今週末の11月2日に、UHDブルーレイ『トイ・ストーリー4』が発売される。『トイ・ストーリー』と言えば、1995年(日本では1996年)に公開された、初の長編フルCGアニメから始まったシリーズで、カウボーイ人形のウッディとスペースレンジャーのバズはみんな知っているはず。

 以後1999年公開の『トイ・ストーリー2』、2010年公開の『トイ・ストーリー3』と続き、最新作の『トイ・ストーリー4』が今年6月(日本は7月)に公開されている、なんと24年にも及ぶ長いシリーズというわけだ。StereoSound ONLINE読者の中にもお子さんと一緒に劇場やDVD、ブルーレイで観たという方は多いのではないだろうか。

画像: 『トイ・ストーリー 4K UHD』¥5,800(税別) (c)2019 Disney/Pixar

『トイ・ストーリー 4K UHD』¥5,800(税別)
(c)2019 Disney/Pixar

 さてこのうち『トイ・ストーリー』から『トイ・ストーリー3』までは、既にUHDブルーレイで発売されている(しかも3作品ともドルビーアトモス収録)。ということで今回は3枚のUHDブルーレイを一挙再生、『トイ・ストーリー4』の予習をしてみることにした。

 まずは『トイ・ストーリー』。カウボーイ人形のウッディやバネ犬のスリンキー、恐竜人形のレックスたちは、持ち主のアンディ少年のお気に入りで、毎日楽しく遊んで(もらって)いた。そこに誕生日プレゼントとして新しいおもちゃのバズが加わって……というストーリーは今更紹介する必要はないだろう。唐沢寿明さんと所ジョージさん(ふたりともホームシアターユーザーですね)による吹き替えもあまりにも有名。

 この作品は1995年全米公開とのことなので、制作されたのは1993〜1994年頃と思われる。その頃のコンピュータだとフルHDでのCG作成はかなり難しかったはずだから、ワイドXGA(水平1280×垂直768画素)くらいで造られていたのではないだろうか。

画像: 『トイ・ストーリー2 4K UHD』¥5,800(税別) (c)2019 Disney/Pixar

『トイ・ストーリー2 4K UHD』¥5,800(税別)
(c)2019 Disney/Pixar

 そもそも当時は、デジタルプロジェクターを備えた映画館もなかったはずだから(2002年の『スター・ウォーズ/クローンの攻撃』公開時でもデジタル上映できる劇場が少ないことが問題になったくらい)、CGデータをフィルムに焼いて上映していたのだろう。

 ちなみに『トイ・ストーリー2』『トイ・ストーリー3』についてアメリカの映画情報サイトIMDbで調べてみると、『〜2』はデジタル上映時のフォーマットが水平1280×垂直1024画素のアナモフィック、『〜3』は2K制作と書かれている(『トイ・ストーリー』はデジタル上映の表記なし)。

 さて、今回改めてUHDブルーレイでこの3作品を観て思ったのは、4K映像としてなかなかうまくまとまっているということ。先述のように元データは4K解像度ではないけれど、アップコン作業を相当ていねいに行なったのだろう。またアトモス音声も(派手ではないけれど)いい案配で天井スピーカーやサブウーファーに振っており、自然な包囲感と相まって、没入できます。

画像: 『トイ・ストーリー3 4K UHD』¥5,800(税別) (c)2019 Disney/Pixar

『トイ・ストーリー3 4K UHD』¥5,800(税別)
(c)2019 Disney/Pixar

 ちなみに各ディスクを観ながら印象に残った点は以下のようなもの。

『トイ・ストーリー』
・クリアーな4K映像で、アップコンによる甘さは感じない
・ボーの陶器の人形としての再現や表情の付け方は、今のCGに慣れた目で見るとやや単調に思える
・色数がもう少し増えるとよかった
・チャプター10の爆発音が勢いよくて心地いい
・アトモスのミキシングは派手ではないが、わかりやく上手なまとまり

『トイ・ストーリー2』
・冒頭のバズの戦闘ゲームシーンでは移動感、低音感が広がり、アトモスの効果がよく出ている
・ザーグのセリフを右サラウンドに振るなどの遊びもあり
・ウッディやバズのディテイルの描き込み、家の壁や木の葉の描写は前作より細かくなっている
・ウッディやジェシー、プロスペクターのプラスチックの質感がもう少し出るといい

『トイ・ストーリー3』
・ウッディやレックスのディテイルが細かくなって、絵がクリアーに感じる。CGの進化を確認
・古い写真を描いたカットの汚しの雰囲気など細かい
・犬のバスターが年老いて、毛並みがくたびれた再現もうまい
・屋外の風景はリアルさが増している
・溶鉱炉の火が燃える効果音で、低音の迫力が凄い
・人間を描いたカットで、表情が本物に近づいてきた

画像: 『トイ・ストーリー』より (c)2019 Disney/Pixar

『トイ・ストーリー』より (c)2019 Disney/Pixar

 品質チェックの目で観ているので、文面的には厳しい印象をうけるかもしれないけど、例えば50インチ前後の直視型テレビとかならまったく不満はでないはず(チェック時は110インチに投写)。10〜20年以上前の作品がこのクォリティで蘇ったということには、素直に感謝です。

 フィルム作品の4K/UHDリマスターは当然嬉しいけれど、デジタル作品もUHDで登場するメリットがかなりありそう。時代によるCGの進化具合もきちんと確認できつつ、記憶にあるよりずっと綺麗な絵と音で楽しめるのだから、このシリーズはUHDブルーレイで揃えるしかないでしょう。

 ちなみに最新作の『トイ・ストーリー4』の画質・音質も気になるところ。こちらはディスクが手に入り次第、ご紹介します。(取材・文:泉哲也)

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