2月16日、イオンシネマ板橋で『ウルトラQガラモンの逆襲』上映&スペシャルトークイベントが開催された。円谷プロダクションが展開している「ULTRAMAN ARCHIVES」プロジェクトの一貫として開催されたもので、2018年10月から始動している。

画像1: 円谷プロが『ウルトラQ ガラモンの逆襲』上映&トークイベントを開催。スクリーンで観る作品の完成度の高さに、改めて感動

 これは、「ウルトラマンシリーズ」作品を観たことのない人にも存分に楽しんでもらえることを目的に、数ある「ウルトラマンシリーズ」の歴代作品にスポットを当て、当時の資料や制作関係者の証言、現代ならではの視点や外部の有識者からの評論を交えた映像、出版、商品化など、様々な形でより深く知ってもらうとともに、新たな魅力を伝えようという狙いという。

 既に昨年11月17日には、同シリーズの『2020年の挑戦』上映会が、同じくイオンシネマ板橋で開催、全国のイオンシネマ14館でライブビューイングも行なわれている。第二弾となる今回は、特撮監督の尾上克郎氏と三池敏夫氏を迎え、特撮のプロから見た『ガラモンの逆襲』について語られた。

 上映前のインタビューでは三池氏は『ウルトラQ』の見どころについて、強遠近法による撮影を挙げた。これは“強制遠近法”の事で、ミニチュアにあらかじめパースを付けておくことで、撮影した画面をより広く感じさせるテクニックだという。

 一方の尾上氏は、80年代にLDなどのパッケージで『ウルトラQ』を見直して、作品のクォリティの高さに驚いたのだという。特にガラモンの造形は大好きで、まつ毛や背ビレの作り込みが秀逸とのこと。さらに当時の合成技術の高さにも感動したそうだ。確かに、そのあたりがどうスクリーンで再現されるかは興味深い。

 インタビューに続いて本編が上映されたが、尾上氏と三池氏も来場者と一緒に観賞していた。ちなみに会場となったイオンシネマ板橋のスクリーン10は292席だが、当日はほとんど満席という盛況ぶりだった。

画像2: 円谷プロが『ウルトラQ ガラモンの逆襲』上映&トークイベントを開催。スクリーンで観る作品の完成度の高さに、改めて感動

 映画館のスクリーンで『ガラモンの逆襲』を観た感想を聞かれて三池氏は、「35mm撮影なので、大画面でも栄えますね」と語った。なお、強遠近法はガラダマが東京湾に落下するシーンで使われていたそうで、そのシーンのスチルも紹介された。確かに左手にある建物のミニチュアはカメラ側が大きく、画面奥に進むにつれて小さくなるようにパースが付けられている。

 「当時『ウルトラQ』を撮影していた東宝ビルトのスタジオはどちらかというと小さかったので、『マイティジャック』の出撃シーンなどでもこの方法が使われていたようです」と三池氏は解説してくれた。記者も上映時に注意して観てみたが、そんな演出がされているとはまったくわからなかった。人の目の錯覚とミニチュアの特性を活かした、見事なテクニックだと感じた。

 一方尾上氏は、「トラックを止めるシーンでスタッフが写り込んでいました。これだけ大画面だと、撮影のアラがばれますね(笑)。チルソナイトはピアノ線で動かしていますが、あの操演はたいへんだったと思います。ガラスを割るシーンで勢いをつけているのが分かりました」と語って会場の笑いを誘っていた。

 なお、今回上映された映像のスペックは発表されなかったが、2K/SDR素材のような印象だった。それでもディテイル感、コントラスト再現はとても落ち着いたもので、ていねいなレストアがされていることがよくわかる仕上がりになっていた。

画像: 特撮監督の尾上克郎氏(左)と三池敏夫氏(右)

特撮監督の尾上克郎氏(左)と三池敏夫氏(右)

 円谷プロでは、今後も「ULTRAMAN ARCHIVES」プロジェクトを継続していくそうで、第三弾の上映会を6月15日に開催するという。詳細は同社サイトで発表されるので、気になる方はこまめにチェックされたし。

 また、『ULTRAMAN ARCHIVES』プロジェクト ビデオグラム第二弾として、今回上映されたモノクロ本編や2011年にカラライズされたバージョンを収録した「『ウルトラQ』Episode 16『ガラモンの逆襲』Blu-ray&DVD」(¥4,800、税別)が5月22日(水)に発売される。こちらは2月15日から、全国のDVD取扱店にて予約受付もスタートしている。

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