日本発のオーディオブランドAVIOTから、ノイズキャンセリング機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン「TE-D01m」が発売された(¥12,500+税)。
これは同社の型番の法則から分かる通り、ダイナミックドライバー1基を搭載した、13番目の製品、ということになる。大きな特徴としては、先述した通り、近年の流行でもあるアクティブノイズキャンセル(ANC)機能を搭載したことが挙げられる。そのANCの働かせ方についてAVIOTでは、「マイルドANC」と称しており、いかにもな(ANC)効果を謳わずに、イヤーチップによるパッシブなノイズ抑制と合わせ、音質への影響を最小限にしつつ、ナチュラルに周囲のノイズをキャンセルすることを狙っているという。
基本的な構成は、SoCにクァルコムの「QCC3040」チップを搭載、6mm径のダイナミックドライバー×1基、aptX Adaptiveに対応(対応機器との組み合わせ時)となる。
ちなみにD01という型番だが、本サイトで昨年11月に紹介した「TE-D01g」とは、ハウジングの形状が大幅に変更されており、サウンドキャラクターについてもまったくの別物。D01シリーズではあるが、(音調も含め)新規ラインの製品と思ったほうがいい。つまり、D01gのサウンドにANC機能を追加したのではなく、別製品にANC機能を搭載し、同じ製品ラインに組み込んだ、という感じだ。
ハウジングの形状については、D01gはハウジングと音導菅・イヤーチップが一列(インライン)に並んだジョウロ型。D01mはひょっとこのお面のように丸いハウジングから斜めに音導菅が伸びる形となっている。
今回サンプルを借りることができたので、その音質について簡単に紹介したい。まず、ANC機能オフの場合。帯域のバランスはD01g同様にフラットで、特定の帯域が突出することなく、ナチュラルなもの。しかし、音場再現は全体的にタイトになり、響きの余韻もあまり感じられない。ここら辺は、ハウジングの形状が変わったためだろうか? ただし、ボーカル帯域の再現には注力しているようで、伴奏から(ボーカルが)浮き上がりくっきりと楽しめる。
次はANCの効果について。機能は、右のイヤホンのタッチパネルの長押しでオン/オフが可能。音声ガイダンスも「ノイズキャンセリング(=オン)」「ノイズキャンセリング オフ」と、日本語で聴ける。ただ、“ノイズキャンセリング オフ”は何度聞いても“ノイズキャンセリング オン”に聞こえてしまうのは、筆者だけだろうか(笑)。
東京メトロ(地下鉄)で試してみると、列車の走行音や送風機の音はよくキャンセルしてくれる。しかも、謳い文句の通り効果もナチュラルなため、音質への影響も少ない(若干高域が丸くなる)。ブーンやぼぉーという低域のノイズはよくキャンセルしてくれており、さらにキーンという少し高域寄りのレールのきしむ音についても、よく打ち消してくれる。電車が入線してくる時のレールと車輪のきしむ音も効果的に抑制してくれるため、ホームを歩いていると、急に電車が入ってきたように感じて驚いてしまった。
aptX Adaptive(QCC3040)とANCを組み合わせて12,800円(+税)というお手頃価格にまとめられたTE-D01m。特にANCと完全ワイヤレスイヤホンに興味のあるユーザーには、注目の製品と言えるだろう。