今、映画ファン&オーディオビジュアルファン一番の楽しみと言えば、4月29日(水)に発売される『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のパッケージソフトといっても過言ではない。2Kブルーレイから4K UHDブルーレイ、さらには全エピソードを収めたボックスまで豪華なラインナップが予定されている。
StereoSound ONLINEでもそれらの情報を逐一ご紹介してきたが、今回『〜スカイウォーカーの夜明けMovieNEX』のブルーレイをいち早く視聴できる機会を得たので、そのインプレッションを紹介しよう。
まずは本編ディスクを再生。再生機器はプロジェクターにソニーVPL-VW1100ES、スクリーンはスチュワートHD150/110インチで、2K→4KアップコンバートはBDプレーヤーのパナソニックDMP-UB900という構成。サウンドはDTS-HD MA 7.1ch収録だったので(英語音声)、ヤマハCX-A5100のストレートデコードで再生している。
冒頭、お馴染みの宇宙空間にタイトルロゴとテロップが浮かぶと、それだけで心が躍る。星の数も多いし、明るいものから暗いものまできちんと描き分けがされている。何よりテロップの黄色が鮮やかで純度が高いし、小さくなってもフォントが崩れないので画面に奥行を感じる。
そこから惑星エクセゴルでカイロ・レンとパルパティーンが対峙する薄暗いシーンに入る。実は当初、プロジェクターの映像モードを「リファレンス」にしていたが、もう少し暗部の情報を出したいと感じたので「シネマフィルム1」に変更。ガンマ補正も「切」から「2.4」に変更した。
こうすることで、雷の輝きで浮かび上がるパルパティーンや、カイロ・レンの苦悩する表情もきちんと描き出されるようになった。ブルーレイの2K/SDRでも、ここまでの情報がしっかり記録されているのは間違いない。
続いてレジスタンスの基地でレイがトレーニングをしているシーンでは、背景の森の木々のグリーンが鮮やかに再現された。このシーンは森林に実物大の宇宙船のセットやドロイドを配置して撮影されているが(中に人が入って歩行している様子などが特典映像に収められていた)、その本物らしさもきちんと感じ取れる。
以後も同様に、緻密かつクリアーでコントラスト感のある映像がしっかり再現されている。チューバッカのアップでは毛並みのリアルさに驚かされるし、R2-D2やC-3POのメタル感も見事。特に本作でのC-3POのゴールドはとても印象的で、チャプター21、バブ・フリックの工房での名シーンで赤みがさした様などは、寂しげなニュアンスまで漂っている。
他にもカイロ・レンのヘルメットの修理には金継ぎの技術が参考にされており、金の代わりに赤で仕上げられているが、その黒と赤の対比もなかなか美しい。正直なところ、あそこまで潰れたヘルメット(内部にはメカも入っているはず)が金継ぎで修理できるとは思えないけど、そこは気にしないことにしましょう。
その後のデス・スターの廃墟でレイとカイロ・レンが対決するシークエンスでは、わずかながらグレインが強めに感じた。本作では撮影に35mmや65mmフィルムが使われ、それを4Kスキャンしているとのことだが、このシーンは35mm撮影だったのかな、などと想像しながら観てみるのも楽しい。
そこからクライマックスまで見どころが続くわけだけど、このブルーレイはどこのシーンを切り取っても画質がいい。エクセゴルの薄暗いカットでも微妙な階調をしっかり出すし、レジスタンスの船団もクリアーに描写している。ラストシーンでタトゥイーンのふたつの太陽にも改めて感動した次第。
サラウンドは、先述の通りDTS-HD MA 7.1ch。同時発売される4K UHDブルーレイはドルビーアトモスで収録されているが、ここは転送レートなどを勘案した選択なのだろう。
とはいえロスレス音声らしく、全篇を通して細かい効果音までしっかり再現される。余計な誇張感のない、素直なサラウンドといえばいいだろうか。セリフも明瞭で、遠くで吹く風音、荒海の波のどよめきなども芯のある音と聴いた。気がついたらボリュウムを普段より上げ気味にしていたが、それでももっと大きい音で聴きたいと思わせる自然なまとまりだった。
なお、ブルーレイの映像を50インチのプラズマテレビ(2K)で確認してみたところ、自発光らしいクリーンな映像だった。この絵なら65インチくらいの直視型でも充分に楽しめるだろう。
