10月13、14日の2日間にわたって開催された「第25回真空管オーディオ・フェア」。恒例の『管球王国』主催イベントと管球王国編集部が注目したブースをご紹介したい。

サンバレーはJBL 4344でデモ

 多彩なメニューのデモで賑わったのが管球式キットアンプメーカー、サンバレーのブース。真空管の選択など自由度の高い設計を持つ「1616」シリーズなどヴァラエティに富む管球式アンプのラインナップを展示。往年の大型モニター型JBL 4344など複数スピーカーシステムを、大型直管845/211シングルの出力段を持ち通常の管球式パワーアンプに追加して出力の増強を図れるブースターアンプSV-284Dやエレキットの新製品TU-8800SVなど幅広い管球式アンプで鳴らしていた。デモにはスピーカー修理工房レリックの佐藤絹子氏(下の写真左。右はサンバレーの大橋 慎氏)も登場。アンプメーカーとスピーカーメインテナンス工房との緊密な信頼関係がうかがえた。

画像: ▲サンバレーブースに展示されていた管球式アンプ「1616」シリーズ

▲サンバレーブースに展示されていた管球式アンプ「1616」シリーズ

画像: サンバレーはJBL 4344でデモ

GIPラボラトリーからパーマネントマグネット型登場

 ウェスタン・エレクトリック(WE)に範を取ったフィールドコイル型スピーカーで知られるGIPラボラトリーは最新製品のパーマネントマグネット型の大型スピーカーシステムGIP-Monitor Aでデモを行なった。写真内側がGIP-Monitor Aで、12インチ・ウーファー、4インチ・ミッドレンジ、ボイスコイル径37.5mmのトゥイーターによるオールホーン型3ウェイ。磁気回路のマグネットはウーファーとトゥイーターがフェライト、ミッドレンジはネオジムを採用する。写真外側はGIP-555ドライバーを核とするフィールドコイル型の3ウェイ。組み合わせたアンプはWE製真空管や銀素材の採用、半導体活用のハイブリッド構成にも特徴を持つ管球式アンプブランド、シルバトーン製。電圧増幅用5極管WE310を使ったプリアンプL103、同じくWE310を使ったハイブリッド構成で出力150Wを持つパワーアンプP-107などで大型スピーカーを鳴らした。

画像: ▲パーマネントマグネット型の大型スピーカーシステムGIP-Monitor A(写真内側)

▲パーマネントマグネット型の大型スピーカーシステムGIP-Monitor A(写真内側)

フォステクスは70周年記念ユニットを展示

 エントランスブースで注目したのがフォステクス。超叩解ケナフが主原料の新規コーン紙採用やハトメをなくして不等分割共振を排除する設計に特徴を持つ新FE-NVシリーズ・ユニットや、70周年記念ユニットFE-103Aなどを展示。FE-103Aはアルニコマグネットを採用する10cmフルレンジで、2層抄紙コーンなど現代のフォステクスを特徴づける仕様を投入しながら1970年代の銘ユニットを復刻。木製の化粧箱も印象的な限定生産品だ。

画像: ▲写真右にある化粧箱に入っているのが70周年記念ユニット

▲写真右にある化粧箱に入っているのが70周年記念ユニット

『管球王国』イベントでは蓄音機再生も

 『管球王国』イベントは「現代の高音質録音盤とSPレコードに残された名曲を聴く」がテーマ。再生システムはGIPラボラトリーGIP-Monitor Aと、筆者である新 忠篤氏設計の300B単段プッシュプルなど管球式アンプの組合せ。現代の高音質音源としては『ステレオサウンドリファレンスレコード』CDを再生しながらマスタリングに携わった常盤 清氏が制作のバックグラウンドや音作りを解説。誌面でご紹介する“音”を実感していただけるデモとなった。

画像: ▲試聴システムと新 忠篤氏

▲試聴システムと新 忠篤氏

 SPレコードはデジタル化したファイルの再生と蓄音機による再生を実践。蓄音機は東京・神保町の富士レコード社からお借りしたヴィクトローラVV1-90。折り曲げ式のリ・エントラント・ホーンを内蔵する卓上型だ。真空管研究家の岡田 章氏がサラサーテの機械式録音盤など持参のSPレコードを再生。満員の広い会場でも充分な音量で強い浸透力のあるSPレコードならではの音が聴けた。一方、イコライジングカーブを適切に合わせて新氏がデジタル化したファイル再生では、SPレコードのイメージを覆すような豊富な情報量を持つ音に驚かれた方も多かったはず。来年の開催もぜひ楽しみにしていただきたい。

画像: ▲デモも行なう真空管研究家の岡田 章氏

▲デモも行なう真空管研究家の岡田 章氏

画像: 『管球王国』イベントでは蓄音機再生も

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