1969年7月20日、アポロ11号が人類初の月面着陸に成功。今年はそれから50年のメモリアルイヤーとなる。他にもスペースシャトルの退役、国際宇宙ステーションの完成と、7月には宇宙にまつわる出来事がたくさんあった。それを受けて、7月のNHK BS8K放送は「宇宙を楽しむ月間」をテーマに番組を編成している。
今週末の7日には、10:00〜12:00に『今日は七夕! 宇宙旅 2時間スペシャル』として、臨場感あふれる8K映像で太陽や火星、月の様子を紹介。国府弘子さんと川井郁子さんの生演奏に乗せて、国際宇宙ステーションからの8K映像も紹介される。
そのまま正午(12:00)からは、映画『2001年宇宙の旅』をオンエア。昨年の8K放送初日に放送され、かつてない高画質ぶりでファンの耳目を集めた本作を、もういちど堪能できるわけだ。
もうひとつ、7日19:00〜19:29と19:30〜19:59に『8Kアースウォッチャー from 国際宇宙ステーション』の第一話と第二話を放送。さらに翌週14日の同時刻に第三話、第四話が予定されている。
この番組は、NASAが国際宇宙ステーションに持ち込んだ8Kカメラを使って撮影した素材(国際宇宙ステーションの内部や窓から観た地球の様子など)をNHKが編集したもの。第一話「ブルー アース」は4K放送でも何度かリピートされているので、観たことのある方もいるかもしれない。
今回は第二話「セログラビティ」、第三話「グラデーション カラーズ」、第四話「スペース ライフ」といったより詳細な内容まで放送される。
6月末に、第二話「ゼロ グラビティ」の試写会が開催された。今回はHDR対応8K液晶モニターを使っての上映で、メモリーカード4枚に収録された番組をダイレクトにこのモニターに入力している。なお放送は5.1chだが、試写会は2chでの再生だった。
宇宙ステーションの内部を捉えたショットでは、とにかくディテイルが鮮明だ。8KカメラはREDの小型タイプのようで、レンズの周辺歪みがわずかに感じられるが、真ん中に捉えた被写体はさすがの解像感と情報量を持っている。また壁一面に並べられた機材やPCの使い込まれた様子もしっかり確認できる。これは8Kならではだろう。
さらに船外活動をするスタッフを窓越しに捉えたシーンも素晴らしい。足下に地球が広がり、その手前で宇宙ステーションの外壁を補修しているのだが、“宇宙空間では距離を感じられない”ことが映像にきちんと再現されており、なんとも不思議な感覚に陥ってしまう。
また修理のために宇宙船の外壁に付けられた断熱材をカットしているが、その細かな破片がアイスダストのように宇宙を舞っている様子がとても美しい。このきらめきはHDR(HLG)だからこそ再現できているのだろう。なお、今回の試写で液晶モニターを使っているのは、HDRの効果をきちんとわかってもらおうという意図からだそうだ。
ちなみに番組制作時には、NASAからの8K映像ファイル自体にノイズが入っていることもあり、それらをどこまで修復するか(どれがノイズでどれが情報なのか)を調べるためにかなり時間がかかったという。その努力は8Kらしいクリアーな映像に結実していると思った。
なお『8Kアースウォッチャー from 国際宇宙ステーション』はBS4K(7月6日、13日の20時〜20:59)と、地デジの総合(7月7日の14:00〜14:59、第一話と第二話)でも放送される。それぞれを録画して、画質の違いを比べてみるのも面白そうだ。
さらに7月20日19:00〜21:00は『月着陸50年 ムーンウォーカーが見た絶景』も予定されている。ここではアリゾナ州立大学と協同で開発した8K APOLLO PROGRAMというアプリを使い、約300枚の当時のフィルムから復元した月面の様子が紹介される。
ニール・アームストロング船長とバス・オルドリン操縦士のカットはあまりにも有名だが、今回復元されたデータからは、思いもかけない新発見もあったという。詳しくは当日の番組をお楽しみに。