にある変わらないものとか、変えていきたいものとか、そうしたものを少しでも考えるきっかけになったり、そういう刺激を与えられたら嬉しいと思っています。

映画『「16」と10年。遠く。』

2月25日(金)まで、池袋シネマ・ロサにて再上映中

画像: パネルにサインを入れる兎丸愛美

パネルにサインを入れる兎丸愛美

画像: 映画『「16」と10年。遠く。』

<舞台挨拶日程>
2月23日(水) 20:00の回上映後
登壇予定者:大門嵩 兎丸愛美 森脇なな 川延幸紀(監督)

2月25日(金) 20:00の回上映後
登壇予定者:大門嵩 兎丸愛美 森脇なな 川延幸紀(監督)

<キャスト>
大門嵩 / 兎丸愛美 / 三江彩花 / 森脇なな / 金子寧々 / 奥居元雅 / 大山真絵子 / 真柴幸平 / 森恵美 / 壱の木成 / 齋藤博之 / 宇田川さや香 / 赤松真吾 / 藤入鹿 / 花 / 細川佳輝 / 白奈里渉 / 藪田真衣 / 村松えり / 水沢有礼 / 佐田淳 / 田村宗慈 / ぱいぱいでか美

<スタッフ>
監督・脚本:川延幸紀 撮影:野辺康介 録音:早川竜馬 音楽:服部義広 VFX:波多柾之(やさしい世界) メイク:MAYUCO 宣伝:西出壮宏 ロゴデザイン:UDON
2020年/日本/DCP /カラー/109分/5.1ch
(C)Backlight Film Co.

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