これは、〝全録〟のREGZA(レグザ)レコーダーに4K放送とUHDブルーレイという共に〝4K〟対応能力を与えた「4Kレグザブルーレイ」だ。レグザとしてはディスクメディアも含めて4K対応した初の仕様だ。
このDBR-4KZシリーズは、HDD(ハードディスク)容量が6Tバイトの「600」、4Tバイトの「400」、2Tバイトの「200」があり、「400」のみ2021年内の発売だ。
東芝レグザの「タイムシフトマシン」は、基本構想がパソコンを中心としてネットワーク化された大容量映像データの収集、蓄積、検索、転送といった機能を重視したシステムから出発している。それを映像趣味用としてPCを不要とし、また特に放送録画を重視して進化して大容量HDDへの収録マシンという性格に特化してきたわけだ。そして、ついには多数の放送局の番組を終日全て録画し、それを長時日継続できるという〝全録〟にいたってタイムシフトマシンは成立したのである。
レグザのタイムシフトマシン録画機はディスクメディアにはさほど重きを置いていなかった。たとえば最近の主力機種DBR-M4010は4K放送にもUHDブルーレイにも対応せず。それらの対応は今回のDBR-4KZシリーズに持ち越された次第。
そのタイムシフトマシン系の機能は従来のものと同様だが、新4K衛星放送対応の4Kチューナーを2系統搭載しているので、〝全録〟の領分が広がったような気がする。しかしこの4K放送受信についてはタイムシフトマシンには加わらず、基本は独立した録画設定の扱いになる。4K番組を再圧縮しないDR録画となると記録容量が大きくなりすぎるのでそうなったのだろう。とはいえ他の番組を録画中でも4K放送を見たり2番組同時に録画したりできるし、外付けUSB HDDに2番組同時録画することも可能なのでその価値は高い。また4K放送番組であっても、好みの番組を自動録画する「おまかせ録画」には対応している。あらかじめ用意された区分の「みるコレパック」だけでなく、システムの方から先回りして推奨する「みるコレAI」も機能させられるのだ。
というわけで、高い圧縮率で長時間収録できる〝全録〟と、高品位が身上の4K番組を余裕で収録し、使いこなせるわけだ。
レグザテレビと組み合わせて
クラウドAIの強みを発揮
タイムシフトマシンとしての録画領域は6Tバイト機では5.25Tバイトまで設定可能。たとえば地上デジタル3局をDR固定で、他の3局をAVC圧縮の最定画質モード録画に設定すると、6チャンネルを最大約8.5日分〝全録〟できることになる。これに外付けのUSB HDD(USBハブにより同時4台まで使用可)やタイムシフトマシン仕様のテレビと組み合わせると、さらに長大な番組の収録が可能となるし、それらの番組表を一覧表示できるのはなかなか壮観だ。それに膨大な録画データから好みの人物やテーマなどを指定して検索できるなど、自分流の映像データベースの高い機能性は伝統の強みだ。
映像のモニターはレグザの有機ELテレビ48X9400SSを使用。光ディスクドライブについては、視聴機が純然たる試作機につき、まだ充分に機能せず、評価を見送った。
4KのDR録画は大自然の実録や美術系でさすがに精細な情報が再現される。使いこなしをすればさらに鮮鋭感や立体的な構成力が引き出せるだろう。
BSや地上デジタルはもっぱら連続テレビドラマの録画でAVC圧縮の各モードを比較。2倍モードの「AF」はさすがにDRとの差が見出しにくく完成度は高い。3倍モードの「AN」以下だと少しずつ細部の整理や輪郭の癖が見えがちだけれど、少々の甘さや密度感の低下などあっても結構鑑賞できるものだと再認識させられた。それと地上デジタルのアニメ映像にテレビ側の「クラウドAI高画質」をオンにすると、なかなか鮮明にして色鮮やか、空間構成まで明示されるようになって感心した。その番組やジャンルに合わせた補正情報をインターネットのクラウドから取り込み、レグザのテレビに送り込む仕掛けだ。これは長時間録画の画質向上策にもなるので頼もしい。
というわけで、パワフルな録画機能に4K対応と質の高い画質向上策を加味したもっとも現代的な録画機を大歓迎する。