RAIDERS OF THE LOST ARK(INDIANA JONES 4-MOVIE COLLECTION)
with DOLBY VISION and DOLBY ATMOS/4K DIGITAL RESTORATION
RAIDERS OF THE LOST ARK was released at the peak of Spielberg’s commercial powers, and it remains a remarkable achievement in action cinema, a David Lean-like epic reconfigured into pure pulp thanks to elaborate stunt choreography, colossal production design, and special effects that have held up shockingly well against 40 years of subsequent technological upgrades.
Release Dates (Theater):June 12, 1981 (Domestic)
Domestic Total Gross:$248,159,971
(International: $389,925,971)
FILM(RAIDERS OF THE LOST ARK)
1981年。経済が安定期に入ったアメリカでは、映画観客動員数が増加すると同時に、ビデオの普及率も急増。幕を開けた新たなるハリウッド黄金時代。ジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグは、そんな時代に相応しい才能であった。少年時代に楽しんだ連続活劇を、最新技術で甦らそう。デッサンと肉づけが 充分に為された脚本を得た若き二大巨頭が初タッグを組み、思う存分撮り上げて宿願を果たすこととなる。歯切れのよいショットがダイナミックに積み重ねられ、映画づくりの腕前にたちまち引き摺り込まれてしまう。当然のごとく、全米興行成績では第1位に輝いた(日本では81年12月公開、82年興行成績第5位)。さらに第51回アカデミー賞レースでは、作品、監督、撮影、作曲、美術監督・装置、視覚効果、音響、編集にノミネート。後者4部門と特別業績賞を受賞した。
若き考古学者インディアナ・ジョーンズは、砂漠の中に眠るというアーク(聖櫃)を探し求めて、次々に起る危機に立ち向かう。スピルバーグが「ディズニーランドを一周する以上に楽しい」と語ったように、本作で繰り広げられたノンストップ・アクションは、80年代娯楽映画の重要なキーワードとなった。遡れば1977年、『スター・ウォーズ』メガヒットの喧騒から逃れるため、ルーカスとスピルバーグがハワイで休暇を取った時のこと。スピルバーグが「ずっと007映画を監督したいと思っていた」と語った時に、ルーカスはかねてから温めていた「古代の遺物を探すために地球を駆け巡る考古学者を主人公にした、土曜のマチネで楽しむような懐かしい大活劇」のアイデアを明かした。これを気に入ったスピルバーグは、ルーカスの『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の脚本を担当していたローレンス・カスダンを合流させ、ストーリーラインを作り上げることに(カスダンは主人公のキャラクターにプレストン・スタージェスのウィットを加え、スピルバーグは考古学者役をハリソン・フォードに決めたという)。そんな娯楽の殿堂ムービーもすんなりと製作が決まったワケではなく、パラマウントはルーカスとスピルバーグの懐に収まる売り上げパーセンテージが高すぎることに二の足を踏み、製作費2000万ドル、撮影期間87日、ただしオーバーした場合はペナルティを課すという条件付きでようやくOKを出した経緯がある(最終製作費は1800万ドルに収まっている)。
『インディ・ジョーンズ コンプリート・アドベンチャーズ』BLU-RAY BOXが登場したのは、いまから9年前の2012年。シネフィル待望のリリースであった。この9年間には、映像とサウンドのさまざまな技術革新があったが、4K UHD/ドルビービジョンHDR/ドルビーアトモス・サウンドトラック採用はUHD BLU-RAY BOXリリースへの意気込みが感じられよう。リリースはSLIPBOX仕様の通常版、そしてスチールブック仕様版(写真)の2ヴァージョンとなる。
VIDEO(RAIDERS OF THE LOST ARK)
撮影監督は『冬のライオン』『ジーザス・クライスト・スーパースター』『華麗なるギャツビー』『ジュリア』のダグラス・スローカム。パナビジョン/パナフレックス-X/アナモフィック撮影。一部のVFXパートは純正ヴィスタビジョン撮影。UHD BLU-RAY化にあたり、パラマウント社アーカイヴ部門担当の副社長アンドレア・カラスと彼女のチームがレストア全工程を担当。(2003年にローリー・デジタルが復元した)35mmオリジナルカメラネガと35mmインターポジ(一部光学処理パート)を新たに4Kスキャニング。カラーリストは同部門のマイク・アンダーウッド。HDR10とドルビービジョンHDRのHDRグレードを行っている(LAの修復施設プロ-テク・ファシリティーズ/旧・コダックのアーカイヴ部門と共同作業)。アンダーウッドによれば「オリジナルの外観、サウンド、映画が持つフィーリングを維持することに細心の注意を払って復元した。チームはフレームごとに調べ上げて損傷を修復したが、ネガフィルム上のランニングスクラッチやダメージを修正するために大規模な手動タッチアップを行い、第2作や第3作の作業と比べてより多くの時間を費やした」という。LUT(ルック・アット・テーブル)はコダック5247/125T。DIファイルは4Kとなり、UHD BLU-RAYはネイティヴ4K版となる。映像平均転送レートは54.2Mbps(4000nits / HDR10 / BT.2020)+3.7Mbps(4000nits / Dolby Vision FEL/ BT.2020)。収録アスペクトは2.39:1スコープサイズ。
