一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(以下、A-PAB)は8月29日、昨年12月に放送を開始した新4K8K衛星放送に関する機器の普及状況などを報告する記者会見「新4K8K衛星放送9か月~『別世界』は今~」を、千代田放送会館で行なった。
4月に行なった同報告会から4か月、その間には夏のボーナス商戦もあり、機器の普及は順調に推移したそうで、6月、7月の対応チューナー内蔵4Kテレビはそれぞれ15万6000台、17万6000台と、それまでの月ごとの台数平均の2倍を超えるセールスを記録しており、外付けチューナー(STB)、ケーブルテレビ受信と合わせ、累計150万台を達成したという。
4月の会見の模様はコチラ
冒頭、登壇したA-PAB 理事長の福田俊男氏は、「4Kチューナー内蔵テレビも各社から出そろったことで、7月度には22万8000台の伸長を記録し、まさに追い風を受けつつあると判断できます。これを踏まえて、4K放送という新メディア・新サービスのより一層の定着を図っていきたい」と語っていた。
それを受けて登壇した、同協会理事の木村政孝氏の説明によれば、やはり内蔵テレビのラインナップの拡充が普及促進に大きく寄与したそうで、1~5月の間の4Kテレビの販売はテレビ総販売台数の4割程度だったそうだが、6月には6割に上昇。結果として、2000年に始まったBSデジタル放送の機器の普及が150万台までいくのに27ヵ月かかったが、4Kではそれをわずか8ヵ月で達成したことになり、「ユーザーはイノベーターから、アーリーアダプターへと確実に拡大している」と、市場を分析していた。
なお、前回同様に4K8K放送の認知度を知るための市場調査も行なわれており、それによれば、認知度や満足度(画質がいいなど)、実際に視聴している人(自宅が増えた=購入者が増えた)は増えている反面、購入動機などは横ばいであり、ある程度の購入時期を決めている人は10%ほどで(オリンピックまでが多い)、50%近くは未定という結果となっていた。
会の後半は恒例の展開で、4K8K推進キャラクターを務める女優の深田恭子と、各放送事業者の社長が登壇しての、おススメ番組に関するトーク大会。深田は、旅行や食に関する番組を「よく見ている」そうで、「その場にいるかのような臨場感があって、まさに別世界を堪能できますね」と、推進キャラクターらしい模範コメント。
各局のおススメをまとめると、やはりスポーツ番組が強く、時期柄「ラグビーワールドカップ2019」を推す局は多く、NHKでは9月28日の日本戦を8Kで、かつパブリックビューイングも予定しているそう。その他では、紀行もの、ニュース、ドラマ、バラエティ、オムニバス、F1、時代劇など、自社の特色を活かしたラインナップを展開していた。
なお、BS日テレ4Kについては9月1日の12時から放送を開始するそうで、BSデジタル放送では11:30から開局特番を生放送し、12時きっかりに、ももいろクローバーZとマリックが開局ボタンを押して、放送開始を宣言するという。そこにはマジックが絡んでいるそうで、「失敗したら私の進退が……」と、BS日本の中山社長は、おどけたコメントを発していた。
最後は、実際に4K関連商品を販売する大手家電流通協会、および全国電機商業組合連合会の関係者らが登壇、深田より「4K8Kの別世界をより広めていくために頑張りましょう」という激励を受け、「深田さんにそう言われたら頑張るしかありません(笑)。加えて、さきほど魅力的な4K番組のラインナップを聞いて、勇気100倍です。ぜひ、4Kのスポーツ放送を大画面で楽しんで、幸せな気分になってほしい」(大手家電流通協会 金谷会長)、「地域に密着した店舗が多いので、しっかりと(ユーザーをサポートしつつ)販売を頑張っていきたい」(全国電機商業組合連合会 峯田会長)と、意気込みも新たにしていた。ちなみに、峯田会長の子息は「いだてん」に出演しているそうで、毎週しっかり4Kで見ているそう。
ちなみに、ピュア4K番組の割合について質問してみたところ、BS-TBS 4Kにおいては、時間帯による変動はあるものの、ゴールデンタイムで54%、日中で40%、全日で22%ほどになるという。10月以降は番組改編もあり、さらに増える予定だとか。