オーディオブランドfinalから、最新の音響工学を適用させ、完全ワイヤレスイヤホンの新定番を謳う「ZE3000」が、今週末12月17日に発売される(¥15,800 税込)。

画像: ▲finalの直販サイトでは、12月17日出荷分については、すでに完売しているという

▲finalの直販サイトでは、12月17日出荷分については、すでに完売しているという

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 リリースによれば、ハウジングに通気孔を設けなくても、内部の圧力を最適化することができる「f-LINKダンピング機構」を新開発して搭載。結果、一部の帯域が強調されることなく、フラットな特性を実現したという。

 加えて、音の歪を低減する新設計のドライバー「f-Core for Wireless」により、ポータブル機器(イヤホン)における音の歪の問題を、大幅に改善しているとしている。

 ここでは、注目のZE3000を発売前に試聴することができたので、そのインプレッションについて簡潔にお届けしたい。

 まずは充電(収納)ケースについて。最近流行のスティック型のケースのようなスリムな形状を実現しており、普通の完全ワイヤレスイヤホン(お団子型というか?)のそれにしてはかなりスタイリッシュ。加えて、表面は梨地処理が施されており、滑りにくくしっかりと手に馴染むさまは、さすが細かいところにまで気が付くfinalの製品である。

画像: final、アコースティックな手法でさらなる高音質を追求・実現した完全ワイヤレスイヤホン「ZE3000」。新たな定番モデルとして、充分なサウンドクォリティを持つ

 蓋を開けると、finalらしい角張ったデザインのイヤホンが、スペース的に無駄なく、見事に収納されている。イヤホンの外装についてもケースと同様に梨地処理が行なわれているので、滑りにくく持ちやすい。角張っているので、その角に指を引っ掛ければすっと取り出すことができるし、耳への装着時/脱着時に落としてしまう、というハプニングも回避できるだろう。細かい点だが、こういうところまで、使いやすさに配慮しているのは、さすがだなと感じてしまう。ただし、継ぎ目のラインが結構目立つので、モデラ―的な視点からあえて言えば、それをパテ埋めしてツライチにしたくなる(笑)。

画像: ▲イヤホンの外側は角張っているが、耳にあたる方は角にアールが付くなど、装着性も考慮された形状となっているのが分かる

▲イヤホンの外側は角張っているが、耳にあたる方は角にアールが付くなど、装着性も考慮された形状となっているのが分かる

 さて気になる音質については、謳い文句通り、完全ワイヤレスイヤホンでありがちな低音の押し出しが強すぎて……ということもなく、全帯域にわたってフラットな特性を持っているのが分かった。かといって低域が不足することはなく、充分に量感のあるサウンドを聴かせてくれた。

 高域については、詰まった感じはなく、素直な再現性。音場感はそれほど広くはないが、脳内の中央に少し大きめのドームを描くような雰囲気でナチュラルなもの。ただし、定位は目の少し奥側になる。ボーカルと曲のバランスも良好であり、S/Nもよくクリアなサウンドになっている。音調は位相が整っているからか、ウェットなものでしっとりとした印象に感じた。内部の圧力が最適化されていたり、歪が少ないこともあって、優等生とも言える再現性。HDSS的な雰囲気も感じられた。欲を言えば、もう少し音に厚みがほしい。

 次に、コンテンツをハイレゾにすると、細かい音がより聴こえてくるようになり、再現性はもう一段アップ。音場感についても上方へその領域が拡大するようで、雄大なサウンドになるし、響きの余韻もより豊かになり、音楽性は増してくる印象。ボーカルはさらに浮き立つようになり、厚みのある歌声が堪能できるようになった。SN感もアップし、音間の静寂さがよりクリアネスを持って迫ってくるようになる。

 イヤーピースは、完全ワイヤレスイヤホン専用を謳う、「TYPE E完全ワイヤレス専用仕様」品が同梱されており、カナル型で感じやすい、耳への圧迫感、挿入感が抑えられ、自然な装着性が得られるようになっている。その圧迫感が苦手で、カナル型を敬遠している筆者でも、無理なく使用することができた。

画像: ▲薄型のイヤーピースで、耳への圧迫感は少なく、装着性は良好。遮音性はそれほど高くない

▲薄型のイヤーピースで、耳への圧迫感は少なく、装着性は良好。遮音性はそれほど高くない

 完全ワイヤレスイヤホンの中にあって、アコースティックな手法で音質向上を追求、そして実現した製品として、注目の一台と言えるだろう。

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