スピルバーグが最終承認、その結果、解像感と細部描画力が大幅に改善されている。もちろんフィルム(セルロイド)とアナモフィックレンズの特徴によるソフトな触感を有しているが、粒子感はいくぶん淡調だが、適切かつ規律正しく再現されており、オーガニックな映像質感で魅了している。光学処理されたオープニングタイトルやトランジション(ショットとショットの繋ぎ)は、映像品質がわずかに低下(公表はされていないが、幾分強めのDNR処理が施されているかもしれない)。HDRグレードは、鮮やかなコントラスト・バランスを実現しており、ハイライトと黒レベルの強化も容易に視認できよう。黒を深みを増し、陰影部のディテイル描画も拡張、以前のBLU-RAY版よりはるかに優れており、その差異はオンセット・ショットでで明快だ。注目に値する改善点はドルビービジョンHDRにあり、なかでも黄金色の被写体に鮮明な輝きを与え、スペキュラハイライトも引き締まった光沢を提供する。カラーパレットは鮮度を増した原色や二次色相を拡張。植生の緑やアーストーン、モカブラウン、セピアタン、バターイエロー、オレンジといった色調のバリエーションが活性化している(BLU-RAY版を悩ませていた淡い緑色の色合いはリデュース)。目玉となるVFXショットは全編を通じて統一性が計られており、ドラマ・パートとのトランジションの違和感も払拭されている。
AUDIO(RAIDERS OF THE LOST ARK)
パラマウントのデジタルポストサービスのアーキビスト、リズ・カークシーが、スカイウォーカーサウンドとデラックスの音響技術者たちと協力してサウンドをクリーンアップ。今回はIMAXシアターでのドルビーアトモス公開も予定されていたため、本作と『スター・ウォーズ』『E.T.』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』で4度のオスカーに輝く音響エンジニア、ベン・バート(前2作は特別業績賞、後2作は音響編集賞)総監修のもと新たなドルビーアトモス・リミックスが行われている。バートによれば「映像をレストアするのと同じように、細心の注意を払ってミックスした。BLU-RAY版でミックスした5.1chトラックをより明瞭で明確なものにするというのが重要なテーマだった。細かなところでは、殴り合いの場面で不足していたパンチ音を追加したのだが、それもオリジナルの素材を活用した。エコーエフェクトや新しく録音したフォーリーサウンドなどのギミックを導入することは避けたが、高さ方向のサラウンド効果がどうしても必要としたときにハイトチャンネルを利用している。ドルビーアトモスの環境がなくドルビーTureHD 7.1で再生しても、アップグレードの効果を楽しめるはずだ」という。 音声平均転送レートは5.3Mbps(24bit/既発BLU-RAY版は3.8Mbps)。
オリジナルに忠実なフロントヘビーのサウンド・プレゼンテーションながら、随所で注目すべきアップグレードを聴取できる。アップグレードの恵みは第一幕から全開(是非ともBLU-RAYと比較されたい)。総じて(発声を含めた)ミッドレンジの分解能と明瞭度の改善が顕著。バートが述べた通り、オリジナルの効果音は保持されているが、オフスクリーン・サウンドを含めて忠実性と定位がこれまでになく優れている。サウンドステージは拡張され、より没入感があり、映画の本来の音響特性を維持しながら、活劇サウンドならではの筋肉質な品質と優れたダイナミクスを備えている。ローエンドは最深のパフォーマンスとはいかないが、弾力のある低音域は聴き心地がとても良い。オブジェクト操演は(バートの解説の通り)活発とは言えないが、シームレスで没入型のサウンドスケープを提供、映像効果を高める一助となるばかりか、その効果を2倍にも3倍にも高みに引き上げている。なかでもお馴染みのジョン・ウィリアムズのスコアは、後部と頭上に絶妙に流れ込み、説得力のあるイマーシヴ音場を披露している。なにより驚かされたのは、サラウンドやトップスピーカーに依存し過ぎず、当時に大劇場ロードショーのサウンドパフォーマンスの記憶を容易に蘇らせてくれたことだ。刺激的で、スリリングで、感情的で、魅力的な、あのシネソニックを。
FINAL THOUGHTS
前述のマイク・アンダーウッドによれば「可能な限り、製作年代の異なる4作品、とくに20世紀の3作品の映像のトーンを統一することを心掛けた。そのためにHDRによるグレーディングは不可欠であった」という。その3作品のなかで、映像とサウンドの品質がより優れているのは『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』となるが、それぞれの作品が永遠とも思える輝きを放って蘇ったことはとても喜ばしいことだ。今回紹介したUHD BLU-RAYは米国版でとなるが、ご存知のように日本語字幕、吹替音声を収録する(スチールブック版は入手困難となっている)。いささか残念だったのは映像特典に新規制作特典がなかったこと。それでもUHD BLU-RAY『インディ・ジョーンズ/4ムービーコレクション』は紛うことなく購入する価値のある愛蔵版である。必見。必聴。
SPECIAL FEATURES(BLU-RAY)
