Gガイドサービスを展開しているTiVo(ティーボ)は、今年も10月15日〜18日に「プライベート展示会」を開催、「Gガイド」「GガイドxD」を搭載した各社最新製品や、各種新機能について紹介した。
同社では昨年の「プライベート展示会」で、新しく始まるBS/CS 4K8K放送に向けた電子番組表ソリューションとして、HTML5を活用した「GガイドHTML」について説明していた。その機能は既に家庭用製品に採用されており、会場には同機能を搭載したシャープの4Kチューナー内蔵レコーダーやKDDIの4K放送対応STB(セット・トップ・ボックス)が並んでいた。
最新版GガイドHTMLの特長としては、番組情報をBS TBSの帯域を使って伝送しており、従来の右旋用BSアンテナを使っている場合でもBS4Kの放送内容を確認できることだろう。どんな番組が放送されているか常に確認できれば、4K放送をチェックするモチベーションにつながるというものだ。
また、4K放送の注目番組をピックアップしてくれる機能も便利だろう。ここは各放送局から提供されたお薦め番組情報をピックアップするものだが、TiVoとしては今後はこれを局別にしたい(NHKなら『ステラ』の情報が番組表で確認できるイメージ)と考えているそうだ。確かにその方がユーザーとしては使いやすいだろう。
STBになるとさらに幅広い展開を備えている。これも昨年提案されていた機能だが、ケーブルテレビと同時にオンデマンドなどで契約しているチャンネルについては、番組表の上端に「見逃し〜」というマークが付き、ここをクリックするとネット経由でそのチャンネルに関連した番組にアクセス出来るというわけだ。
他にも「GガイドxD」機能として、アプリを使って予約や録画コンテンツの視聴ができるサービスもある。これはJ:COMなどのSTBとセットにして活用されるサービスという位置づけだ。現在7社での採用実績があるという。
面白いアプローチとして、市販のアンドロイドTV採用STBにTiVoが試作した番組表アプリをインストールしてみたところ、まったくストレスなく動作したとのことだ。確かにデモ機でもサクサク動いており、しかもネットサービスとの連動や、番組データからのお薦めサービス(同じ出演者が出ているネットコンテンツを表示する)なども使えている。
これがすべてのアンドロイドTVで使えると喜ぶ人も多いだろうが、TiVoが直接ユーザーにアプリとして提供することは考えていないそうで、今後ハードウェアメーカーに採用を提案していきたいという意向のようだ。
ここからはTiVoが海外で展開しているサービスについても紹介してもらった。
同社は北米ではHDDレコーダー付きSTBを販売しているが、そこではユーザーがどの番組を、どのチャンネルで、何話くらい保存するかといった細かい点まで指定できるカスタマイズ機能も準備しているという。
その最新機能が「Personalized Content Discovery(PCD)」と呼ばれるもので、各ユーザー(家族)の視聴履歴を元にトップメニューにお薦め番組を表示してくれるという。
しかも視聴履歴は曜日や時間帯、住んでいる地域といった点まで考慮されており、まさに今の時間帯にあった番組を提示しているという。例えば平日の夕方なら子供向けのアニメがお薦めの上位に来るし、日曜日の夜ならお父さん向けのスポーツが上位に来るといった具合だ。
このPCD機能については、動画配信サービスの「バンダイチャンネル」でトライアル採用されている(今年の10月3日にスタート)。同チャンネルの契約者に対しては、既にトップページにカスタマイズされたお薦め番組が表示されており、これは直近半年ほどの視聴履歴を元にしているそうだ。
バンダイチャンネルはアニメ専門サービスで、コアなファンが多いのが特徴という。そういったユーザーは特定の番組(『ガンダム』とか『マクロス』とか)に偏る傾向があるそうだが、そこにPCDを導入することで最適なお薦めコンテンツを提案して別の番組も観てもらい、ひいては脱退者を減らしたいという狙いもあるようだ。ちなみにお薦め番組の選び方についてもひじょうに細かい設定が可能になっている。
それらの視聴履歴はTiVoのサーバーに集約されるそうだが、北米ではお薦め番組キャンペーンに対して50%のユーザーが反応を見せ、30%近くが番組を視聴したという。結果として脱退率も3分の1に減ったそうだ。
他にも北米では各放送局(ケーブルテレビなど)の全加入者を対象にした脱退する可能性の高い人を予測するといった分析も行なっている。そのパラメーターは200以上(曜日別の視聴動向や番組など)に渡っており、それを元に脱退を防ぐためにどんなアプローチをしたらいいのかも提案していこうというわけだ。
今後、家庭で再生されるコンテンツについては、放送やネットといった伝送経路は関係なくなっていくはずだ。Gガイドは既にその境界を越えた連携を実現しており、今回の展示会でもそれが着実に進化していることが確認できた。各社のTVやレコーダーに、最新のGガイド機能が実装されていくことを期待しよう。