ソニー・シグネチャーシリーズ初のイヤホンとなる「IER-Z1R」が、ようやく日本で正式発表された。市場想定価格20万円前後(税別)で、3月23日の発売を予定している。
IER-Z1Rは昨年のIFAで参考出品され、そのこだわり抜いた仕様と優れた音質で話題となった。今回はそれが日本で登場するわけで、気になっているイヤホンユーザーも多いことだろう。
IER-Z1Rでは、音場が奏でられている場の空気感の再現も重要視しており、立体的な音場の広がり、透明感、臨場感を再現するべく、ひじょうに細かい造り込みを行なっている。
その一番の特長は、3つのドライバーを組み合わせた「HDハイブリッドドライバーシステム」にある。これは、アルミコードLCP(薄膜フィルム)振動板搭載の5mmダイナミックドライバーと、マグネシウム振動板搭載の12mmドライバー、そして同じくマグネシウム振動板を使ったBA型ドライバーの3つを組み合わせたものだ。
受け持ち帯域は5mmドライバーが100kHzの超高域、その下の高音域はBAドライバー、中域〜低域については12mmドライバーと分かれており、各ドライバーの音がならだかにクロスするように設計されている。
これらをひとつのインナーハウジングに取り付け、それぞれのドライバーから出た音が最適な位相で合わさるように、音が伝わる経路構造を厳密に調整している。この仕組は「リファインドフェイズ・ストラクチャー」と呼ばれ、音の分解能の向上に役立っているそうだ。
さらに、ドライバーユニットの後方に拡張音響空間を設け、その中に極細の音響管を通すことで、振動板背面の通気を精密にコントロールする、「サウンドスペースコントロール」技術も組み合わせられている。この結果、バランスのいい中域再現と、低域から高域まで自然な音のつながりが可能になり、広がりのある音場を実現したという。
またIER-Z1Rはソニー・シグネチャーシリーズということで、デザインや耐久性、装着性といった部分にも配慮されている。
まずハウジングの形状をについては、3基のドライバーを最適配置して耳に当たる部分を逃がすことで、筐体の体積としては大きいながらも安定した装着感を目指している。
さらに本体をジルコニウム合金製とすることで、長期間の使用にも耐えうる堅牢性を確保した。ジルコニウム合金は高い硬度を持ち、傷つきにくく錆にも強いという特性を備えているので、イヤホンとしては理想的な素材ともいえる。
そのフェイスプレートには、高級時計などにも採用されているペルラージュ加工が施され、高級感がありつつ、緻密なイメージをアピールしている。
さらに製造についても、同社のコンデンサーマイクC-38BやC800Gといった業務用モデルを製造している日本国内の工場で行ない、厳しい品質管理や検査をパスしたものだけが出荷されるという。
「IER-Z1R」の主なスペック
●型式:密閉・ハイブリッド型
●ドライバーユニット:5mmダイナミック型ドライバー、
12mmダイナミック型ドライバー、
BA(バランスド・アーマチュア)型ドライバー
●最大入力:100mW
●インピーダンス:40Ω
●能率:103dB/m/W
●再生周波数帯域:3Hz〜100kHz
●質量:約26g(ケーブル含まず)