The same set of bonus material is ported over from the previous box set on a separate fifth BLU-RAY disc while all the UHD discs only come with various Trailers (HD) for each film.
On Set with Raiders of the Lost Ark (57:53) : 2-part featurette
- From Jungle to Desert
- From Adventure to Legend
Making the Films : 5 featurettes:
- The Making of Raiders of the Lost Ark (1981) (57:48)
- The Making of Raiders of the Lost Ark (50:52)
- The Making of The Temple of Doom (41:09)
- The Making of The Last Crusade (35:03)
- The Making of the Kingdom of the Crystal Skull (28:49)
The Behind the Scenes section contains 12 featurettes:
- The Stunts of Indiana Jones (10:56)
- The Sound of Indiana Jones (13:21)
- The Music of Indiana Jones (12:22)
- The Light and Magic of Indiana Jones (12:22)
- Raiders : The Melting Face (8:12), Indiana Jones and the Creepy Crawlies (11:46)*
- Travel with Indiana Jones: Locations (9:58)*
- Indy’s Women: The AFI Tribute (9:15)
- Indy’s Friends and Enemies (10:10)
- Iconic Props (9:52)
- The Effects of Indy (22:34)
- Adventures in Post Production (12:36)
SCREEN CAPTURES(COMPARISON)
DISC SPECS
Title | RAIDERS OF THE LOST ARK |
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Released | June 08, 2021 (from Paramount Pictures) |
SRP | $90.99, $133.89 |
Run Time | 1:55:18.077 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible) |
Aspect Ratio | 2.39:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible) Spanish Dolby Digital 5.1, Spanish Dolby Digital 2.0, French Dolby Digital 5.1 Italian Dolby Digital 5.1, Italian Dolby Digital 2.0, Japanese Dolby Digital 5.1 Japanese Dolby Digital 2.0, Russian Dolby Digital 2.0 |
Subtitles | English, English SDH, French, Italian, Japanese, Spanish, Cantonese, Danish, Dutch Finnish, Korean, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional), Norwegian, Russian Swedish, Thai |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★★ 9 |
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S/N感 | ★★★★★★★★ 8 |
HDR効果 | ★★★★★★★★ 8 |
色調 | ★★★★★★★★★ 9 |
階調 | ★★★★★★★★ 8 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★ 8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★ 8 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★★ 9 |
低音の迫力 | ★★★★★★★★ 8 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★★ 10 |
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Image | ★★★★★★★★ 8 |
Sound | ★★★★★★★★ 8 |
Overall | ★★★★★★★★★ 9 |