『スター・ウォーズ』のパッケージソフトコレクションを発売年代順、フォーマット別に振り返ってみようという短期連載。第3回のテーマは2004年発売のDVD BOX『STAR WARS TRILOGY』ということで。
DVDというメディアが登場したのが1996年で、そこからしばらくはLD(レーザーディスク)と併売されていたわけです。『スター・ウォーズ』関連では1999年公開の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が、翌年(だったはず)に日本でのみLDが発売されたのを覚えている人もいるはず。
なおこのLDは劇場公開版で発売されていたことも重要。というのもDVD以降の『EP1』はすべて後から追加編集(ポッドレースシーンが長くなるとか)された《特別篇》で、劇場公開と同じ編集で見られるのはLDだけだから。とはいえこのLDも数年前に渋谷のタワーレコードで¥100で売られていたから、よほどのマニアじゃないと気にしないんだろうなぁ。
さて本題。DVD BOXの『EP4』はLDの《特別篇》をベースに、さらにデジタルリマスターを加えたバージョンで、発売当時THXの担当者がHiVi視聴室で取材に応じてくれたこともあった。
その時の話では、オープニングロール背景の星空も、1等星から6等星まで判別できるほど細かくレストアしたということだった。つまり、それくらい黒の締まりとコントラスト再現を向上させたということだったかと。
で、今回改めてDVDを再生してみると、今の感覚ではもう少し黒を締めたい気もするけれど、R2-D2やC-3POの金属感の再現などはクリアーで、LDとは違う深みが感じられる。
ちなみに再生は当時の環境になるべく近づけようということで、DVDプレーヤーとしてパイオニアDV-AX10を使ってみた。アナログ色差コンポーネント出力をAVセンターのヤマハCX-A5100でHDMIに変換しているわけで、上記はHDMI出力を50インチプラズマテレビにつないだ時の印象になる。
そこで次は、AVセンターのHDMI出力をプロジェクターのソニーVPL-VW1100ESにつなぎ替えて、110インチスクリーンで再生してみる。すると表示面積が約4倍になったこともあり、気になる部分も増えてきた。
具体的には、オープニングの「STAR WARS」のロゴマークが奥に行くに従い斜め線が荒れてくるのがわかる。またオビ=ワンの住居やモス・アイズリーを俯瞰したロングショットでは、映像がきつめに感じられた。
じっくり見ていくと、輪郭に縁取り(プリシュートやオーバーシュート)がつけられており、こういったDVD時代の演出がアップコンバートによって過剰な効果につながっているのかもしれない。画面全体で縁取りがきつく、荒っぽい印象を受ける。
では新型のプレーヤーを使ったらどうか? プレーヤーをパナソニックDMP-UB900に交換してDVDを再生してみた。この場合はUB900から2KでHDMI出力され、それをVW1100ESで4K変換するという流れとなる。
110インチに投写した映像は、しかし基本的にはDV-AX10での再生と同じ傾向で、輪郭の強調感はやや抑えられているが、ロングショットの映像などはやはり粗っぽい。ただアップではチューバッカの毛並みも細かいし、R2-D2やC-3POのメタルボディもなかなかリアルで、DVDを観るならプレーヤーは新しい(アップコンバート技術が進んでいる)モデルがいいのは間違いない。
なおDVDの音声はドルビーデジタルEX 6.1ch(5.1chにモノーラルのサラウンドバックを追加したもの。スピーカーは7.1ch環境で再生)で収録されており、AVセンターのストレートモードでは、ぼくの記憶よりもメリハリ感の強いサラウンドが再生された。低音も強めで、スターデストロイヤーが頭上を通過するシーンの圧迫感も凄い。こちらも映像同様に輪郭を強調した音といったらいいかもしれない。
そうそう、DVDとえいば2006年に発売された『リミテッド・エディション』も忘れちゃいけない。こちらは特典映像として劇場公開版が収録されていることが話題となったもので、わが家にはアメリカ盤『EP4』〜『EP6』が残ってます。
今回『EP4』の劇場公開版を久々に観てみたけど、LD(1983年版)と違ってちゃんとシネスコサイズだし(スクイーズじゃないのが残念)、画質もちょっとだけよくなっている。
とはいえテレシネ(この時代ならDIスキャンかな)したデータをそのまま圧縮したようでグレインも多く残っているし、レイアが乗るコルベット船内の白い壁には反転ノイズっぽいちらつきも多数。輪郭のがたつき(ここはアップコンの問題か)も目に付くなど、全体として古くさい印象は禁じ得ない。
ただし、このバージョンはその後のブルーレイには収録されなかったから、その意味では貴重。これも手放すわけにはいかないなぁ。
次回はいよいよブルーレイを見直したいと思います。
(取材・文:泉 哲也)