月刊『HiVi』2月号の「HiViグランプリ2018」でデジタルオーディオプレーヤー部門賞を受賞したN10をはじめとして、多様なモデルを展開するDELAミュージックサーバー。
従来のデジタルファイル再生では“格納庫”に過ぎないと軽視されてきたNASをオーディオコンポーネントとして捉え、明らかな音質差を示して見せた同社の主要4モデルを自宅に持ち込み、導入を前提にそれぞれのパフォーマンスを比較検討する。
MUSIC SERVER
DELA
N1ZH/2
¥448,000+税
●接続端子:USBタイプA 4系統
(USB2.0×3、USB3.0)、LAN 2系統
●内蔵HDD容量:3Tバイト
●寸法/質量:W350×H75×D370mm/5.9kg
DELA
N10
¥648,000+税
●接続端子:USBタイプA 3系統(USB2.0)、LAN 2系統
●内蔵HDD容量:3Tバイト
●寸法/質量:(本体)W215×H61×D269mm/3.5kg(電源部)W215×H61×D273mm/5kg
●問合せ先:(株)バッファロー サポートセンター TEL:0570(086)086
昨年、別冊ステレオサウンド『ハイレゾの教科書』の取材のため、DELAミュージックサーバーの主要4モデル——N10、N100、N1ZH/2、N1A/2を自宅と別冊試聴室の両方で使わせてもらった。その記事は、USB端子付きディスクプレーヤーとDELAのミュージックサーバーの組合せによるハイレゾ再生までのフローをまとめたもので、DELAの全サーバーが搭載するUSB DAC接続機能(=DELAミュージックサーバーをUSBトランスポートとして使う)がいかに簡単&便利にハイレゾ再生を実現してくれるかを訴求することが目的だったのだが、僕はそれより何より音のよさに感激。自宅のネットワークプレーヤー、リンMAJIK DSと組み合わせてオーディオ用NAS(=LANトランスポート)として使っても、自前のオーディオ用NASに比べて明らかに音がよく、DELAミュージックサーバーの導入をまじめに検討することにした。
圧倒的にS/Nがよく、見通しのいい音場に感激!
そういうわけで、自宅システムに組み込んで試聴するため、再度4モデルを借用。まずはN10とN1ZH/2のハイクラス2モデルから順に聴いてみた。
N10は、ハーフサイズのヘッドユニットとリニア電源ユニットで構成される2筐体モデル。横に並べると、ラック一段にすっきり収まる。背面にUSBメモリーを挿し、ポール・サイモンのアルバム『イン・ザ・ブルー・ライト』から「ラヴ」(96k㎐/24ビット)を取り込み再生すると、トレモロの効いたギターの倍音が6畳の自室にまんべんなく広がっていく。これまで使ってきたひと昔前のオーディオ用NASに比べて圧倒的にS/Nがよく、見通しのいい音場にアコースティックギターとパーカッションの絡み合うリズムが刻まれ、その前面に伸びやかなヴォーカルが定位よく浮かび上がる。ミュージックサーバーで音が変わるとは聞いていたけれど、その現実をここまでリアルに突きつけられればリプレイスを考えざるを得ないよな……と改めて思ってしまう。
N10のあとに一体型のN1ZH/2を聴くと、音の重心がやや上がったと感じる。音場の見通しのよさと音像の緻密さもいくらか和らぐ印象だが、N10に投入された物量と20万円の価格差を考えれば相応の違いか。どちらにしても、このシステムでいままでよりも凜々しく鳴っていることは間違いないし、それは明らかに好ましい変化に思える。
ちなみに、わが家のスピーカーはハーベスHL-Compactで、アンプはデノンのプリメインPMA-SA11。ネットワークプレーヤーのMAJIK DSも含めて、価格的&グレード的なトータルバランスを考えるなら、N10はもちろんN1ZH/2でも不釣り合いに高価ではないかという気がしてくる。あと、両モデルともHDDが3Tバイトというのが容量的に少し心配でもある(現在は計6Tバイトのバックアップ用外付けHDDから厳選した音源だけを2TバイトのNASに送って聴いている)。
ここは順当に、それぞれの弟機のN100かN1A/2のどちらかにしておいた方がいいんじゃないかと考えてしまうけれど、結論を出すのは両モデルを改めて聴いてからにしようと思う。(続く)
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