といっても、ホームシアターファンとしては4K/HDR映像やドルビーアトモスでどれほどの『〜スカイウォーカーの夜明け』が楽しめるかも気になるわけで、こちらについても取材ができ次第“なる早”でご紹介したいと思う。お楽しみに。
(取材・文:泉 哲也)
1980年代の映像も盛り沢山。特典ディスクも最後まで楽しんで欲しい
『スター・ウォーズ』シリーズのパッケージと言えば、メイキング映像も忘れてはいけない。『〜スカイウォーカーの夜明け』にも特典ブルーレイがしっかり収められている。
その内容は以下の通り。
「スカイウォーカーの遺産」(2時間06分11秒)
「緊張のチェイス・シーン」(14分16秒)
「砂漠での撮影」(5分59秒)
「オーチの船にて」(5分33秒)
「ワーウィックと息子」(5分37秒)
「クリーチャーが生まれるまで」(7分46秒)
圧巻は「スカイウォーカーの遺産」で、1982年バターカップ・バレーでの『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の撮影現場からスタートし、『〜スカイウォーカーの夜明け』の収録風景などを交えながら、製作の舞台裏が紹介されていく。
特に急逝したキャリー・フィッシャーに対して、「撮影済みの映像を見ながら脚本を練った」(製作総指揮:カラム・グリーン)、あるいは「彼女の周りに映像を作ることにした」(視覚効果スーパーバイザー:ロジャー・ガイエット)といったスタッフの思い、配慮が語られるシーンは必見だろう。
さらにはジョン・ウィリアムズやサリー・ギネス(アレック・ギネスの孫)の撮影時の様子や、チャプター31でルークが海に沈んだXウィングを引き上げるシーンではクレーンで大型の模型を吊り下げていたことなども紹介されている。安易にCGに頼るのではなく、特殊撮影にこだわったJ.J.エイブラムス監督の姿勢がここからもうかがえる。
他の特典も、ヨルダンの砂漠でブルーバックをどのように撮影したのか、あるいはチャプター13のアキ・アキ祭り(スタッフやキャストで総勢800名!)のためにどんな準備がされていたのかなど、イメージ通りの映像を撮るためにここまでやったのかと驚くこと間違いない。
これだけの貴重な情報をスルーしては勿体ない。本編を見終わったら、ぜひ特典ディスクも隅々まで楽しんでいただきたい。
<商品情報>
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け MovieNEX』(¥4,200、税別)
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 4K UHD MovieNEX』(¥8,000、税別)
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 4K UHD MovieNEX スチールブック(数量限定)』(¥9,000、税別)
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(数量限定)』DVD(¥2,800、税別)
『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ4K UHD コンプリートBOX(数量限定)』(¥50,000、税別)
先行デジタル配信中! ディズニー公式動画配信サービス、ディズニーデラックスでも配信開始1周年記念として、期間限定でレンタル配信中。
<ストーリー>
かつて銀河に君臨していた祖父ダース・ベイダーに傾倒し、その遺志を受け継ぐべく、銀河の圧倒的支配者へと上り詰めた、スカイウォーカー家の一人でもあるカイロ・レン。そして、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの想いを引き継ぎ、類まれなフォースを覚醒させたレイ。新たなるサーガを担う若者二人の運命が、この物語の行く末を担っている。はるか彼方の銀河系で繰り広げられる、スカイウォーカー家を中心とした壮大な<サーガ>の結末は、“光と闇”のフォースをめぐる最終決戦に託された——。
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