シャープは21日午後、マスコミ向けに同社4Kチューナー内蔵BDレコーダー、4B-C40AT3(市場想定価格14万円前後)、4B-C20AT3(市場想定価格11万円前後)の使い方に関する説明会を開催した。
両モデルは12月1日からスタートする新4K8K衛星放送のチューナーを内蔵し、番組のエアチェックができる点が特長だ。今月24日の発売予定で、既に一部の店頭には製品が並び始めているという。
BDレコーダーの国内市場は年間200万台前後で推移しているが、昨年から今年の前半に向けては若干増加傾向にあるという。シャープでは2020年の東京オリンピック需要に向けていっそうの増加を期待しているそうだ。
レコーダー全体に占める4K対応機(UHDブルーレイ再生対応)の割合も増えてきており、これを踏まえて2020年には4Kチューナー内蔵機/UHDブルーレイ再生対応機の比率を50%まで伸ばしたいとしている。
その一因が4K対応(レディ)テレビの存在だ。4Kチューナーを内蔵していないテレビはこれまでに累計500万台ほど販売されており、これらで新4K8K衛星放送を観ようと思ったら、単体4Kチューナーや4Kチューナー内蔵BDレコーダーが必要だ。その時にレコーダーを使おうと考えるユーザーも多いだろう。
ただし、それらの機器を使おうと思った場合に、注意が必要なことがある。というもの、最近になって新4K8K衛星放送を観るためにチューナーが必要ということは知られてきたが、すべてのチャンネルを受信するにはアンテナやアンテナケーブルを取り替える必要があることまではあまり認知されていない。
そもそも新4K8K衛星放送は4K放送が18チャンネル(+8K放送が1チャンネル)あり、そのうち6チャンネルは従来と同じ右旋電波が、他の12チャンネルは新たに左旋電波が使われている。そのため、左旋電波が受信できるアンテナやケーブルも準備しないと写らないチャンネルがあるということだ。
もちろんどのチャンネルを観たいかがポイントにはなるが、スカパー!などの有料チャンネルまで考えているのなら、アンテナとケーブル関係(分配器やブースターなども含めて)も確認しておきたい。その場合、「SH」マークが付いている製品なら安心だ。
また対応アンテナやケーブルを使う場合でも、接続の順番を間違えないように気をつけて欲しい。特にレコーダーを複数台使う際にはアンテナケーブルを数珠つなぎにしがちだが、従来のレコーダーでは左旋の帯域をカットしてしまうので、受信できなくなってしまう。必ず4Kチューナー内蔵機を最初につなぐよう心がけよう。
説明会では、4B-C40AT3を使って、4K放送受信の手順をデモしてくれた。放送自体はまだ始まっていないが、番組表を呼び出すとチャンネル名が入っている。11月23日からは4Kの試験放送(カラーバーなど)がスタートするので、各チャンネルがきちんと受信できているかの確認もできるはずだ。
さてここからは4B-C40AT3と4B-C20AT3の特長について紹介しておきたい。
シャープではこの両モデルで、4K放送のメリット(高解像度、高輝度、広色域)を正しく体験してもらえるよう配慮したという。特に高輝度(HLG)については非対応テレビと組み合わせた場合を想定し、HLG→HDR10変換機能を搭載している。これならひと世代前の4KテレビでもHDRの効果を楽しめることだろう。
ちなみにSDRコンテンツについてはHDR10への変換等はできない。あくまでもHLGで放送された番組をHDRとして楽しむためのものという。
録画機としては4B-C40AT3は4Tバイトの内蔵HDDに262時間、4B-C20AT3は同じく2TバイトのHDDに130時間の4Kコンテンツを保存できる(録画モードはDRのみ)。加えてそのコンテンツをBDディスクに残すこともできるのだ。
記録用ディスク自体はこれまでのものと同じで、1層式〜4層式まで対応済み。2層の50Gバイトの場合、約3時間10分を保存可能とのことだ。あまり知られていないが、4K放送を従来と同じ記録ディスクに保存できるというのは、ユーザーにとってはたいへん嬉しいポイントといえるだろう。
もちろん1枚のディスクに2K放送と4K放送を混合で録画してもいい。ただしその場合、録画一覧を表示しても4K番組のサムネールは表示されない。また4K放送をダイレクトにディスクに録画は出来ず、一旦HDDに録画してからコピー(ムーブ)することになる。
なお4K放送は無料チャンネルについてはダビング10で運用される見込みで、現在の地デジと同じように最大10枚のディスクに保存できるはずだ。有料チャンネルについてはコピーワンスの可能性が高い(ネバーコピーも運用はできるらしい)。
編集機能は、4K放送を録画したコンテンツの部分消去等はできない。つまりCMなどもそのまま保存するしかない。チャプターの編集などはできるが、オートチャプター機能には未対応だ(アップデートで対応予定)。
最後にひとつ、4Kチューナー(内蔵BDレコーダー)はどんなテレビとつなぐかによって、HDMIから出力される信号が変化するので、ここにも注意が必要だ。そもそも4K放送は4K/60pでオンエアされており、HDCP2.2と4K/60p入力に対応したテレビであれば、問題なく4K放送をオリジナルの状態で楽しめる。
しかし4B-C40AT3と4B-C20AT3では、HDCP1.4対応の4K/60p入力対応機の場合は、レコーダー側で2K/60pにダウンコンバートして出力される。同じくHDCP2.2対応だが4K/24pの信号しか受け付けないプロジェクターなども2K/60pの出力になってしまう(UHDブルーレイの4K/24p収録作品はそのまま4K/24pで出力される)。
つまりそれらの製品と組み合わせた場合は4K放送を一旦2Kに変換し、その後にテレビ(プロジェクター)側で4Kにアップコンバートしているわけで、なんとも歯がゆい状態になってしまう。せっかく4Kチューナー内蔵機を買ったのに、実は2Kアップコン映像を観ていた、なんてことのないようにお使いのテレビの仕様もしっかり確認していただきたい。
新4K8K衛星放送のスタートまで残り1週間ほど。単体チューナーやレコーダーも続々登場しているが、詳細な使いこなしとなるとまだ漠然としている感は否めない。今回のシャープの説明会を通して、最低限注意が必要なポイントが見えてきたのは確かだ。