アキュフェーズから、創立50周年記念の第四弾となるステレオ・プリメインアンプ「E-5000」(¥990,000、税込)が発表された。
同社が2019年に発売した50周年記念モデル第一弾「E-800」は、純A級プリメインアンプのフラグシップ・モデルとして、高い評価を集めた。新製品のE-5000は、E-800に匹敵するクォリティを保ちながら、これまでにない大出力を実現するAB 級プリメインアンプのフラグシップ・モデルだ。
プリアンプ部には「Balanced AAVA」方式ボリュウム・コントロールを採用。一般的なプリアンプは、可変抵抗を使ってボリュウムを調整するため、接点の劣化等でガリが発生したり、通常のボリュウム位置でノイズが増加することもある。AAVAは、入力信号から大きさの異なる複数の信号を作り、その信号の組み合わせを切り替えて音量を調整するので、すべてのボリュウム位置で低いノイズ・レベルを実現できるという。E-5000ではAAVAをバランス回路で構成したBalanced AAVAを搭載し、優れたノイズ性能を実現している。
またAAVAは、ボリュウム・センサー機構でボリュウム・ノブの位置を検出し、信号の組み合わせを切り替えて音量を調整している。E-5000では、アルミニウム・ブロックを超精密加工で削り出し、硬く重い素材を用いたボリュウム・センサー機構を開発、ノブ回転時の滑らかな動作、重厚な操作感、緻密な位置検出を実現した。これらは、先に発売されたプリアンプ「C-2900」でも使われている技術を継承している。
パワーアンプ部は、信号の入力端子から出力段までの信号経路をバランス伝送化する「インスツルメンテーション・アンプ」構成を採用。機器内で発生する雑音を除去する能力や低歪み率といった諸特性に優れるだけでなく、周囲の環境変化にも強く、パワーアンプとしての安定度、信頼性も向上している。
さらに電力増幅段には大型ヒートシンクを備えた「パワー・トランジスター、5パラレル・プッシュプルAB級動作」を搭載している。スピーカーの能力を最大限引き出すためには、激しく変動するスピーカーのインピーダンスによる影響を受けることなく定電圧駆動することが大切になる。そのためにはパワーアンプ部はインピーダンスに反比例する電流を供給できなくてはならない。
E-5000ではパワートランジスターの数を増やして電流供給能力を上げ、出力インピーダンスを下げることで動的な定電圧駆動を可能にした。大電力パワートランジスターを片チャンネル当たり5基並列接続して、プッシュプルAB級動作させている。これらの技術により、定格出力8Ω時240W、4Ω時でも320Wの強力なパワーを達成している。
その他のE-5000の特長は以下の通り。
●信頼性に優れたロジック・リレー・コントロール信号切替方式
●豊富な入力端子(ライン5系統/バランス2系統)
●レコーダー接続用入出力端子(ライン)
●入力端子毎に位相設定が可能
●ステレオ信号をモノフォニック信号に変換可能
●瞬時に音量を下げられる-20dBのアッテネーター
●聴感上のエネルギー・バランスを整えるコンペンセーター
●加算型アクティブ・フィルター方式トーン・コントロール
●高域の位相特性に優れたカレント・フィードバック増幅回路
●ショート事故を未然に防ぐスピーカー出力保護回路
●プロテクション回路には、インピーダンスが低く、信頼性が高いMOSFETスイッチを採用
●出力切替や同時出力が可能な2系統の大型スピーカー端子
●バイアンプ接続を可能にするプリアンプ部出力端子(ライン/バランス)
●パワーアンプとして活用できるパワーアンプ部入力端子(ライン/バランス)
●ディスクリート回路による高音質ヘッドフォン専用アンプ
●2枚のオプション・ボードを挿入可能なスロット
●デジタル入力ボード「DAC-60」(別売)で、ハイレゾ音源再生に対応
●アナログ・ディスク入力ボード「AD-50」(別売)で、アナログ・レコードを再生
●極太OFC導体5芯構造を採用し、音質を重視した電源コード「APL-1」付属
「E-5000」の主なスペック
●定格連続平均出力(20〜20kHz):4Ω負荷320W/ch、8Ω負荷240W/ch
●全高調波ひずみ率(20〜20kHz):4〜16Ω負荷0.05%
●負荷インピーダンス:スピーカー1組4〜16Ω、スピーカー2組8〜16Ω
●接続端子:アナログ入力7系統(RCA×5、XLR×2)、レコーダー入出力1系統(RCA)、プリアウト2系統(RCA、XLR)、MAIN IN2系統(RCA、XLR)、オプションボード拡張スロット×2、スピーカー出力×2
●消費電力:8Ω負荷定格出力時796W(待機時0.3W)
●寸法/質量:W465×H211×D502mm/33.8kg