昨日、新フラッグシップとなる「SX1 LIMITED」シリーズを発表したばかりのデノンから、今度は普及価格帯のニューモデルが登場した。CDプレーヤーの「DCD-600NE」（￥47,000、税別）とプリメインアンプの「PMA-600NE」（￥52,000、税別）というラインナップで、どちらも9月下旬の発売予定だ。
新しい600NE（New Era）は、デノンのベストセラーモデルで1991年に誕生したプリメインアンプの「390」シリーズや、同じく2000年に誕生したCDプレーヤー「755」シリーズの後継モデルという位置づけになる。市場のベストセラー機でもあり、多くのオーディオファンから高い評価を集めてきた製品が、今回遂に刷新されたわけだ。
その狙いとしては、“これまでのデノンサウンドからの脱皮”があったそうだ。ここでいう“脱皮“とは過去を否定するのではなく、内包しつつ進化していくことを指している。
そこでキーになるのが「Vivid & Specious」というサウンドフィロソフィーだ。実は600NEシリーズはSX1 LIMITEDと平行して開発が進められており、同じ設計チーム、サウンドマネージャーが担当している。実際に両機ともアナログオーディオ回路にSX1の技術を汲んだ高音質パーツやカスタムパーツ多数が使われているそうで、普及価格帯モデルであってもクォリティ的には期待できるはずだ。
「PMA-600NE」
そのPMA-600NEは、45W×2（8Ω）のパワーアンプに加え、Bluetoothのレシーバー機能や192kHz/24ビットのデジタル信号も再生できるスペックを備えている。
BluetoothのコーデックはSBCとAACが再生可能。もちろん音質に配慮して、内蔵アンテナの設置場所にも細心の注意を払っているそうだ。マルチペアリングは8台まで対応する。
デジタル入力は同軸×1、光×2の合計3入力で、そのすべてで192kHz/24ビットのデジタル信号が再生できる。デジタルの輻射ノイズが他に影響しないように、入力基板をシールドケースに封入するといった気配りもなされている。
フォノ（MM）やCDなどをアナログ入力で楽しみたい人に向けて、デジタル入力への給電をオフにしてDACやフィルターなどの回路を停止させることで音質を向上させる「アナログモード」も準備されている。
またPMA-600NEの開発時には、AVセンターチームとの意見交換も実施したそうだ。その結果、AVアンプチーム設計チームが持っていたノウハウを採用してグラウンドの徹底した安定化を図っている。その他にも、信号経路の左右チャンネルやプラス/マイナスのパターンの対称性を見直すことで、音の透明感、繊細な表現力を獲得したそうだ。
「DCD-600NE」
CDプレーヤーのDCD-600NEは、独自のAL32 Processingと192kHz/32ビット対応DACを搭載。CDからの信号をアップサンプリングすることで、高品位なアナログ信号として出力できる。
なお、音楽CD以外のディスクでは、MP3やWMAファイルを記録したデータディスク（CR-RやCD-RW）の再生にも対応。MP3/WMA再生時には本体ディスプレイにアルバム名やアーティスト名が表示される（英数字のみ）。
もうひとつ、原音に忠実な再生を行なうために、回路全体でシンプル＆ストレート化を徹底した。オーディオ基板、電源基板のレイアウトを全面的に改めることで、アナログオーディオ出力から出力端子までの距離を最短化してクリーンで透明感の高いサウンドを実現しているという。
600NEシリーズの発表会では、旧モデルとなる「DCD-755RE」＋「PMA-390RE」の組み合わせとDCD-600NE＋PMA-600NEの比較試聴も行なわれた。DCD-755REとPMA-390REはどちらも2012年のモデルで、今回の2モデルと同価格帯となる。
しかしそのサウンドには7年の進化がしっかり現れていた。ファンファーレ曲や女性ヴォーカルでは、音場の広がりやビビッドさ、声が前に出てくる様子など、いずれも600NEの組み合わせが好印象で、同じディスクなのに受け取る情報がまったく違う。旧モデルも定番シリーズだけあって大きな不満はないのだが、比べてしまうと物足りなくなってしまうだろう。
“いい音楽をたくさんの人に届けたい”。600NEシリーズは、そんな開発陣の思い込められた注目シリーズだ。
DCD-600NEのリアパネル。
「DCD-600NE」の主なスペック
●再生ディスク：音楽CD、MP3/WMAデータディスク（CD-R、CD-RW）
●再生周波数特性：2Hz〜20kHz
●S/N：122dB（CD）
●ダイナミックレンジ：101dB（CD）
●全高調波歪率：0.003％（CD）
●接続端子：アナログ音声出力×1（RCA）、デジタル音声出力×1（光）
●消費電力：12W（待機電力0.3W）
●寸法/質量：W434×H107×D275mm/4.3kg
「PMA-600NE」の主なスペック
●定格出力:45W＋45W（8Ω、20Hz～20kHz、THD 0.07％）
●全高調波歪率:0.01％（定格出力、-3dB時）、負荷8Ω、1kHz
●接続端子：アナログ音声入力×4（RCA）、フォノ入力×1（MM）、デジタル音声入力×3（光×2、同軸×1）、サブウーファープリアウト×1
●消費電力：190W（待機電力0.3W）
●寸法/質量：W434×H122×D307mm/7.4kg
