NHKは、巻き取りや折り曲げができるフレキシブルディスプレイの実現を目指し、有機ELの研究開発を進めている。今回株式会社日本触媒と共同で、有機ELの長寿命化に向けた新たな材料の開発に成功したという。

 そもそもフレキシブルディスプレイを実現するためには、一般的に用いられているガラス基板に代わって、薄くて柔らかいプラスチックのフィルム上に、RGBに発光する有機ELを形成する必要があった。

 ガラス上に形成した有機ELでは、発光に必要となる電子をスムーズに供給する電子供給材料の一部に、アルカリ金属を使用している。しかし、フィルムは酸素や水分を通しやすい性質があるため、アルカリ金属が劣化し、ディスプレイとして充分な寿命が得らなかったという。

 そこで今回は、アルカリ金属に代わって、フィルムでも高い安定性が保たれ、長寿命を得ることができる塩基性物質(酸素や水の影響を受けにくい有機物質。水素イオンを受け取りやすい性質を持つ)を使用した電子供給材料を新たに開発した。

 またこの電子供給材料は、水素結合が作る分極(物質中の正負の電荷の偏り)の効果によって電子をスムーズに供給できることを、世界で初めて明らかにしたそうだ。

 今回の研究成果は、9月6日に「Advanced Materials」誌に掲載されている。

画像: 有機ELの仕組みと、開発された電子供給材料の特徴

有機ELの仕組みと、開発された電子供給材料の特徴

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