12月20日(金)に公開が迫った『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』。いうまでもなく、『スター・ウォーズ』サーガの最終章として、今からファンの期待と注目を集めている。
そんなこの冬一番の話題作公開に先駆け、昨日(11月28日)、東京・目黒パーシモンホールで『スター・ウォーズ歌舞伎〜煉之介光刃三本〜』が上演された。
『スター・ウォーズ歌舞伎』は、歌舞伎役者の市川海老蔵さんが監修・主演を務め、『スター・ウォーズ』の世界観と日本の伝統芸能である歌舞伎を融合させた1日限りのスペシャルパフォーマンスだ。
海老蔵さんが演じたのは、魁 煉之介(かい れんのすけ=カイロ・レン)。さらに魁煉之介の父親である半蔵(はんぞう=ハン・ソロ)や、旺拿(おうだ=ファーストオーダー)軍を率いる敷能角(すのうかく=スノーク)、壽臺(じゅだい=ジェダイ)マスターの皇海大陸琉空(すかいおおおかるくう=ルーク・スカイウォーカー)といった具合に、オリジナルキャストを歌舞伎の世界に置き換えて物語が展開していく。なお今回、海老蔵さんの息子の堀越勸玄くんが煉之介の幼少期を演じている。
上演に先立ち、ステージ上にドロイドのC-3PO、R2-D2、BB-8が登場、続いて海老蔵さんと勸玄くんも登壇し、今回の『スター・ウォーズ歌舞伎』についての意気込みが紹介された。
その後『〜スカイウォーカーの夜明け』の大ヒットと『スター・ウォーズ歌舞伎』の成功を祈って御祈願を実施。中央に設置されたご本尊の前で、大本山増上寺の導師による誦経、ご焼香と続き、ウォルト・ディズニー・ジャパン映画部門代表の目黒 淳さんと海老蔵さんにお札が渡されている。
ちなみに海老蔵さんが父の市川團十郎(当時は海老蔵を名乗っていた)さんと一緒に初めて映画館で見た作品が『スター・ウォーズ』シリーズだったとかで、それがきっかけで本シリーズのファンになったのだという。
「父(團十郎さん)は宇宙が好きで、自分でも望遠鏡で星を見ていたので、『スター・ウォーズ』シリーズが心に響いたのではないでしょうか」と海老蔵さんも語っていた。さらに「この作品は歌舞伎と似ている部分もあります。勧善懲悪であり、心の中に恐怖を持つキャラクターにも魅力を感じます。ジョージ・ルーカス監督は日本の文化に関心があると聞いていますから、歌舞伎との共通点もあったのでしょう」と話した。
なお海老蔵さんのお気に入りキャラクターはジャー・ジャー・ビンクスで、見ていると癒やされるのだという。これはなかなか意外な選択で、会場からも驚きの声があがっていた。
さらに今回の『スター・ウォーズ歌舞伎』のオファーが来たときにどう思ったかと問われると、「はっきりしたオファーというものではありませんでした。『スター・ウォーズ』に関連したお仕事をさせていただいている時に、こんな事ができたらいいねと漠然と話していたことが、実現したというのでしょうか。いざやることになって、ファンの期待は裏切れないし、歌舞伎の要素も入れる必要があるし、たいへんでした。歌舞伎の手法、出方、ケレンなどの演出も楽しんでください」と話していた。
そしていよいよ上演がスタートした。今回は劇場作品の『エピソード7〜8』をモチーフにしており、第一場「父への刃」/第二場「主君への刃」/第三場「師への刃」という3部構成となっている。
第一場では『エピソード7』から煉之介と半蔵が対面するシーン、第二場では『エピソード8』で煉之介が敷能角を殺害するシーンが展開された。そして最後の第三場は『エピソード8』のクライマックス、煉之介と琉空の対決シーンだった。
第三場では海老蔵さんが、光刃(ライトセーバー)を交える二人を早替わりで演じ、迫力充分の舞台を展開した。これは歌舞伎ならではのケレンの演出で、そのスピード感は『スター・ウォーズ』の世界に通じるものだった。
今回の企画は『スター・ウォーズ』と歌舞伎という異なる世界の融合だったわけだが、その相性は予想以上によく、オリジナルのストーリー展開に忠実でありながら、歌舞伎の要素を押さえた演出がはまっていた。
『スター・ウォーズ歌舞伎』は映画『〜スカイウォーカーの夜明け』の直前で終了している。海老蔵さんも新作の結論は知らないそうだが、「これで『スター・ウォーズ』が終わるなら、正義に勝って欲しいですね。でも本当にこれで終わるのかな?」と話していた。これはファン全員に共通した思いだろう。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
●12月20日(金)全国公開●配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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