4月29日に『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のパッケージソフトが発売された。そして今回はそれと同時に登場した『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ4K UHDコンプリートBOX(数量限定)』(¥50,000、税別)も見逃すことはできない。

 というのも、このBOXには4K UHDブルーレイ化されたサーガ9作品が収められており、長年本作をオーディオビジュアルのリファレンスとしてきたぼくのような層にとっては、気にするなと言うのが無理な存在というわけ。ということで、そんな豪華BOXに収められたサーガをホームシアターでチェックした印象をご紹介したい。

画像: 『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ4K UHDコンプリートBOX(数量限定)』(¥50,000、税別) amzn.to

『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ4K UHDコンプリートBOX(数量限定)』(¥50,000、税別)

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 スペック的には、今回のUHDブルーレイはすべて4K&ドルビーアトモスで収録されており、HDR(ハイダイナミックレンジ)規格は「HDR10」となっている。そのパフォーマンスをきちんと引き出すべく、JVCの4Kプロジェクター「DLA-V7」を借用し、わが家の110インチスクリーンに投写している。サラウンドはAVプリアンプのヤマハ「CX-A5100」他を使って7.1.4ドルビーアトモスで再生、UHD BDプレーヤーはパナソニック「DMP-UB900」という構成。

 さてここで問題になるのが、サーガ9作品をどこから観るか。つまり、公開年代順か、エピソード順かということ。個人的には『EP4』からのオリジナル三部作世代なので、ここから観るのがまっとうなんだろうけど、今回は気分を変えて、『EP7』〜『EP9』の新三部作から再生してみたいと思う(正式タイトルは以下の通りだけど、本文では便宜上『EP7』〜『EP9』と表記)。

 えぇ〜なんで? という声も聞こえてきそうだけど、ここのところ取材もあって『EP9』のブルーレイをヘビロテしているので、気分的にそのつながりで観てみるのもいいかなと思った次第。

 ちなみにこの新三部作はフィルム撮影、4Kスキャンで製作されており、サラウンドも劇場公開時からドルビーアトモスが使われている。もちろん年代が新しいこともあるけれど、UHDブルーレイのマスターとしては一番理想的といってもいいかと。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)

画像: © TM Lucasfilm Ltd.

© TM Lucasfilm Ltd.

 まずは『EP7』。新生サーガの始まりとして大いに注目を集めたのが記憶に新しいけど、気がつくともう5年も経っていたのですね。この作品はブルーレイ(2K/SDR、DTS-HD MA7.1ch)でしか発売されていなかったから、UHDブルーレイ、ドルビーアトモスとしては初登場。

 なお今回は各ディスクを再生しながら、UB900の再生設定機能から映像と音のビットレートも確認してみた。3作品とも映像は30〜70Mbpsの間で変動していて、40Mbps前後の表示が多い印象。ドルビーアトモス音声は5Mbps前後が多い。

 本編を通して見た印象は以下の通り。

・映像はクリアーで、フィルムのグレインは抑えめ
・冒頭、暗い場面でのカイロ・レンのヘルメットやマントの質感がいい
・ファルコン号の汚しがリアル。Xウィングのメタル感も見事
・ハン・ソロの無精ひげ、肌の老け具合が明瞭に出た
・レジスタンスの登場シーンでXウィングの飛行音が天井から響くなど、ドルビーアトモスの演出がわかりやすい

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)

画像: 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)

 続いては『EP8』。こちらは内容的に賛否両論で、個人的にも気になるところはあるけれど、今回はそれは言わずにおきましょう。ちなみに本作はサーガ中唯一UHDブルーレイが発売されていた作品で、既発売のUHDブルーレイはドルビービジョン&ドルビーアトモスという仕様だった。

 今回のBOXに入っているUHDブルーレイは、ドルビーアトモス音声だけど、HDR方式はHDR10に変更されている。その他の違いとしては吹き替え音声が既発売盤は日本語だけだったのが、新盤は日本語、フランス語、スペイン語に増えており(すべて7.1ch)、字幕も既発売盤が日本語と英語だけだったのが、英語、フランス語、スペイン語、日本語になっているから、容量の問題もあったのかも。

 それはさておきBOX盤の『EP8』は、映像のビットレートが40Mbps前後で、ドルビーアトモス音声は6Mbpsほどと、データ的には『EP7』と同じくらい。作品の印象もおおむね似た傾向だった。

・グレイン感は少なく、映像はクリアー。劇場よりすっきりした印象あり
・ルークの島でトレーニング中のレイの描写が美しい。背景の青空も綺麗
・ライトセーバーの旋回する音が、高さを伴っている
・ヨーダの復活シーンは、パペットの動きをCGで再現したというニュアンスも出ている
・スノークの部屋の赤い壁面はちょっと単調
・惑星クレイトの戦闘シーンは白と赤の対比が綺麗。岩塩のディテイルもちゃんと分かる
・夕日を背にしたファーストオーダーの艦隊が美しい

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)

画像: 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)

 そして最終作の『EP9』。こちらはビットレート的には他の2作と同じかちょっと多めで、映像が40〜50Mbpsくらい、音は6〜7Mbps前後の模様。

・『EP7』や『EP8』に比べるとグレインが強め
・冒頭、カイロ・レンの黒い衣装、赤いライトセーバーの対比が綺麗
・レイのトレーニングシーンは透明感があり、森の緑の階調も出ている
・アキ・アキ祭や続く砂漠のチェイスシーンはHDR効果がはっきり
・C-3POのボディの金色、艶が凄い
・デス・スター内の描写はグレインが強め。カメラやフィルムサイズの違いが出ているか?
・廃墟の中の方位感、サラウンド空間再現は心地いい
・エクセルゴの薄暗い中での艦隊のディテイルは必見
・パルパティーンとの対決で雷が高く、サラウンドの迫力は充分

 新三部作のUHDブルーレイに共通して言えるのは、4Kらしい精細感、情報量をしっかり感じ取れる映像で、サラウンドも自然でこれみよがしのない演出がされているということ。以前の潮晴男さんによる『EP9』のインプレッションにもあったけれど、映画館ではわからないような細かい絵や音の演出が、ホームシアターでなら楽しめます。

 ということで、新三部作はUHDブルーレイで再見する価値が充分あるのは間違いなし。さて次回はどのエピソードから観ようかな。

(取材・文:泉 哲也)

© 2020 & TM Lucasfilm Ltd.

画像: HDR10収録のUHDブルーレイの映像をフルスペックで確認するために、JVCの4Kプロジェクター「DLA-V7」を借用し、110インチスクリーンに投写した。画質モードは「Frame Adapu HDR」を私用。その詳細はまた後日

HDR10収録のUHDブルーレイの映像をフルスペックで確認するために、JVCの4Kプロジェクター「DLA-V7」を借用し、110インチスクリーンに投写した。画質モードは「Frame Adapu HDR」を私用。その詳細はまた後日

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